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<山本敦のAV進化論 第75回>

ケタ違いの音を小型筐体に凝縮。話題のポタアン「Mojo」の秘密をCHORDフランクスCEOに聞く

公開日 2015/11/09 12:28 山本 敦
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Mojoの本体にある3つの球体のボタンは、背後にLEDが仕込まれている。正面向かって右側の電源ボタンは、入力信号のサンプリングレートや種類によって色が「192kHzは青色、96kHzは緑、DSD 5.6MHzは白」といった具合に変化する。ボリュームボタンもアップダウンに呼応して様々な色に変化する。黒いシャーシに、色んな色に光る丸いボタン。全部のボタンが赤く点くと、何だか宮崎映画に出てくるあの有名な虫によく似ている…。

■Mojoの音に触れる

さっそく音を鳴らしてみる。S/Nのよさとノイズフロアの低さはケタ違い。ジャズギターのセッションは全てのプレーヤーの手元が脳裏に浮かぶほど、ディテールが鮮明に浮かび上がる。楽器の音の距離感が極めて近い。空気が透明に澄み渡っていて、パーカッションは余韻の一粒までしっかりと音像が立っている。エレキベースの旋律は太く滑らかで、艶やかだ。身がタイトに引き締まっていて無駄な付帯音が一切ない。心地良い緊張感がリアリティをいっそう引き立たせる。

ロックのライブアルバムも非常に良かった。広大な会場にひしめきあうオーディエンスの熱狂が情景として濃く立ち上がってくる。空間に溶けていくボーカルや楽器の余韻に粘り気があって、とても噛み応えのある音楽だ。ドラムスの低音は分厚く力強いが、音の輪郭はシャープで切れ味が抜群に鋭い。

DSDの音源はジャズの女性ボーカルを聴いた。歌い手の距離がものすごく近くに感じられる。ノイズフロアのレベルがとても低いので、空気が氷のように冷たく研ぎ澄まされている。真っ暗闇のキャンパスに、ボーカルやピアノ、ウッドベースが鮮やかな色の絵の具で絵画を描いていくようだ。その音の味わいは、スペインのバレンシア地方に出かけて、旬の季節に飲む絞りたてのバレンシア・オレンジジュースみたいに甘く鮮烈だ。

Chordのフランクス氏は、「Mojoはほかにない、ちょっと面白いアンプにしたいと考えています」と語っている。具体的にはどんなことを指しているのかと言えば、近くMojo専用のエクステンションモジュールを商品化する計画があるのだという。

「MojoのUSB端子側に接続して、様々な機能が付け足せるモジュールを計画しています。例えばiOS機器と接続するためには今のところアダプターが必要ですが、これをモジュールに内蔵することで、USBケーブルだけでつなげるようにしたいと考えています。また、このモジュールにaptX対応のBluetooth通信機能やWi-Fi機能を付けたり、microSDカードスロットとメディアプレーヤー機能を足して、Mojoをハイレゾ対応のポータブルプレーヤーのように楽しめる使い方も提案したいと考えています」

フランクス氏は「エクステンションモジュールは、このiPhoneとMojoのギャップぐらいのサイズになる予定」だと語っている

ハイレゾ対応のポタアンとプレーヤーをドッキングさせた製品には、先行する事例としてティアックの「HP-A90SD」もあるが、後付けの機能をエクステンションモジュールで提供するという発想はとてもユニークだ。詳報については、来年初めのCESに出展するChordブースを訪問した際に取材したい。

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