<山本敦のAV進化論 第70回>
【インタビュー】民放5社の見逃し配信「TVer」は “若者のテレビ離れ” を食い止められるか?
「TVerの基本は見逃し配信を目的としていますので、その時に毎週放送しているレギュラー番組、もしくはそれに準じたものが並ぶとイメージしていただければよいと思います。2〜3時間のスペシャルドラマ番組などについては、2週間に渡って公開する場合もあるかもしれませんが、基本は毎週更新とします。
まだ例外については具体的に決めていませんが、ルールでがんじがらめにするつもりはありません。各局の判断を尊重し、ユーザーのニーズと権利者の皆様の考えに合わせた形で配信できるコンテンツを整理していきたいと考えています。
TVerのようなサービスが出てきたとしても、リアルタイムで放送される番組の視聴率が一つの指標になっていることには変わりがなく、リアルタイム視聴を促すためのプロモーションの一つとしてTVerを利用するという効果も狙っています。その範囲内でどんなコンテンツをTVerで公開していくのか、枠組みは必然的に定まっていくと思います」
TVerに公開されるコンテンツの種類はドラマやバラエティ以外にも広がる可能性はあるのだろうか。長谷川氏は各キー局の関連BS局で放送された番組や、ネットワークの系列局が自社で制作している番組を提供するパターンも考えられると説明している。
さらに番組のジャンルについては、スポーツ番組はTVerのサービスに乗せることは難しくはないが、ライブで見逃した試合をそのまま見逃し放送でチェックする人が少ないだろうと長谷川氏らは口をそろえる。「結果がわかってしまっていればダイジェストで十分という方も多いと思います。同じことがニュース番組にも言えると思います」
またアニメについては、現在多くの作品が製作委員会方式でつくられているため権利処理が難しく、しばらくはTVerで配信するのは難しいというのが参加各社の見方だ。音楽番組についても出演者それぞれの権利関係の処理が非常に複雑なため、当面はTVerのラインナップに加わることはないだろう。
バラエティ番組などを「人気コーナー単位」でショートコンテンツとして配信するパターンもあり得るのだろうか。短尺のコンテンツはモバイル機器で通勤・通学の時間、電車の中で楽しむのにも最適なので、普及拡大のキラーコンテンツになる可能性もある。この問いかけに対しては龍宝氏は次のように答える。
「ショートコンテンツは将来的には採り入れてみたいと考えていますが、番組全体の中からコンテンツを切り出して使うと、どこからどこまでの範囲で、誰に権利が発生するのかという仕分けが非常に難しくなってくるという問題があります。その点をじっくり議論しながら検討すべきだと考えています」
■画質・転送ビットレート、検索機能はどうなる?
TVerで配信される動画の画質や転送ビットレートについて須賀氏に訊ねてみた。