<山本敦のAV進化論 第62回>
「新しい音楽文化をつくりたい」。「LINE MUSIC」担当者インタビュー
LINE MUSICの場合もプレイリストは社内の編成チームがすべて人力で制作しているそうだ。「音楽のバックグラウンドを持つスタッフや、外部の提携パートナーが音楽の深い知識を活かしながらプレイリストを作成しています」と高橋氏は舞台裏を語る。
「ユーザーの方々が“お、この曲いいな”と思える出会いの場を、手作りで届けたいと考えています。LINE MUSICには、LINEやTwitterを使ってプレイリストをシェアできる機能があります。シェアの機能を活かして、友だちどうしの横のつながりを元に新しい音楽に出会える楽しみ方もあります。私たちは“友達づて”のレコメンドが最も強力だと考えます。一人が聴いて終わるのではなく、友達とシェアしながらどんどん熱が高まっていくようなプラットフォームがLINE MUSICの強みです」。
LINE MUSICは、新人ミュージシャンのプロモーションを後押しするツールにもなり得る。楽曲を作成したアーティストは、LINEのアーティストアカウントに登録することで、集めたフォロワーへダイレクトに音楽や情報を提供することができる。著名アーティストの事例として、例えばEXILE TRIBEや三代目J Soul Brothersが新曲のプロモーションにLINE MUSICを活用しているそうだ。
アーティストからも、LINE MUSICはファンと身近に交流できるツールとして好評を得ていると高橋氏は語る。例えばLINE MUSICに楽曲を提供しているTM Revolutionの場合、独自にプレイリストをつくって提供していたり、生放送番組の配信にも参加して自身の楽曲を積極的にアピールしている。
一方で、LINE MUSICではユーザーが自分でプレイリストを作成して、LINE MUSICのプラットフォーム上(つまり不特定多数)に公開することはできない。今のところ作成したプレイリストは友だち単位でシェアができ、受け取った側はプレイリストをマイミュージックの「マイプレイリスト」に取り込める。ただし、取り込んだ時点で誰から送られたプレイリストなのかはわからなくなる。
LINE MUSICでは年内を目処にプレイリストを一般公開できる機能の拡充も検討しているようだが、そこは一定の制限も設けながら慎重に進めていく考えだ。「一般ユーザーの方が公開するプレイリストには、タイトルや楽曲の内容が重複するものもたくさん出てくると思います。似たようなプレイリストが際限なく増えてしまうと、それはそれで活用しにくくなってしまいます。そこでLINE MUSICの場合は、まずユーザーの方々を巻き込んだ“プレイリスト募集キャンペーン”のようなかたちでスタートして、優秀作を選んで公開するという手段も検討しています」と高橋氏は説明する。
■「どんどん進化するLINE MUSIC」にしたい
もっとも、このあたりの新規機能の拡充については柔軟に対応したいというところが高橋氏の本音だ。「ユーザーの動向やニーズを適宜見ながら、すぐにでも提供した方がよいものは前倒しで進めていきますし、反対に機能としては既に用意しているけれど、今のところニーズが薄そうなものは温存しておくという判断もしながら進めていきます」という。多くのユーザーが必要としている機能ならば、すぐにでも用意して出すというのがLINEのポリシーだ。