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高木氏、粂川氏、黒住氏にインタビュー

<IFA>ソニー幹部が語る、なぜコスト度外視のフラグシップは実現できたのか。8Kや5Gの展開も聞いた

公開日 2018/09/02 09:30 折原一也
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高木 日本国内では業界全体で「有機ELテレビ、いいじゃないか」と盛り上がっていますが、その流れをソニーが作ったと自負していますし、そのなかでそれなりの商売もできています。海外市場において、実は有機ELテレビはヨーロッパで最も成功しています。(家の中が)多少暗くてコンテンツにこだわるという風潮があるので、ヨーロッパで非常に好評なのです。

粂川 今年前半のヨーロッパのテレビ市場は、全体として有機ELモデルのシェアが前年から2.5倍くらい伸びています。そのなかでもプレミアムモデルとも言える55インチ2,000ユーロ以上、65インチ3,000ユーロ以上のところでソニーがナンバーワンシェアをとれています。

高木 ヨーロッパは北米と比べると家のサイズに制約がありますので、テレビの付加価値が大型化というより高性能化の方向に行くんです。そういった意味でソニーの有機ELテレビとの相性がいいのかなと思います。

一方、アメリカは大型化の流れが非常に強く、そうなるとパネルも自分たちで作っているメーカーさんが価格攻勢で市場を作っていっています。ソニーとしては安い大型モデルを投入してシェアをとるという考えはありませんので、大型化の流れには少し距離を置きながらしっかりと利益が稼げるような商売をしていきます。

テレビ事業について、今後のシェア拡大についてどう考えているのでしょうか。

高木 私は「金額シェアで10%あれば充分だ」と就任当初から言ってきて、ようやくそこを超えてきたような状況にあります。適正な利益を生んで次の投資に回すためにはある程度の規模は必要で、それが金額シェアで10%程度だという考えからです。

数量的なボリュームを追うより、健全に利益を出して、次の商品の進化に投資する。そうやって「ソニーのテレビっていいよね」とお客様に言い続けていただけるような商品を作り続けることが大切だと考えています。

粂川 ヨーロッパではテレビの平均単価が他社より2割くらい高く、それで利益が改善している状況です。ですので、今後もその方針を続けていきます。

インタビュー中の様子

■8K対応製品にソニーはどう関わっていくのか

8Kテレビへの投資はどう考えているのでしょうか。

高木 8Kの開発はまた次元が違います。我々は2013年から4Kをやってきていますが、この5年間に4Kコンテンツがどれくらいのスピードで充実してきたでしょうか。そこから考えると、8Kの普及にはまだ時間がかかると見ています。

業界に先駆けてやっていくという考えもあるかもしれませんが、それによって商売がおかしくなるようなことがあってはいけません。8Kコンテンツの充実具合を見つつ、自信を持ってオススメできるものができた時にソニーは商品化する、それでも遅くはないと思っています。

ーー コンテンツ制作側、つまり業務用機器の8Kについてはいかがでしょうか。そこでリーダーシップを発揮していくという考えはありませんか?

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