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11.2MHz対応も視野? キーマンたちが語るDSDストリーミング配信「PrimeSeat」実現の背景と今後の展望

公開日 2016/03/25 17:32 山本 敦
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ラジオ番組は月曜から金曜までの毎平日。時間帯は午前9時〜12時/午後14時〜17時/夕方18時〜21時の3時間ずつに区切って合計9時間を1日の間にオンエアする。ストリーミング形式はDSD 5.6MHzだが、元のソースはCD品質を基本としており、1日の各時間帯でハイレゾソースのコンテンツが30分ずつ配信される。

ラジオ型だけでなくオンデマンドも用意

DSD 5.6MHzのソースを基本に配信する高音質チャンネルの「PrimeSeat」は月曜から日曜まで、毎日21時〜23時の時間帯に放送されている。プログラム編成は毎週新しいライブコンテンツを1〜2本ほどアップしながら、リピート放送とあわせて提供する。

「ユーザーの方々がサイトに訪れた際に、ラジオの休止時間帯でも常に何らかのハイレゾコンテンツを聴いてもらえるようにオンデマンドのタイトルも拡充させています。ライブで放送したコンテンツは、後からオンデマンド配信のコンテンツとして常設したり、現地のインターネット回線の状況によってライブ配信を予定していたコンテンツをオンデマンドとして公開する場合もあります」(冨米野氏)

それにしても、これほど手間をかけて製作したコンテンツを無料で配信できるのはなぜなのだろうか。

冨米野氏は「運営する立場としては、決して楽ではありません」と前置きしながら、「まずはDSDハイレゾストリーミングの魅力をできるだけ多くの方々に楽しんでもらうために、最初は無料で気軽に利用できる環境を作ることが先決と考えました」と語っている。

大容量のデータを伝送できるインターネット回線が必要なサービスなので、はじめから有償型のビジネスモデルにしてしまうと、ユーザーサポートや課金システムの構築とのバランスを図ることに時間がかかってしまい、今のタイミングでサービスをローンチすることが難しくなってしまったはずだ。「面白そうなことは、とにかく身銭を切ってでもやってみよう」というIIJをはじめ、各社のチャレンジ精神と意気込みが、この画期的なサービスを現実のものにしたのだ。

でも、わざわざデータ容量が大きくストリーミングパワーを必要とするDSD形式を選ぶ必要はあったのだろうか。

西尾氏は「DSD 5.6MHzと2.8MHzの同時送信を安定して提供するという、最も難易度の高いハードルをクリアしておけば、あとは他のフォーマットで展開も容易になるのではと考えたから」と答える。

ただ、IIJでは今後DSD形式以外でのハイレゾストリーミング配信にも積極的に取り組んでいく構えだ。実際すでに今年の2月15日から2月21日まで、大阪で行われたジャズのコンサートを、PrimeSeatとしては初めて、リニアPCM形式192kHz/24bitの品質でオンデマンド配信して成功させている。

「IIJとしてはサンプリング周波数、あるいは量子化ビット数のいずれかがCD・DATの44.1kHz/16bitを上回っている音源についてはハイレゾとして位置付けています。今後もDSDとPCM、それぞれの形式にこだわることなく、質の高いコンテンツを“いい音”でユーザーの皆様に届けたい」と西尾氏は説明している。

また冨米野氏も、「48kHz/24bitのPCM形式のファイルであれば、圧縮せずにおよそ2Mbpsぐらいに収めることができるので、インターネットの回線速度がある程度低い場合でも安定して聴いていただけるサービスを提供できるのでは」と語り、よりサービスの柔軟性を高めていくことにも意欲を示している。

■PrimeSeatのDSD配信を聴いてみる

PrimeSeatの音楽配信サービスを楽しむためには、Macの場合はOS 10.8以上、Windowsの場合はWindows 7以上の環境にプレーヤーアプリケーション「PrimeSeat」をインストールするだけで準備は完了だ。

次ページ今後は「さらに音楽プログラムのバリエーションも増やしていきたい」

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