<山本敦のAV進化論 第163回>
「買える、私にも買えるぞ!」ガンダム知識を披露しまくる「ハロ」にAIのミライを見た
ハロの腕が格納されている両サイドのフタは手動で開閉ができて、ハロがゆらゆらと左右に揺れている時にはパタパタと動いているように見える。前後左右方向にゆらゆら揺れる動きをするが前進後退の移動はできない、もちろんアニメの劇中のように飛び跳ねることもしない。
最後に第3のメイン機能がスマホアプリとのBluetooth連携により実現されるものだ。今回の取材時点でまだアプリが完成していなかったため機能を体験することはできなかったが、所氏は「アプリで選択した楽曲をハロに内蔵するスピーカーに飛ばして聴いたり、目覚ましなどタイマー機能が利用できる予定」と説明している。無線LAN接続設定などハロ本体のセットアップもこのアプリから行うことになる。
ハロの頭のてっぺんには3つのマイクが内蔵されていて、ユーザーの音声コマンドを認識しながら会話を交わす仕組みだ。本体の左右側面にあるのがスピーカー。背中のふたを開けるとリセットや電源、Bluetoothのオン・オフ、充電用のUSB Type-C端子がある。充電はケーブルを本体に直接挿すか、専用のクレイドルを使う。バッテリーの容量や連続動作時間の仕様はオープンになっていない。
ハロの直径は約19cm。手足は本体のふたを開けて手動で引き出せる。足を引き出すとテーブルや棚の上にディスプレイした時の安定感に差がつく。ただ手足を引き伸ばしたままの状態だと、ハロが会話するときにゆらゆらと動けなくなってしまう。
ハロのAIはクラウド上にあるので、ガンダムについてハロと会話したい時にはまず家庭の無線LANネットワークに接続する。オフライン状態の時にもいくつかの簡単な会話ができるのだが、その様子はこの後にデモ動画も交えながら紹介しよう。
ガンシェルジュ ハロは電源をオンにしてから無線LANルーターに接続してオンライン状態になってからガンダムに関する会話が可能になるが、その前のオフライン状態でも今日の日付や時間を聞いたり、アラーム設定などの簡単な操作が音声コマンドを使って行える。オフラインモードの時には「ハロ、今日は何日?」「ハロ、いま何時?」といった具合に、トリガーワードとしてハロの名前を呼んでからコマンドを伝える。
アプリからホームネットワークの登録を済ませておけば、電源を入れてから「ハロ、起動」と話しかけて少し待つとネットワークに接続されて、ハロが「オハヨウ、オハヨウ、ハナシ、ハジメル」と答えてくる。
ハロの頭脳となるクラウドAIプラットフォームは、日本アイ・ビー・エムの技術を活用して構築されたものだ。オンラインモードに切り替わったあとは特にトリガーワードも不要で、次々とハロに話しかければ延々と会話が続いていく。所氏によれば、ハロの豊富な知識はバンダイのスタッフが魂を込めてインプットしてきたものだという。登録ワード数は非公開だが、ガンダムのMS型番を聞くと「RX-78-2」という正確な答えが返ってくる。
反対にハロから時折出題される「クイズ」の内容も「ガンタンクの全高」などレベルの高い設問まで揃っている。わからなかったり不正解でも答えは教えてくれる。例えば「シャアのセリフを言って」という質問にハロが答えてくれた直後に「ほかには?」と返せば、続けざまにシャア・アズナブルの台詞を検索して話し始める。ある程度ラフな会話でも、話者の意図を汲んでハロが的確な答えをテンポよく返してくれる。あくまでファーストガンダムの話題限定ではあるものの、ハロが搭載するAIは思っていた以上に完成度が高かった。
だがハロとの会話は、こちらがガンダムのことをある程度深く知っていないと小気味よく間をつなぐことができない。ファーストガンダムの熱心なファンの母数が一体どれぐらいなのかわからないが、このままの仕様では、ガンシェルジュ ハロとの会話を心底楽しめるユーザーは限られてしまいそうだ。
所氏に訊ねてみたところ、ハロとの会話レベルは使用開始当初は比較的浅い知識で、話す時間の蓄積で少しずつ深い知識を出すよう設定する予定とのことだ。