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【特別企画】日本独自に進化する音質

Unique Melody最新イヤホン「MAVIS」「MACBETH」の進化を、開発者・評論家・編集部の“3者視点”で探る

公開日 2015/10/15 10:00 記事構成:ファイル・ウェブ編集部
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【1】開発者・宮永氏が語る、“MAVIS&MACBETH開発の狙い”

まずは、日本におけるUnique Melodyイヤホン開発の“キーマン”ともいえるミックスウェーブの宮永賢一氏に、開発サイドの狙いを伺っていきたい。宮永氏は、Unique Melodyとミックスウェーブの共同開発モデル5機種全ての製品化に携わってきた人物で、音質チューニングも担当している。

ミックスウェーブ 宮永氏

まずは、現在日本で展開されている現行ユニバーサルモデル4機種の位置づけを整理しよう。さっそく各機種のキャラクターの違いを紹介して頂いた。


MASON

MAVERICK


MAVIS

MACBETH
宮永氏:「最上位モデルのMASONは、Unique Melodyとミックスウェーブとの共同開発製品の中でも唯一の全ドライバーBA型モデル。12基のBAドライバーを搭載するフラグシップとしてラインナップしています。MASON(メイソン)という言葉は「石工職人」という意味を持ちますが、Unique Melodyとの共同開発をスタートした機種として、『1からメーカーイメージを作り上げていく』という意味が込められています」。

MASON

宮永氏:「MASONと同時発表したMAVERICKは、ドライバー構成とサウンドデザイン、共に『唯一無二』を目指したハイブリッド型モデルです。低域用にダイナミックドライバーとバランスド・アーマチュアドライバーを1基ずつ採用することで、ダイナミックドライバーだけでもできない、バランスド・アーマチュアドライバーだけでもできない、独自のサウンド設計を築き上げました」。

MAVERICK

宮永氏:「そしてMAVERICKのサウンド設計をベースに開発したのが、新モデルのうちの1つ、MAVISです。具体的には、20Hz~40Hz辺りの低音域に膨らみを持たせ、より広いサウンドレンジを確保できるようにしました。ハイブリッド型で、低音域の再現性に開発時間を費やした結果、低域にダイナミックドライバーを2基採用することになった新設計のモデルです。価格差はあれど、MAVERICKとのグレードの差はつけていません」。

MAVIS

宮永氏:「最後に、もう1つの新モデルであるMACBETHは、共同開発モデルの中でも初めて『エントリー機』として開発されたハイブリッド型モデルです。MACBETHの仕様に関しては一部が非公表となっていますが、その理由はエントリーモデルという肩書に因われずMACBETHの『音質』を純粋に評価して欲しいという開発側の想いによるものです。これまで共同開発してきたユニバーサルモデルは、それぞれがどういった音の個性を持つべきかを試行錯誤して作られたのですが、MACBETHの場合は、サウンドデザインに関する明確なコンセプトはあえて掲げませんでした。これまでの上位機種にも負けない『最強のエントリーモデル』になることを一番のコンセプトして開発しました」。

MACBETH

では、いよいよ新モデル2機種について詳細を聞いてみたい。宮永氏によれば、MAVISとMACBETHの製品企画は半年以上前から始まっていたとのことで、その時点で漠然と「次はエントリーモデルと、価格帯的にその間を埋められるモデルを作ろう」という考えがあったという。実際にドライバー構成やサウンド設計について本格的に取り組み始めたのは今年の5月上旬に入ってからとのことで、2機種の音質を決定したのは宮永氏だ。では、具体的にそれぞれどのようにサウンドデザインが行われたのだろうか。

宮永氏:「MAVISには、所謂バスレフ構造によるポートが2つあいています。この設計は、ミックスウェーブ側の発案によるものです。ポートが1つでは、2基使用されているダイナミックドライバーを上手くコントロールできず、低域過多なサウンドになってしまったんです。これを解決するため、最終的にポートを2つ備える構造になりました。サウンド設計としては、AK240などの高級DAPと組み合わせて使われることを前提に、ハイエンドユーザーをターゲットにしています。『録音が良い音源』を再生して納得できるサウンドを届けられるようにしました。サウンド設計時には、AK240のほか、普段私が使用している『iPhone 6 + KaiserTone』などの試聴環境もリファレンスに使用しました。iPhone 6単体でも必要な音量が得られること・サウンドデザインが大きく崩れないことを確認するためです」。

バスレフポートを2基備えている

本体内側のようす

宮永氏:「一方でMACBETHの方は、MP3/AACなどの圧縮音源をiPodやWalkmanで聴いているユーザーから、AK100llあたりのミドルクラスのDAPを使用するユーザーまで、幅広い層をターゲットに想定しています。先ほど、サウンドのコンセプトは掲げていないとお話しましたが、結果的にはJ-POP、J-ROCK、K-POP、アニソンなどをより良く楽しめるようなイメージになったという感じです。具体的には、低域と高域に少しだけ量感を持たせたチューニングを行っており、これによって失われた音域をイヤホン側のチューニングで補い、結果的にフラットな聴こえ方になることを狙っています。チューニング時には『iPhone 6 + KaiserTone』『AK100ll』『NW-A16』などの環境をリファレンスにしました」。

こちらはバスレフポートが1基

本体フォルムはMAVISなどその他Unique Melody製品と共通

最後に、Unique Melodyとの共同開発を行うにあたって、ミックスウェーブとして最も大事にしていることは何かを宮永氏に聞いてみた。

宮永氏:「Unique Melodyと製品を共同開発するうえで最も大事にしていることは、その時に流行っている音楽やイヤホン、プレーヤー、アンプに至るまで、日本のマーケット状況をその都度把握し、ユーザーの最新ニーズを意識することです。そういった市場動向を、日本の代理店業務を行う私たちミックスウェーブ側が的確に把握することによって、時代のトレンドにあわせたより良い製品を届けられるように取り組んでいます。音楽の流行が変われば、それと同時に音楽制作者が伝えたい音楽の在り方も変わります。プレーヤーが進化し、新しいモデルが一般に普及すれば、ベースとなるサウンドも変わります。いつまでも昔のプレーヤーや楽曲でチューニングするのではなく、時代にマッチした製品を使って開発する必要があるので、そういった最新のトレンドには常に目を向けています。そこで今回のMAVISとMACBETHにあたっては、AKシリーズやWalkmanの最新モデル、iPhone 6などをリファレンスにしたわけです」。

次ページ【2】評論家・野村ケンジが語る、MAVISとMACBETHにみる“Unique Melodyの進化”

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