独自DACに立ちはだかったハードルとは?
マランツのサウンドマネージャーが語る「SA-10」開発秘話【2万字インタビュー後編】
■SA-10が「リファレンスモデル」である理由とは?
ーー SA-10は、SA-7S1以来のリファレンスモデルだというお話がありました。従来のトップエンドだった「SA-11S3」がマランツのリファレンスにならなかった理由というのは、価格帯の問題だったのでしょうか。
澤田氏 SA-11S3はとてもよくできたSACDプレーヤーだったのですが、車に例えれば、素晴らしい“高級スポーティータイプ”です。しかし、試聴室のリファレンスとして欲しいのは、公道を走る一般車ではなくてレーシングカーなのです。保安装置も天板も要りません。
SA-7S1は改造すればレーシングカーになりましたが、SA-11S3は非常によくできた一般車で、それ以上に特化した形で性能をアップすることはできないモデルでした。もちろん、コンシューマー向けの製品としては非常に完成度が高いものです。
ーー なるほど。
澤田氏 そして今回のSA-10は、レーシングカーになり得るモデルです。例えば、ディスクリートDACのパートも、コストを度外視した部品に載せ替えたりできるのですから。部品グレードを上げれば、超高級DACも作れるでしょう。
尾形氏 ユーザーが様々な試聴環境において、良いと感じる音を鳴らすためには、一般車として通用するチューニングは重要なことです。ですから、澤田の言うレーシングカー的なチューニングについては、良し悪しがあるかと思います。
ちなみにマランツは、このレーシングカー的なチューニングをやってしまうことが度々あります。しかも、割と安価なモデルにおいても(笑)。こういった製品は使いこなしがいがあることは確かです。ただ一方で、何も気にしないで置いて繋いで音を出すということになると、その良さを100%発揮させるのは難しいかもしれません。
澤田氏 いずれにしろ、SA-10は間違いなくリファレンスになる製品です。いずれは改造してしまうかもしれないけれど(笑)
ーー 次にこの試聴室に来たときには、トップパネルが空いている可能性が高いですね(笑)。
澤田氏 誤解してほしくないのは、仮に手が加えられたとしても、それはSA-10が気に入らないところがあったとか、自分専用機をつくるならこうするとか、そういう意図ではないということです。SA-7S1もそうだったのですが、今度はこのSA-10をベースにして、様々な部品や回路をテストするということが始まるのです。それがリファレンスモデルと呼ぶ意味です。
そうなると、いちいちトップカバーの開け閉めをやってはいられないですからね。ネジも摩耗してしまいますから。
ーー リファレンスモデルとは、そういった意味を持つのですね。
澤田氏 ちなみにテストとして部品の交換を10回やるとすると、そのうち7回か8回はまた元の状態に戻すのですが、結果が良かったために残す場合もあります。それを何年も繰り返すと中身がだいぶ変わってくるのですね。そうやって蓄積された成果が、次のモデルに投入される、そういう流れになっています。
ーー SA-10は、SA-7S1以来のリファレンスモデルだというお話がありました。従来のトップエンドだった「SA-11S3」がマランツのリファレンスにならなかった理由というのは、価格帯の問題だったのでしょうか。
澤田氏 SA-11S3はとてもよくできたSACDプレーヤーだったのですが、車に例えれば、素晴らしい“高級スポーティータイプ”です。しかし、試聴室のリファレンスとして欲しいのは、公道を走る一般車ではなくてレーシングカーなのです。保安装置も天板も要りません。
SA-7S1は改造すればレーシングカーになりましたが、SA-11S3は非常によくできた一般車で、それ以上に特化した形で性能をアップすることはできないモデルでした。もちろん、コンシューマー向けの製品としては非常に完成度が高いものです。
ーー なるほど。
澤田氏 そして今回のSA-10は、レーシングカーになり得るモデルです。例えば、ディスクリートDACのパートも、コストを度外視した部品に載せ替えたりできるのですから。部品グレードを上げれば、超高級DACも作れるでしょう。
尾形氏 ユーザーが様々な試聴環境において、良いと感じる音を鳴らすためには、一般車として通用するチューニングは重要なことです。ですから、澤田の言うレーシングカー的なチューニングについては、良し悪しがあるかと思います。
ちなみにマランツは、このレーシングカー的なチューニングをやってしまうことが度々あります。しかも、割と安価なモデルにおいても(笑)。こういった製品は使いこなしがいがあることは確かです。ただ一方で、何も気にしないで置いて繋いで音を出すということになると、その良さを100%発揮させるのは難しいかもしれません。
澤田氏 いずれにしろ、SA-10は間違いなくリファレンスになる製品です。いずれは改造してしまうかもしれないけれど(笑)
ーー 次にこの試聴室に来たときには、トップパネルが空いている可能性が高いですね(笑)。
澤田氏 誤解してほしくないのは、仮に手が加えられたとしても、それはSA-10が気に入らないところがあったとか、自分専用機をつくるならこうするとか、そういう意図ではないということです。SA-7S1もそうだったのですが、今度はこのSA-10をベースにして、様々な部品や回路をテストするということが始まるのです。それがリファレンスモデルと呼ぶ意味です。
そうなると、いちいちトップカバーの開け閉めをやってはいられないですからね。ネジも摩耗してしまいますから。
ーー リファレンスモデルとは、そういった意味を持つのですね。
澤田氏 ちなみにテストとして部品の交換を10回やるとすると、そのうち7回か8回はまた元の状態に戻すのですが、結果が良かったために残す場合もあります。それを何年も繰り返すと中身がだいぶ変わってくるのですね。そうやって蓄積された成果が、次のモデルに投入される、そういう流れになっています。