【特別企画】2機種の製品レビューも
カスタムIEMブランド「qdc」代表インタビュー。エンジニアやミュージシャンの声に応える“音の正確さ”が強み
BAドライバーについては、デンマーク SONION社製や米 KNOWLES社製のものを採用。モデルごとに最適化されたカスタマイズ品を発注して用いている。特にKNOWLES社とは親会社 QDCの時点から強い協力関係があるという。Li Zeng Feng氏は「KNOWLES社の協力がなければ、qdcのイヤホン開発は実現しなかったでしょう」とも語っていた。また、音質チューニングの肝になるためだろう、多くは語ってくれなかったが、ドライバー配置についても高度な測定を用いた綿密な計算をもとに設計を行っているという。
イヤホン製造ついての品質面についても、「最も基本的なことではありますが、イヤホンの左右のバランスには最も気を使っています。これらは1台1台測定を行って調整しています」と自信を見せていた。高い品質も重要なポイントと捉えて、国際的なレベルで見ても高度な品質管理を徹底しているという。
Li Zeng Feng氏が「ハイファイ向け」と形容するコンシューマーモデルは、「プロ仕様のIEMが中国の音楽業界で広く使用されるようになり、それを見た一般ユーザーから問い合わせが多くあり開発に至った」とのこと。「ハイファイ向け」としているが、製品開発の過程はプロ向け製品と変わらず、音調についてもqdcの強みであるリファレンスモニター的な正確性を最も重要視しているという。
■「Anole V6」では『自分好みの音を探す楽しみを提供したい』
直近のコンシューマー向け新製品 2機種についても話を聞いた。カスタムBAドライバーを1基搭載した「NEPTUNE」と、4種類のサウンド調整が可能な6BAドライバー搭載イヤホン「Anole V6」だ。
NEPTUNEは「プロ向け製品と比較して価格を抑えたqdc製品の入門モデル」という位置付け。フェイスプレート部は濃淡の異なる青色が美しい「雲母(マイカ)」で装飾され、中国ではプレゼントとしても人気とのことで、発売開始以降は生産が追いつかないほどだったという。
日本でも2017年11月29日から発売されているが(関連ニュース)、イヤホンマニアの間でも高い評価を得ていることはご存じのことだろう。
本機の開発おいては、BAドライバーの選定を含めた上級機に引けをとらない入念な音質チューニングに加えて、より広範なユーザーが使用するエントリー機として「快適な装着感の実現」にもこだわったという。「数千人の耳型を採取しそれらのデータをもとに、様々な耳の形にフィットするように開発した」とLi Zeng Feng氏は紹介してくれた。
もう一つの「Anole V6」は、Fully Musical atmosphere/Standad tuning/Highly sensitivity/Timbre shimmery and smoothという4種類のサウンドを本体のスイッチで切り変えられるというイヤホンだ。
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