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互いの製品の相性も抜群

「Abyss」「XIAUDIO」創設者インタビュー。 互いにリスペクトし合う2大ブランドを直撃

公開日 2017/12/25 11:30 山本 敦
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ハウジングの中を開けてみると、リケーブルを接続する2.5mmのヘッドホンジャックの直後にはPCB基板がドライバーで強固に固定されている。音質向上の効果だけでなく、メンテナンス性の向上を図る狙いもあるという。円形デザインのドライバーユニットにスリットを設けて、開放型としてさらに抜け味がよく透明感のある音にチューニングしている。

ヘッドホン祭にも出展されたDiana

回路は片側にエッジングで配線されているが、マグネットもユニットの形に合わせた円形の1枚板状のパーツを片側だけに配置した。複数の棒状のマグネットを配置した場合と比べて、ドライバーユニット自体を軽くして駆動効率を高めるとともに、マグネットの性能のバラツキを抑えた精度の高いドライビングが可能になるという。

平面型ヘッドホンのメリットについて、スキビンスキ氏は「ダイナミック型に比べて滑らかでスムーズなだけでなく、各帯域のバランスが整った一体感あふれる音が再現できること」を挙げている。

AB-1266は身に着けてみると、見かけによらないほど軽快な装着感に驚かされるヘッドホンだが、Dianaもまさしく期待通りの快適な装着感が味わえる。イヤーパッドは耳の後ろ側にあたる部分のクッションに厚みを持たせることで、低音の音漏れを防ぐとともに耳を完全に包み込む。イヤーパッドはマグネットにより簡単に着脱ができる。

良い遮音性にはかかせない、イヤーパッドにもこだわる

Dianaにはブラックとホワイトのスタンダードなカラーから、ブラウンを基調とした”コーヒー”の3色がラインナップしている。表面の処理もスムーズに仕上げながら着色。リケーブルについては同梱される3.5mmのアンバランス対応のケーブル以外にも、今後JPS Labsから様々なコネクターを搭載するバランスケーブルを発売したいとスキビンスキ氏は意欲を燃やしている。

Dianaは3色のカラーバリエーションを用意

インタビューではJPS Labsケーブルのサンプルを見せてくれた

インタビューの終わりには、スキビンスキ氏は日本のヘッドホンファンに向けてメッセージを送った。

「Dianaはスタジオクオリティの音楽をありのまま手元で再現できるヘッドホンです。XIAUDIOの『Formula S』のように圧倒的なパフォーマンスを持ったアンプと組み合わせながら、録音の限界を超えて蘇る生演奏の世界、音楽の深淵を堪能してほしいですね」

■「PAW GOLD」開発者の新しい挑戦・XIAUDIO

スキビンスキ氏が名前を挙げた、中国の新鋭オーディオブランドであるXIAUDIOの「Formula S」の魅力については、ファウンダーでありチーフデザイナーのシャオ・チー氏にインタビューした。

XIAUDIOの処女作となる「Formura S」

チー氏とAbyssのヘッドホンとの出会いは2015年に遡る。当時、チー氏はスキビンスキ氏とアメリカで開催されているInternational CESの会場で初めて出会い意気投合。互いのヘッドホンとアンプをリファレンスにしながら開発を進めてきた。XIAUDIOにとって初めてのプロダクトとなる「Formula S」の名前に冠する「S」には、スキビンスキ(Skubinski)氏へのリスペクトも込められているという。

スキビンスキ氏とチー氏はお互いをリスペクトする仲。インタビューでも親しげに会話していた

チー氏は前職で約15年もの間、オーディオ製品の企画開発に携わってきた人物だ。ハイエンドDAP「PAW Gold」の開発も手がけてきたキャリアを持っている。今回、自身のオーディオブランドを立ち上げたきっかけは「ポータブルプレーヤーの限界を超えて自分が理想とする音を追求したい」という思いがあったからだという。

ブランドネームのXIAUDIOには、チー氏のファーストネームであるシャオ(XIAO)の綴りが隠れている。同時に「XI」にはギリシャ数字の「11」の意味もあるが、そこにはこんな思いが込められているという。

「アメリカのアンプはボリュームの最大値が10であることが相場ですが、当社の製品は10を超えてさらに駆動力があることをアピールしたかったので11としました」

なるほど、Formula Sのボリュームゲージに刻まれている始まりの値は「11」である。

次ページいま改めてアナログアンプに取り組む動機とは

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