盛況裡に終わった「音展2014」− 校條会長に訊く今後の展開と狙い
日本オーディオ協会が主催する国内最大のオーディオ&ホームシアターイベント「オーディオ・ホームシアター展 2014」が盛況裡に閉幕した。ハイレゾを全面的に打ち出しての展開となった今回のイベントの総括と今後の課題を、日本オーディオ協会会長の校條亮治氏に聞いた。
−− オーディオ・ホームシアター展2014が盛況裡に終了しました。主催団体としてどのように総括されていますか。
校條氏 今回はショーのテーマを「ハイレゾ」1本に絞り、それをいかにユーザーに見せるか、いかにしてユーザーに理解していただけるかについて徹底的に工夫しました。その結果、出展者数、入場者数ともに昨年を大きく上回ることができました。
出展社数は昨年の82社から92社に増え、2000年代に入って初めて90社を超えることができました。入場者数は入館証の発行ベースで初日7,100人、2日目7,900人,3日目5,200人、3日間合計で20,200人と前年比112.8%と伸びました。発行手続きをされない方、同じ入館証で来場された方も含めると累積入場者数はさらに増えるでしょう。
−− 昨年までに比べて若い人たちが増えたように見えました。来場者構成の面での変化についてはいかがでしょうか。
校條氏 来場者アンケートの集計はまだできていませんが、3つの点で大きな変化があったと感じています。1点目は来場者が一世代若返ったことです。そしてこれに伴って、マニアやベテラン層でない人や女性の来場者も増えたように思います。来場者の滞留時間が増えたことも今回の大きな特徴でした。
2点目は、業界関係者や報道関係者の来場が増えたことです。報道関係者は昨年47媒体だったのに対し、今年は62媒体でした。これはハイレゾへの注目の高まりやテクニクスブランドの復活なども寄与しているように思います。
3点目は、出展社構成に変化が出てきたことです。IOデータさんやバッファローさんなど従来は異業種だった企業も、ハイレゾをキーワードに新たに出展されました。
−− オーディオ協会では2002年にオーディオエキスポをいったん休催、2003年から会場を横浜に移してA&Vフェスタとしてイベントを再開。さらに2007年度には会場を秋葉原に移されました。ここからイベントの狙いを大きく変えられたように思われます。
校條氏 そのとおりです。ここからイベントのコンセプトを大きく変えました。オーディオ協会以外にもオーディオショーを主催されている団体もありますし、販売店での視聴会もあります。そのような中で、オーディオ協会が主催するイベントは単純な展博ではないものにするという方向に切り替えました。
オーディオ協会の役割は「市場を創っていくこと」「市場を広げていくこと」です。そのオーディオ協会が主催するショーが、単なるメーカーのPRの場で終わっては意味がありません。先進的な技術要素をわかりやすい形で見せ、次世代のオーディオを提示しなければいけません。そのためには明確なコンセプトやテーマを掲げて、それをどうやってお客様に理解していただくか、いかにして来場者の幅を広げていくかということが大切です。
秋葉原に会場を移した2008年2月に開催したオーディオ・ホームシアター展から、新しい試みをいくつも展開してきました。たとえば、様々なセミナーの開催や、複数のメーカー製品の組合せ試聴を展開する「音のサロン」や、主催者団体による協会テーマブースの設定などといった、メーカーやブランドの枠組みを超えた提案です。今年は、出展各社のブースでのセミナーや試聴会以外に、過去最高となる44ものセミナーを開催しました。オンキヨー、デノン、パイオニア、マランツ、ヤマハの4社5ブランド合同イベントの開催も今年の新たな出来事です。秋葉原に会場を移した2008年の「音展」から進めてきたことが、ようやくまとまってきたように思います。
−− ハイレゾを契機にオーディオ市場が盛り上がりを見せ始めてきています。オーディオ・ホームシアター展も含めて協会として今後取り組んでいく課題は何でしょうか。
校條氏 ネットワークオーディオが注目されていますが、それは単なる手段にすぎません。そこにハイレゾを加えることで、ユーザーに対してどういう価値を打ち出していくかが問題です。音楽をいい音で楽しむ人を増やし、市場を拡大していくことがわれわれのミッションです。
今の若い人にとってハイファイという言葉はほとんど有名無実になってしまっています。ハイレゾリューションということに新しい価値を認めてもらえるものであるならば、これをオーディオ市場再生の切り口に使っていきたいと考えています。
−− 来年の開催に向けた課題は何でしょうか。
校條氏 ひとつはトレードショーとしての側面を強めていきたいということです。米国のCESやドイツのIFAは元々トレードショーでした。国内のオーディオ市場は大手や中堅の専業メーカーだけで成り立っているわけはありません。多くのクラフトメーカーがあります。小規模なクラフトメーカーにとって流通の皆様に直接お会いできる機会は極めて限られていますから、オーディオ・ホームシアター展を商談もできるような場にしたいですね。
開催場所も課題です。オーディオ以外の業界も含め、新規出展企業が増えるのは大変嬉しいことですが、スペースの問題で今年出展をお断りさせていただいたところもありました。
ネットワークを介したオーディオの楽しみ方やハイレゾを核にしたオーディオの楽しみ方が増えるにつれて、業界の範囲が広がっていきます。それを受け止めていくための会場をどうするか、また出展希望社が広がる中で、ショーのコンセプトを再度絞り込んでいくことも必要です。セミナー数の見直しも必要かもしれません。
課題はいくつもありますが、もっともっとオーディオの楽しみを広めていけるような、そして、市場を盛り上げていけるようなイベントにしていきたいと考えています。
−− オーディオ・ホームシアター展2014が盛況裡に終了しました。主催団体としてどのように総括されていますか。
校條氏 今回はショーのテーマを「ハイレゾ」1本に絞り、それをいかにユーザーに見せるか、いかにしてユーザーに理解していただけるかについて徹底的に工夫しました。その結果、出展者数、入場者数ともに昨年を大きく上回ることができました。
出展社数は昨年の82社から92社に増え、2000年代に入って初めて90社を超えることができました。入場者数は入館証の発行ベースで初日7,100人、2日目7,900人,3日目5,200人、3日間合計で20,200人と前年比112.8%と伸びました。発行手続きをされない方、同じ入館証で来場された方も含めると累積入場者数はさらに増えるでしょう。
−− 昨年までに比べて若い人たちが増えたように見えました。来場者構成の面での変化についてはいかがでしょうか。
校條氏 来場者アンケートの集計はまだできていませんが、3つの点で大きな変化があったと感じています。1点目は来場者が一世代若返ったことです。そしてこれに伴って、マニアやベテラン層でない人や女性の来場者も増えたように思います。来場者の滞留時間が増えたことも今回の大きな特徴でした。
2点目は、業界関係者や報道関係者の来場が増えたことです。報道関係者は昨年47媒体だったのに対し、今年は62媒体でした。これはハイレゾへの注目の高まりやテクニクスブランドの復活なども寄与しているように思います。
3点目は、出展社構成に変化が出てきたことです。IOデータさんやバッファローさんなど従来は異業種だった企業も、ハイレゾをキーワードに新たに出展されました。
−− オーディオ協会では2002年にオーディオエキスポをいったん休催、2003年から会場を横浜に移してA&Vフェスタとしてイベントを再開。さらに2007年度には会場を秋葉原に移されました。ここからイベントの狙いを大きく変えられたように思われます。
校條氏 そのとおりです。ここからイベントのコンセプトを大きく変えました。オーディオ協会以外にもオーディオショーを主催されている団体もありますし、販売店での視聴会もあります。そのような中で、オーディオ協会が主催するイベントは単純な展博ではないものにするという方向に切り替えました。
オーディオ協会の役割は「市場を創っていくこと」「市場を広げていくこと」です。そのオーディオ協会が主催するショーが、単なるメーカーのPRの場で終わっては意味がありません。先進的な技術要素をわかりやすい形で見せ、次世代のオーディオを提示しなければいけません。そのためには明確なコンセプトやテーマを掲げて、それをどうやってお客様に理解していただくか、いかにして来場者の幅を広げていくかということが大切です。
秋葉原に会場を移した2008年2月に開催したオーディオ・ホームシアター展から、新しい試みをいくつも展開してきました。たとえば、様々なセミナーの開催や、複数のメーカー製品の組合せ試聴を展開する「音のサロン」や、主催者団体による協会テーマブースの設定などといった、メーカーやブランドの枠組みを超えた提案です。今年は、出展各社のブースでのセミナーや試聴会以外に、過去最高となる44ものセミナーを開催しました。オンキヨー、デノン、パイオニア、マランツ、ヤマハの4社5ブランド合同イベントの開催も今年の新たな出来事です。秋葉原に会場を移した2008年の「音展」から進めてきたことが、ようやくまとまってきたように思います。
−− ハイレゾを契機にオーディオ市場が盛り上がりを見せ始めてきています。オーディオ・ホームシアター展も含めて協会として今後取り組んでいく課題は何でしょうか。
校條氏 ネットワークオーディオが注目されていますが、それは単なる手段にすぎません。そこにハイレゾを加えることで、ユーザーに対してどういう価値を打ち出していくかが問題です。音楽をいい音で楽しむ人を増やし、市場を拡大していくことがわれわれのミッションです。
今の若い人にとってハイファイという言葉はほとんど有名無実になってしまっています。ハイレゾリューションということに新しい価値を認めてもらえるものであるならば、これをオーディオ市場再生の切り口に使っていきたいと考えています。
−− 来年の開催に向けた課題は何でしょうか。
校條氏 ひとつはトレードショーとしての側面を強めていきたいということです。米国のCESやドイツのIFAは元々トレードショーでした。国内のオーディオ市場は大手や中堅の専業メーカーだけで成り立っているわけはありません。多くのクラフトメーカーがあります。小規模なクラフトメーカーにとって流通の皆様に直接お会いできる機会は極めて限られていますから、オーディオ・ホームシアター展を商談もできるような場にしたいですね。
開催場所も課題です。オーディオ以外の業界も含め、新規出展企業が増えるのは大変嬉しいことですが、スペースの問題で今年出展をお断りさせていただいたところもありました。
ネットワークを介したオーディオの楽しみ方やハイレゾを核にしたオーディオの楽しみ方が増えるにつれて、業界の範囲が広がっていきます。それを受け止めていくための会場をどうするか、また出展希望社が広がる中で、ショーのコンセプトを再度絞り込んでいくことも必要です。セミナー数の見直しも必要かもしれません。
課題はいくつもありますが、もっともっとオーディオの楽しみを広めていけるような、そして、市場を盛り上げていけるようなイベントにしていきたいと考えています。