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<対談>貝山知弘×マランツ澤田氏

マランツ歴代ディスクプレーヤー5モデルを聴く − 「SA-10」へ連なる進化の軌跡とは

公開日 2017/09/21 10:52 聞き手:貝山知弘 構成:編集部 小澤貴信
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マランツのSACD対応プレーヤー初号機

試聴モデル4
SA-1
2000年発売 550,000円(税抜/発売時価格)


澤田氏 次に聴いていただくのが、1999年の年末に発売されたSACD対応の第一号機となる「SA-1」です。この時点でSACDが再生できるのは、ソニーさんの「SCD-1」とこのSA-1の2モデルのみでした。SCD-1はディスクを載せてから音が出るまでに30秒以上かかっていた一方で、SA-1は6秒程度で音が出るということで、そのあたりが評価されたりもしていました。

このSA-1のタイミングでは、フィリップス/マランツグループとしてはまだSACD専用のDACチップが完成していませんでした。そこで1bitで動作するフィリップスのビットストリーム型DACを活用してSACDへ対応することになりました。

SA-1では、フィリップスのビットストリーム型DAC「DAC7」を2個用いて、合計4回路を1クロックずつズラして重ねる移動平均フィルターを構成して、192fsで動作させることでS/Nを確保しました。今日お聴きいただくなかでは先ほどのモデルまでが抵抗ラダー型DACで、SA-1からは1bit型DACということになります。


貝山氏 SA-1で同じ曲を再生しましたが、先ほどと比べてよりハッキリ、クッキリとしていて特に解像感で上回っています。力感とのバランスも良いです。歌詞が明瞭に分かるのも良いですね。

澤田氏 このSA-1のDACを設計したライナー・フィンク氏が、SA-10のディスクリートDACを設計していますので、SA-10にも通じる部分があると思います。

ちなみにドライブメカはシャープ製です。フィリップスがこの頃、メカの新規開発をやめていて、SACD対応のメカがなかったのです。シャープさんのドライブメカを採用するにあたっては、我々も開発段階で様々な要望を出させていただきました。それもあって、大変よくできたメカでした。

ライナー・フィンク氏。近年のマランツのデジタルオーディオ開発におけるキーマンの1人といえるだろう

ちなみにこの「SA-1」のリモコンはシャープさんのコードで動いていて、マランツコードでは動かないです(笑)。この次のモデルもシャープさんのメカを使ったのですが、それはマランツのコードで動くようにプログラムを組みました。

貝山氏 当時のシャープは、デジタルアンプをはじめ1bitによるオーディオに取り組んでいましたね。

澤田氏 それでデバイスだけではなくて、メカも手がけられたのだと思います。マランツでは以降、このシャープ製SACDメカを多く採用していました。

貝山氏 SA-1は音の細部まで引き出していて、より現代的な音だと感じました。

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