<山本敦のAV進化論 第62回>
「新しい音楽文化をつくりたい」。「LINE MUSIC」担当者インタビュー
「当社では年内500万曲を揃える計画を発表しています。配信の許諾が出ている楽曲については、今後条件が整えばどのプラットフォームでも配信されることになるので、最終的にはどのサービスもだいたい同じ曲数に収まるはずです。そこからはユーザビリーティなどの面で各社のサービスに差が出てくると思います」(高橋氏)
筆者の実感としてLINE MUSICはどちらかと言えば若者に人気のアーティストを中心に楽曲を揃えているように感じられるが、そこはある程度重み付けしているのだろうか。高橋氏はこう答える。
「はい。優先的に若年層のユーザーを獲得したいと考えていますので、その層に人気のアーティストは積極的に増やしています。現在参加いただいているアーティストの方々には、アーティストのLINE公式アカウントも活用いただきながらファンとのコミュニケーションが図れるところなど、LINE MUSICならではの可能性を感じていただいているようです。定額制音楽配信に反対というアーティストの方もいらっしゃいますので、LINE MUSICのメリットについても十分にご説明しながら、今後も参加を呼びかけていきたいと考えています。また海外のインディーズアーティストの楽曲も、他のサービスに引けを取らないように増やしていくつもりです」。
同社の積極的な姿勢は、7月の中旬から人気グループAKB48の曲が続々と追加されたり、徐々に参加アーティストが増えているところにも表れている。
アーティストへの収益分配についてはどのようなポリシーを持っているのだろうか。LINE MUSICとして公式には発表していないが、高橋氏は次のように答えてくれた。
「多くの定額制音楽配信サービスと同様に、全再生回数に応じて収益を配分するというかたちを取っています。これは全世界でほぼルール化されつつあるモデルです。あとはレーベルとの契約内容に基づいて対応します。
ここで強調しておきたいことは、LINE MUSICが収益を上げることが優先ではなく、あくまで音楽文化の活性化を私たちは大事に考えているということです。その中で、アーティストの方々にも正当な対価をお戻しできる仕組みをつくることが目的です。
例えばコンテンツに対する収益をお支払いするだけでなく、LINEを活用してファンを増やしたり、色々な接点をつくれるところなど、プラットフォーム全体を強化していくことでアーティストを応援していくことも大事な活動の一環と捉えています」。
■シェアによる「友だちづて」のレコメンドがLINE MUSICの強み
ライバルのApple Musicでは音楽ツウの「キュレーター」が、音楽ファンの勘所を押さえたプレイリストを手作りしていたり、AWAではユーザーが自作したプレイリストを公開できる機能を設けるなど、膨大な定額制音楽配信サービスのアーカイブを活用するための「レコメンド機能」については各社がいま最も注力するところだ。LINE MUSICもその例外ではなく、音楽を媒介としたコミュニケーションを活発化させるためのプレイリストづくりには力を入れている。