【特別企画】“自分たちが欲しいと思える”製品作り
Campfire Audio ケン・ボール氏インタビュー。なんとヘッドホンを発表間近! 人気モデル開発の秘密も
■ヘッドホンは発表間近!ワイヤレスモデルの登場は…?
前回の来日時には、「ハイレゾ対応のオーディオプレーヤーを作るための研究もスタートしています。当社はALO audioのブランドで、ユニークな真空管方式のポータブルヘッドホンアンプをいくつも商品化してきた実績を持っています。プレーヤーは初めての挑戦です。ソフトウェア開発の面でも難しいことは多くあると思いますので、じっくりと攻めていきたいですね」との話もあったが(前回インタビュー記事)、そちらについてはその後どうだろう?
「プレーヤーについては変わらず研究を進めていて、『こういうものを作りたい』という理想像は見えてきています。ですが、まだ『製品化を前提としない研究』の段階ですね。我々がこれまで扱ってこなかったソフトウェア開発の面などでコンサルティングを名乗り出てくれた会社もあって、そちらとはまずイヤホンのコラボレーションモデルの話を進めていたのですが、うまくまとまらずにその企画も流れてしまいました」
それは残念だ。しかし、ポータブルプレーヤーなど新しいジャンルへの挑戦はやはり進めており、その際にはその技術や知見を持つメーカーとのコラボレーションも考えているということのようで、そこは引き続き楽しみである。
「ええ、うまくやっていけそうな相手と出会えればもちろん。例えばALO audioとしては、Westoneのハイエンドイヤホン『W80』にケーブルを提供していますしね。技術的なマッチングの良し悪しだけでなく、会社と会社、人と人としてうまくいく相手とであれば、プレーヤーでも良い製品を作れると思います。でも当面のメインフォーカスはイヤホンです」
なるほど。でも例えばヘッドホンであれば、ポータブルプレーヤーほどイヤホンとの技術的な隔たりも小さく、自社内で開発を進められるのでは…?
「そうですね。あとほんの少しです」
……ほんの少し!?近い内に発表できるということだろうか?
「我々自身が欲しいと思えるヘッドホンを形にするまで、とても時間がかかりました。『こういうものが欲しい』というイメージは本当にずっと前からあったのですが、そのイメージを形にして納得できる仕上がりにすることがやっと出来ました」
細かな仕様は発表時の楽しみにするとして、ヘッドホンとしての大まかなタイプはどういったものになるのだろうか?
「部屋の中で大きなヘッドホンアンプに繋ぎ、ソファに腰掛けてゆったりと…といったスタイルに向けたヘッドホンではありません。ある程度のコンパクトさを備えた密閉型ヘッドホンで、ポータブルでも使えるモデルです。サウンドとしては開放型の特徴も備えさせています。その実現が難しいところだったのですが、うまくやれる方法を見つけました」
ではもう一つ、今無視できない分野である「Bluetoothワイヤレス」についてはどうだろう。
「もちろん重要な分野と考えて研究開発は進めています。しかしまだ我々自身が『これだ!』と確信できる形にまでは到達していません。他のメーカーからすでに多く登場しているようなアイテムと同じようなものなら、我々が出す意味は無いのです。我々がそれを発表する時というのは、我々自身が使いたくなるような、我々ならではのBluetoothアイテムを形にできた時ですね」
こちらはまだ少し時間がかかりそうだが、それだけに、発表された際にはまた驚かされるものを期待できそうだ。
今回のインタビューを通じて、彼ら自身が欲しいと思えるアイテムを生み出し、彼ら自身が納得できるクオリティそのままでユーザーに届ける、Campfire Audioの在り方はそこに尽きると感じた。その姿勢はそれこそ北極星、POLARISのようにブレがない。
……POLARISといえば、ヘッドホンにはどういったモデルネームが与えられるのだろうか。イヤホンと同じく星空からなのか。それとも?そんなことも含めて、その発表を楽しみにしておきたい。
(特別企画 協力・ミックスウェーブ