<山本敦のAV進化論 第163回>
「買える、私にも買えるぞ!」ガンダム知識を披露しまくる「ハロ」にAIのミライを見た
筆者もハロとの会話を体験させてもらった。ハロの目がグリーンに光っている時に話しかける。会話が認識されると目がピンクに点滅して、口もとにグリーンのLEDが点灯した。考え中であることを知らせる電子音も鳴る。
初めての会話は間合いに少し戸惑ってしまったが、慣れてくるとテンポよく話せるようになった。音声を認識して動く家電に慣れていない人のため、ハロの操作方法を説明したドキュメントがパッケージに同梱されたらさらに良さそうだ。
バンダイ本社の静かな部屋でデモンストレーションを体験したので、マイクの感度や音声認識の精度はストレスを感じないレベルだった。所氏は「例えば音声認識は(MSの)ジオングとジオン軍の聞き分けが甘かったり、改善したい部分も残っているので、商品の発送開始前まで丁寧にチューンアップしていきたい」と語っている。クラウドにあるハロのAIは絶えずブラッシュアップが続けられ、専用アプリから本体ファームウェアを更新できる仕組みも整っている。
ガンシェルジュ ハロは、ハードウェアとしての出来映えが安っぽくないのがいい。製造はVAIO株式会社が全面的に協力している。本体は会話中にゆらゆらと動いているが、体幹バランスをキープし続けるので、どこかへ転がってしまうことがない。側面のフタを耳のようにパタパタとさせる愛らしい仕草にも所有欲をそそられた。
所氏は「例えば発売直後はテレビ版ガンダムの “1年戦争” に関する会話しかできないけれど、ハロが出題するクイズの問題はどんどん増やしていきたい。また話題も宇宙世紀の続編である『機動戦士Zガンダム』や『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』にも広げたい」と、ハロのできることを徐々に増やしていく考えもあるとしていた。
今回取り上げたガンシェルジュ ハロは、機動戦士ガンダムに詳しくない方は興味が湧かない製品かもしれない。ただ筆者はこのハロに搭載された、ある種の曖昧さや遊び心を持ったAIこそが、これからAIが私たちの生活に浸透するために、とても大事な要素だと思うのだ。
機械に搭載されたAIと他愛のないフレンドリーな会話ができるようになれば、機械への愛着が高まって、そこから家族の一員、あるいは友達や恋人のような関係性が芽生えてくることも考えられる。
ハロのAIと同時に、ハードウェアのスペックが高くなって「できること」が増えれば、未来の我が家ではハロが本格的な “コンシェルジュ” として、家中のエレクトロニクス機器をユーザーの “したいこと” を先読みしながら制御してくれるかもしれない。ビジネスのパートナーとして、スマホとハロを毎日バッグに入れて持ち歩くような未来の生活も楽しそうだ。
筆者はこのガンシェルジュ ハロが起源になって、いつの日か「機動戦士ガンダム00(ダブルオー)」の劇中でロックオン・ストラトスの相棒として登場するハロのように、何でもできるAIロボットに成長を遂げる日を期待しながら、バンダイの挑戦を応援したい。
(山本 敦)