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細部までこだわり抜いた新しいマイルストーン

デノンの旗艦ヘッドホン「AH-D7200」の設計思想を、開発キーマンが語り尽くす

公開日 2017/03/17 10:00 構成:編集部 小澤貴信
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AH-D7200の開発には最新鋭の音響解析が用いられた

ーー AH-D7200の開発では、音響測定やコンピューター解析が全面的に用いられたとのことです


ウッドハウジングにレーザーを照射して、その振動の様子をコンピューター上で可視化して解析する
福島氏 その通りです。本機で解析を行ったパートは大きくわけて2つあります。ひとつはウッドハウジングの振動の解析です。レーザードップラー測定といって、ハウジングにレーザーを照射して表面の振動を解析します。これにより、どの周波数帯でハウジングが振動するのかを可視化します。この結果を元に、悪影響がある帯域の振動を回避する加工をしたり、ダンピング材を調整したりすることができます。これにより音の色づけを抑えることができるのです。

ーー はい。

福島氏 もう1つはドライバーユニットの振動の測定です。同じくレーザーを照射することで振動を解析して、振動板のピストンモーションが正しく行われているかどうかを解析します。


こちらはドライバーユニットの動きの解析。歪みなくピストンモーションが正確に行われているか確認していく
ドライバーの動きをレーザー解析によって可視化した図をご覧いただけましたでしょうか。AH-D7200のフリーエッジドライバーでは、振動板全体が平行に動いているのがわかります。右側は一般的なPET振動板なのですが、振動版の周辺が固定されているため、振動板の動きにムラがでているのがわかると思います。

ーー こうした解析方法は、AH-D7200で初めて使われたのでしょうか。

福島氏 そうです。ウッドハウジングにレーザーに当てている映像をご覧いただいておりますね。

ーー バックで聞こるビープ音がヘッドホンを振動させて、それを測定しているということですね。こうした最新の解析方法を用いることが、これまでのヘッドホンづくりのノウハウや常識を変えるということはあるのでしょうか。

福島氏 これまでもカット&トライを繰り返すことで、音を追い込んでいくことはできました。しかし、測定機器の進化やシミュレーションの発達によって、どこに問題があるのか、どのような対策を行うとどのような音の変化があるのかなどを、比較的簡単に予想することが可能になりました。カット&トライを繰り返すことでモノづくりを行うことに変わりはないですが、その精度は格段に上がっています。最良の結果に至るまでのプロセスも短縮できるので、より音作りに時間をかけることもできます。

7N OFCによる付属ケーブルが奢られた

ーー AH-D7200はケーブルに力を入れてたことも特長といえるかと思います。そしてAH-D7100に引き続き、ケーブルを着脱式としています。


AH-D7100から引き続き着脱式ケーブルを採用
福島氏 ケーブルの断線は発生し得ることなので、メンテナンスの上でもケーブルは着脱式を採用したほうがユーザーには優しいです、もちろん、リケーブルを楽しんでほしいという目的もあります。

ーー それにしても、リケーブルを考えるにはもったいないくらいに豪華なケーブルが標準で採用されています。

福島氏 標準ケーブルですが、導体には7N OFCを採用しています。これはヘッドホンの付属品としては異例の高級ケーブルだと思います。これだけで買う理由があるといってもよいくらいです。

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