野村ケンジがレポート
マランツ「SA8005」「PM8005」レビュー − 大幅にブラッシュアップした新モデルを聴く
■大幅にブラッシュアップされシリーズ後継機が登場!
マランツ初のUSB-DAC機能搭載SACDとなったSA8004が発売からはや3年。大幅なブラッシュアップが施されSA8005としてリニューアルされることとなった。同時に、同シリーズのプリメインアンプPM8005も登場。ともに試聴する機会に恵まれたので、その詳細をレビューしていこう。
まずSA8005は、USB-DACや同軸/光デジタル入出力を装備するSACDプレーヤー。特にUSB-DAC機能に関しては先代より大幅なグレードアップが施されており、最大192kHz/24bitまでのリニアPCMに対応したほか、話題のDSDも5.6MHzまでフォロー。しかもASIO、DoPの両方に対応する徹底ぶりが嬉しい。
一方で、音質的にもかなりの追求が行われている。マランツならではの流麗なM1デザインやダブルレイヤードボトムシャーシはそのままに、内部回路を全面的に見直した。
USB接続されたPCやSA8005内のデジタル回路から発生する高周波ノイズを排除する「デジタル・アイソレーション・システム」や、上位モデルSA-14S1と同じ44.1kHz/48kHz系用の超低位相雑音クリスタル採用のクロック回路、マランツ独自の高速アンプモジュールHDAM採用のフルディスクリート・アナログ出力回路、ハイスルーレートオペアンプ+HDAM-SA2Rバッファー構成のヘッドホンアンプなどを搭載。加えて大容量トロイダルコアトランスやニチコン製のカスタムブロックコンデンサー、真鍮削り出しピンジャックなど、パーツひとつひとつまで徹底的なクオリティアップを行っている。
また、SACDメカも進化が推し進められている。スピンドルシャフトを短くすることで、高速回転時のディスクのブレを抑制したほか、2mm厚の鋼板を用いたベースを採用することで振動を抑制。読み込み精度をさらに高めたという。なお、DACは先代に引き続きシーラスロジック「CS4398」を搭載。こちらは、マランツがフィリップスの子会社時代に音質評価に関わった「CS4397」の上位モデルだけに、ノウハウの充実を考えると順当なチョイスといえる。
一方のPM8005は、オリジナルのディスクリートアンプモジュールHDAM-SA2、HDAM-SA3を使用した回路構成や、パワーアンプ用電源回路と出力段を一体化したショート・パワーライン・レイアウトなどは先代PM8004から受け継ぎつつも、各部をブラッシュアップ。電源部の強化や回路全体の低インピーダンス化、パワートランジスタの電流容量アップなどによって、瞬時電流供給能力をPM8004の25Aから45Aへと80%向上させることで、低域の表現力を格段に向上させているという。
■駆動力やキレの良さが充分、パワフルな音色が印象的
実際、いい意味でマランツらしからぬパワフルなサウンドキャラクターがこのアンプの最大の進化ポイントといえる。両機のセットに、モニターオーディオのSilver 6を組み合わせて試聴してみたところ、鳴りっぷりの良い、豊かな響きの低域を聴かせてくれたのだ。これまでのマランツ製アンプといえば、どちらかというと表現のきめ細やかさが最大の特徴といえたが、PM8005はそういった繊細さを保ちつつ、キレの良さやスピーカーのウーファーユニットを十全に鳴らし切る、タップリとした駆動力やキレの良さを得ている。
一方、SA8005の方はさらに素晴らしい。特にUSB接続が顕著で、S/Nも解像度木目細やかさも格段に異なっているのだ。たとえば弦楽器は、ボーイングの力加減まで伝わってくるかのような繊細さを持ち合わせるようになり、ピアノは倍音成分がきれいに整っているため、のびのびとした響きを聴かせてくれる。とてもリアリティのあるサウンドだ。
SACDも試聴してみたが、こちらもかなりの実力だった。音のピュアさはUSB接続とそう変わらず、曲調によってはきめ細やかさ、解像度感でやや有利になるイメージだ。SACDプレーヤーとしても、USB-DACとしても活用したい、という人にはもってこいの製品といえる。
(野村ケンジ)
マランツ初のUSB-DAC機能搭載SACDとなったSA8004が発売からはや3年。大幅なブラッシュアップが施されSA8005としてリニューアルされることとなった。同時に、同シリーズのプリメインアンプPM8005も登場。ともに試聴する機会に恵まれたので、その詳細をレビューしていこう。
まずSA8005は、USB-DACや同軸/光デジタル入出力を装備するSACDプレーヤー。特にUSB-DAC機能に関しては先代より大幅なグレードアップが施されており、最大192kHz/24bitまでのリニアPCMに対応したほか、話題のDSDも5.6MHzまでフォロー。しかもASIO、DoPの両方に対応する徹底ぶりが嬉しい。
一方で、音質的にもかなりの追求が行われている。マランツならではの流麗なM1デザインやダブルレイヤードボトムシャーシはそのままに、内部回路を全面的に見直した。
USB接続されたPCやSA8005内のデジタル回路から発生する高周波ノイズを排除する「デジタル・アイソレーション・システム」や、上位モデルSA-14S1と同じ44.1kHz/48kHz系用の超低位相雑音クリスタル採用のクロック回路、マランツ独自の高速アンプモジュールHDAM採用のフルディスクリート・アナログ出力回路、ハイスルーレートオペアンプ+HDAM-SA2Rバッファー構成のヘッドホンアンプなどを搭載。加えて大容量トロイダルコアトランスやニチコン製のカスタムブロックコンデンサー、真鍮削り出しピンジャックなど、パーツひとつひとつまで徹底的なクオリティアップを行っている。
また、SACDメカも進化が推し進められている。スピンドルシャフトを短くすることで、高速回転時のディスクのブレを抑制したほか、2mm厚の鋼板を用いたベースを採用することで振動を抑制。読み込み精度をさらに高めたという。なお、DACは先代に引き続きシーラスロジック「CS4398」を搭載。こちらは、マランツがフィリップスの子会社時代に音質評価に関わった「CS4397」の上位モデルだけに、ノウハウの充実を考えると順当なチョイスといえる。
一方のPM8005は、オリジナルのディスクリートアンプモジュールHDAM-SA2、HDAM-SA3を使用した回路構成や、パワーアンプ用電源回路と出力段を一体化したショート・パワーライン・レイアウトなどは先代PM8004から受け継ぎつつも、各部をブラッシュアップ。電源部の強化や回路全体の低インピーダンス化、パワートランジスタの電流容量アップなどによって、瞬時電流供給能力をPM8004の25Aから45Aへと80%向上させることで、低域の表現力を格段に向上させているという。
■駆動力やキレの良さが充分、パワフルな音色が印象的
実際、いい意味でマランツらしからぬパワフルなサウンドキャラクターがこのアンプの最大の進化ポイントといえる。両機のセットに、モニターオーディオのSilver 6を組み合わせて試聴してみたところ、鳴りっぷりの良い、豊かな響きの低域を聴かせてくれたのだ。これまでのマランツ製アンプといえば、どちらかというと表現のきめ細やかさが最大の特徴といえたが、PM8005はそういった繊細さを保ちつつ、キレの良さやスピーカーのウーファーユニットを十全に鳴らし切る、タップリとした駆動力やキレの良さを得ている。
一方、SA8005の方はさらに素晴らしい。特にUSB接続が顕著で、S/Nも解像度木目細やかさも格段に異なっているのだ。たとえば弦楽器は、ボーイングの力加減まで伝わってくるかのような繊細さを持ち合わせるようになり、ピアノは倍音成分がきれいに整っているため、のびのびとした響きを聴かせてくれる。とてもリアリティのあるサウンドだ。
SACDも試聴してみたが、こちらもかなりの実力だった。音のピュアさはUSB接続とそう変わらず、曲調によってはきめ細やかさ、解像度感でやや有利になるイメージだ。SACDプレーヤーとしても、USB-DACとしても活用したい、という人にはもってこいの製品といえる。
(野村ケンジ)