進化する技術と人を繋ぐ製品作り
B&Oが語るモノづくりへのこだわり。「美しく持続性のあるタイムレスデザインを目指す」
Bang & Olufsen(バング&オルフセン)は、正円形の印象的なデザインと、低域表現をコントロールする開閉式のベースポート「Active Bass Port」など様々な独自テクノロジーを組み合わせて誕生した新ワイヤレススピーカー「Beosound Edge」(関連ニュース/IFAレポート)を、11月中旬に国内発売する。
発売に先駆けて10月26日(金)から31日(水)までの期間、Edgeの国内初披露と試聴体験、さらにニューヨーク近代美術館MoMAに収蔵された同社製品の一部を展示公開する「Timeless Pieces by Bang & Olufsen(タイムレス・ピース・バイ・バング&オルフセン展)」を、代官山T-SITEにて開催している(関連ニュース)。
同社は10月25日にはプレス向けに記者会見を実施(関連ニュース)。本記事では、会見にも登壇したGo to Market ManagerのAnders Buchmann(アナース・ブフマン)氏に、EdgeやBang & Olufsenブランドについて改めてインタビューした。
■ミニマムながら細部までこだわり抜かれたデザインに、最新技術を投入
Beosound Edgeは、世界的に活躍するデザイナーのマイケル・アナスタシアデス氏によってデザインされたもので、そのデザインは「厚みがあって立てても安定感のある」というイギリス通貨の1ポンドコインからインスピレーションを得たとのこと。音響設計はデザインに合わせて構築、ドライバーはトゥイーターとミッドレンジを両面に各2基、さらに10インチウーファーを1基搭載している。
世界初という新音響技術「Active Bass Port」によって低音を調整する点が特徴で、小音量時にはポートがクローズしてクリアに再現、音量を上げるとオープンになり、空気を取り込むことでよりパワフルな再生を実現するという。またアプリで操作する機能として「Directional Sound Control」を採用。スピーカー面の両方/片面のみの再生方法が選択でき、たとえばリビングルームとキッチンが繋がった部屋で、テレビを見ているリビング側には音を流さず、キッチン側に向いた方向のみ再生させるといった使い方もできる。
また左右に転がすように動かすことで音量アップ/ダウンが可能な点も特徴で、本体は13kgほどの質量があるが、壁に配置した場合でもスムーズに動かせるように接地面には工夫を施しているという。さらに本体上部にはライトと両サイドにモーションセンサーを内蔵しており、人が近づくと感知して点灯する仕組みになっている。
Anders氏はEdgeの特徴的機能について、「B&Oでは、ユーザーが日々の生活の中で使いながら楽しんでもらうことも重要だと考えている。デザインやサウンドに加えて、技術と人間の面白いコミュニケーションを実現し、ライフスタイルに溶け込みながらも他とは違う独自性をもった製品の提供を目指して、今回は特徴的な丸いシェイプを使って、どんな動作や機能を搭載していくかをチームで検討して完成させた」と説明した。
また、上部にはライトに加えてタッチセンサーなども内蔵するため、アルミ一枚板の内側から掘り加工を施して、1mm厚にまで薄く仕上げているとのこと。表面をスムースにすること、真円にすることなど、非常に加工の難易度が高く、「我々のラインナップの中でも製造がとても難しい製品の一つだ」という。
さらにこの部分にはレーザー加工で髪の毛に近いほど微細な穴を開けており、そこに特殊なグルーを使って、表面張力で盛り上がるように埋め込んでいるという。グルーが盛り上がっていることで小さなレンズを多数配置したような状態になり、これによって内側のライトの光が全体的に柔らかく拡がるよう設計されている。
アルミは真円を実現しつつも、スピーカー面側にはしっかりと角を持たせて加工。さらにヘアライン仕上げにもこだわっており、スピーカー部の中央に向けて磨きをかけているという。これは中央から放射線状に伸びた延長線上にラインが来るように考えたもので、「シンプルながら細部まで完璧に仕上げている」と自信を見せた。
■進歩するテクノロジーと人との関わり方をデザインする製品づくり
バング&オルフセンの製品づくりは、まずデザインから始まるという。「ミニマルかつ他にはないデザインが我々のポリシー。ユーザーや他ブランドにインスパイアを与え、オーディオ業界全体に影響を与えられるような製品作りを目指している」と語る。
またサウンドとデザイン、そしてクラフトマンシップの3つを重要な柱としており、音質面では、「アーティストの想いを伝える、原音に忠実な音作り」がポリシー。試聴室でチューニングを施した上で、さらに家具のある部屋など利用シーンや環境を再現して、聴こえ方をチェックしていくという。
今後の製品展開について伺うと、「テクノロジーの進歩をしっかりと注視しながら、人と技術の関わり方を見極め、最適な製品を作っていきたい」とし、Egdeのような小型かつ高性能なスピーカーはもちろん、既存製品のアップデートなども取り組んでいくとした。季節ごとの限定カラーなども引き続き行っていくとのことで、「トレンドに合わせたカラーを展開することで、ファッションに合わせて選ぶこともできる。特に日本はファッションとの組み合わせを意識するユーザーが多い」と語った。
Anders氏はもともと広告代理店の経営をしており、2016年8月からバング&オルフセンに入社。最初に手がけたのは、1970 - 80年代の歴史あるB&Oのスピーカー「BeoVox CX50」などデザインに優れたモデルを、筐体やスピーカーユニットはそのままに、最新技術で現代のスピーカーとして蘇らせるというプロジェクトだ。
「B&Oのデザインが好きな人だけでなく、オーディオフリークにもぴったりのプロジェクト。会社にとっても、過去の製品を優れたデザインはそのままに、“第二の人生を与える”ということは、とても深い意味があった」と語る。ユーザーは現代向けにブラッシュアップされた内部構造を購入し、従来製品に組み立て直すことで、愛用してきたスピーカーをそのまま使うことができる。
その後「Beoplay A9」のマーケティング・販売活動を担当し、今回のBeosound Edgeについても、「プロダクトが完成してから、マーケットに出るまでの全ての領域を担当している」とのこと。一年の3分の1以上は世界中を回って活動しており、特にNY・パリ・ロンドン・上海、そして東京の5都市を「トレンドセッターが集まる、世界的に影響力がある街」と捉え、5都市におけるマーケティング活動で全体の方向性を決定し、世界各都市に向けてメッセージを拡散していくという。
最後にAnders氏が好きなB&O製品を訊くと、「BeoVox CX50」とのこと。残念ながら、現在開催されている「Timeless Pieces by Bang & Olufsen」での展示はないのだが、MoMAに収蔵されている製品の一つでもあり、「1982年に発売されて以来、22年間販売し続けたロングセラーモデル。ヤコブ・イェンセンのデザインは美しいだけでなく、持続性のある、まさに“タイムレスデザイン”の製品だと思う」と語る。Edgeのデザインにも同様のエッセンスがあるとし、新たな“タイムレスデザイン”として期待を寄せているという。
発売に先駆けて10月26日(金)から31日(水)までの期間、Edgeの国内初披露と試聴体験、さらにニューヨーク近代美術館MoMAに収蔵された同社製品の一部を展示公開する「Timeless Pieces by Bang & Olufsen(タイムレス・ピース・バイ・バング&オルフセン展)」を、代官山T-SITEにて開催している(関連ニュース)。
同社は10月25日にはプレス向けに記者会見を実施(関連ニュース)。本記事では、会見にも登壇したGo to Market ManagerのAnders Buchmann(アナース・ブフマン)氏に、EdgeやBang & Olufsenブランドについて改めてインタビューした。
■ミニマムながら細部までこだわり抜かれたデザインに、最新技術を投入
Beosound Edgeは、世界的に活躍するデザイナーのマイケル・アナスタシアデス氏によってデザインされたもので、そのデザインは「厚みがあって立てても安定感のある」というイギリス通貨の1ポンドコインからインスピレーションを得たとのこと。音響設計はデザインに合わせて構築、ドライバーはトゥイーターとミッドレンジを両面に各2基、さらに10インチウーファーを1基搭載している。
世界初という新音響技術「Active Bass Port」によって低音を調整する点が特徴で、小音量時にはポートがクローズしてクリアに再現、音量を上げるとオープンになり、空気を取り込むことでよりパワフルな再生を実現するという。またアプリで操作する機能として「Directional Sound Control」を採用。スピーカー面の両方/片面のみの再生方法が選択でき、たとえばリビングルームとキッチンが繋がった部屋で、テレビを見ているリビング側には音を流さず、キッチン側に向いた方向のみ再生させるといった使い方もできる。
また左右に転がすように動かすことで音量アップ/ダウンが可能な点も特徴で、本体は13kgほどの質量があるが、壁に配置した場合でもスムーズに動かせるように接地面には工夫を施しているという。さらに本体上部にはライトと両サイドにモーションセンサーを内蔵しており、人が近づくと感知して点灯する仕組みになっている。
Anders氏はEdgeの特徴的機能について、「B&Oでは、ユーザーが日々の生活の中で使いながら楽しんでもらうことも重要だと考えている。デザインやサウンドに加えて、技術と人間の面白いコミュニケーションを実現し、ライフスタイルに溶け込みながらも他とは違う独自性をもった製品の提供を目指して、今回は特徴的な丸いシェイプを使って、どんな動作や機能を搭載していくかをチームで検討して完成させた」と説明した。
また、上部にはライトに加えてタッチセンサーなども内蔵するため、アルミ一枚板の内側から掘り加工を施して、1mm厚にまで薄く仕上げているとのこと。表面をスムースにすること、真円にすることなど、非常に加工の難易度が高く、「我々のラインナップの中でも製造がとても難しい製品の一つだ」という。
さらにこの部分にはレーザー加工で髪の毛に近いほど微細な穴を開けており、そこに特殊なグルーを使って、表面張力で盛り上がるように埋め込んでいるという。グルーが盛り上がっていることで小さなレンズを多数配置したような状態になり、これによって内側のライトの光が全体的に柔らかく拡がるよう設計されている。
アルミは真円を実現しつつも、スピーカー面側にはしっかりと角を持たせて加工。さらにヘアライン仕上げにもこだわっており、スピーカー部の中央に向けて磨きをかけているという。これは中央から放射線状に伸びた延長線上にラインが来るように考えたもので、「シンプルながら細部まで完璧に仕上げている」と自信を見せた。
■進歩するテクノロジーと人との関わり方をデザインする製品づくり
バング&オルフセンの製品づくりは、まずデザインから始まるという。「ミニマルかつ他にはないデザインが我々のポリシー。ユーザーや他ブランドにインスパイアを与え、オーディオ業界全体に影響を与えられるような製品作りを目指している」と語る。
またサウンドとデザイン、そしてクラフトマンシップの3つを重要な柱としており、音質面では、「アーティストの想いを伝える、原音に忠実な音作り」がポリシー。試聴室でチューニングを施した上で、さらに家具のある部屋など利用シーンや環境を再現して、聴こえ方をチェックしていくという。
今後の製品展開について伺うと、「テクノロジーの進歩をしっかりと注視しながら、人と技術の関わり方を見極め、最適な製品を作っていきたい」とし、Egdeのような小型かつ高性能なスピーカーはもちろん、既存製品のアップデートなども取り組んでいくとした。季節ごとの限定カラーなども引き続き行っていくとのことで、「トレンドに合わせたカラーを展開することで、ファッションに合わせて選ぶこともできる。特に日本はファッションとの組み合わせを意識するユーザーが多い」と語った。
Anders氏はもともと広告代理店の経営をしており、2016年8月からバング&オルフセンに入社。最初に手がけたのは、1970 - 80年代の歴史あるB&Oのスピーカー「BeoVox CX50」などデザインに優れたモデルを、筐体やスピーカーユニットはそのままに、最新技術で現代のスピーカーとして蘇らせるというプロジェクトだ。
「B&Oのデザインが好きな人だけでなく、オーディオフリークにもぴったりのプロジェクト。会社にとっても、過去の製品を優れたデザインはそのままに、“第二の人生を与える”ということは、とても深い意味があった」と語る。ユーザーは現代向けにブラッシュアップされた内部構造を購入し、従来製品に組み立て直すことで、愛用してきたスピーカーをそのまま使うことができる。
その後「Beoplay A9」のマーケティング・販売活動を担当し、今回のBeosound Edgeについても、「プロダクトが完成してから、マーケットに出るまでの全ての領域を担当している」とのこと。一年の3分の1以上は世界中を回って活動しており、特にNY・パリ・ロンドン・上海、そして東京の5都市を「トレンドセッターが集まる、世界的に影響力がある街」と捉え、5都市におけるマーケティング活動で全体の方向性を決定し、世界各都市に向けてメッセージを拡散していくという。
最後にAnders氏が好きなB&O製品を訊くと、「BeoVox CX50」とのこと。残念ながら、現在開催されている「Timeless Pieces by Bang & Olufsen」での展示はないのだが、MoMAに収蔵されている製品の一つでもあり、「1982年に発売されて以来、22年間販売し続けたロングセラーモデル。ヤコブ・イェンセンのデザインは美しいだけでなく、持続性のある、まさに“タイムレスデザイン”の製品だと思う」と語る。Edgeのデザインにも同様のエッセンスがあるとし、新たな“タイムレスデザイン”として期待を寄せているという。