<山本敦のAV進化論 第78回>TOKYO SMARTCAST 武内氏インタビュー
“デジタル地上波最高音質放送”とは? 来春開始「i-dio」キーマンに訊く
武内氏はまた、通信の双方向性を活かしながらTOKYO SMARTCASTの視聴者が集えるデジタルコミュニケーションプラットフォームをつくる構想についてもこう説明する。
「TOKYO SMARTCASTは、“パーソナルメディア”としてのラジオのDNAを大切にしたいと思っています。ラジオにはDJやパーソナリティとのやり取りから生まれるコミュニケーションの魅力があります。ラジオの一斉同報性を活かしながら、ユーザーが発信する情報をより多くの方々に向けて広げられる特性があります」。
「現在多くの方々が利用しているTwitterやFacebookなどSNSサービスとはまたひと味違った、よりパブリックなデジタルコミュニケーションプラットフォームが形にできるのではないでしょうか」。
■「一方通行ではない、多くのユーザーが主体的に参加できるようなサービスに」
武内氏はデジタル技術の特性を上手に取り込みながら、新しい音楽やエンターテインメントの在り方を具現化していきたいと意気込みを語る。
「我々は“挑戦と協創”をコーポレートポリシーに掲げています。これからも技術革新を実現しながら、多くのパートナーの方々と一緒に新しいムーブメントを巻き起こしていきたいと考えています」。
「ユーザーの方々からのフィードバックもサービスの成長には不可欠です。例えばクラウドファンディングのように、ユーザーの皆様が聴きたい番組のリクエストを受けて番組を実現していくようなことも有り得ます」。
「既存のラジオ放送のように一方通行ではなく、ユーザーとのコミュニケーションを土台に新しいものが出来あがって行くダイナミズムにこそ、面白さを感じます。デジタル技術をベースにしていますが、根本にあるのは人と人の結びつきであり、アナログ的なバイタリティです。多くのユーザーが主体的に参加できるようなサービスにしていきたいと思います」
当面の課題はTS ONE、あるいはTOKYO SMARTCAST自体の存在をより広く知らしめていくことに加え、対応機器を増やしていくことだが、国内でハイレゾへの注目が高まる中、放送の特性を活かしてハイレゾなみに高音質なコンテンツサービスが無料で楽しめるようになれば、TS ONEならではの強いオリジナリティになる。
サービスが軌道に乗れば、TS ONEのオリジナル番組を録音して繰り返し聴きたいというニーズも生まれ、これに対応する製品も出てくるだろう。オーディオ・ビジュアル市場を活気づけるファクターとしても期待したい。TOKYO SMARTCAST、そしてTS ONEチャンネルの楽しみ方やコンテンツのクオリティについては、来年3月に本放送が開始されてからレポートしたい。