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<山本敦のAV進化論 第75回>

ケタ違いの音を小型筐体に凝縮。話題のポタアン「Mojo」の秘密をCHORDフランクスCEOに聞く

公開日 2015/11/09 12:28 山本 敦
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10月下旬に開催されたヘッドフォン祭で、英Chord Electronicsのポータブルヘッドホンアンプ「Mojo」(関連ニュース)がデビューした。同社のCEOジョン・フランクス氏にインタビューした内容を交えながら、Mojoの魅力に迫ってみたい。

英ChordのUSB-DAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプ「Mojo」

なお、Chordがどんな会社で、どういった音づくりのフィロソフィーを掲げているか、またポータブルヘッドホンアンプの第1弾モデル「Hugo」や、据え置き型ヘッドホンアンプ「Hugo TT」などのコンセプトについては、筆者が以前当サイトでレポートしたロバート・ワッツ氏へのインタビュージョン・フランクス氏へのインタビューを参照して欲しい。

ジョン・フランクス氏

■小型化・低価格化しつつも「音質はHugoに追いつき追い越すことを目指した」

本機の前身である「Hugo」は、2014年2月に国内で発売。超弩級のHi-Fiコンポーネントから、デスクトップなどでも活用できるChordetteシリーズまで多彩なバラエティを持つChordのラインナップに、新しく“手のひらサイズ”のコンポーネントが加わったインパクトはそれなりに大きなものだったが、今回さらに“ポケットサイズ”へとコンセプトを前進させた背景について、フランクス氏は次のように語っている。

Hugo

「Hugoは素晴らしい製品だと自負していますが、日本円で25万円近くと、ポータブルヘッドホンアンプとしては高価な製品です。だから、『Hugoは買えないけれど、Chordの音を聴いてみたい』という方々に使ってもらえる製品を作りたいと考えて、Mojoのポートフォリオを立ち上げました」

市場想定売価を比べてみると、Hugoが25万円前後であるのに対してMojoは75,000円前後と、ざっくり1/3ほどの価格だ。「Hugoの感動をそのまま伝える」だけでなく、ポケットサイズを実現することなど、Mojoの開発にはいくつかのテーマがあったようだ。

「音質はHugoに追いつき、あるいは追い越すことを目指しました。大きな筐体にすれば比較的簡単に実現できますが、Mojoはポケットサイズにこだわったので、構想から商品化までに3年が必要でした。ロバート(ワッツ氏)は『目指す音質を実現するためにはパワーが必要だから、サイズを大きくしても致し方ない』と主張していましたが、私がその意見を突っぱねて、コンパクトサイズを断固追求すべきと誇示し続けました。最終的に内部回路とチップの消費電力を抑えることが課題となっていましたが、ザイリンクスの新しいFPGAである『Atrix7』が表れたことで解決に至りました。結果的に、ロバートも私の意見が正しかったと納得してくれました(笑)」

Hugoの音質とテクノロジーを踏襲しながら、手のひらに収まるポケットサイズを実現

「Mojoは簡単に使えるポータブルヘッドホンアンプにするべきと考えました。市場には本体にたくさんのスイッチが付いているアンプが存在していますが、あれこれスイッチをON/OFFしていると、結局どの音がそのアンプの本質なのかわからなくなってしまうし、ユーザーにも使いづらくなってしまいます。そこでMojoでは本体に搭載するボタンはシンプルにして、“電源とボリュームのみ”としました。スマホやPCをケーブルでつなげば、全自動で使えようにしました」

■バランス対応にしなかった理由とは?

Mojoは小さな筐体ながら、リニアPCM系は最大768kHz/32bit、DSD系は最大11.2MHzのネイティブ再生をサポートしている高機能なDAC機能内蔵アンプだ。ヘッドホン出力もパワフルで、最大800Ωのハイインピーダンスなヘッドホンも余裕でドライブできる。その力強さだけでなく「非常にセンシティブなカスタムIEMでも極上のサウンドが楽しめるよう、ノイズフロアを極めて低くしている」ことも特徴とフランクス氏は説明を付け加える。

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