カートライト兄弟にインタビュー
Westoneの人気シリーズ「W」が刷新、 新たに「B」シリーズも登場! 新モデル開発の裏側を訊く
ーー 第一世代と第二世代のBluetoothケーブルではどのような点が違うのでしょうか?
カール氏: まず第二世代では、aptX HDに対応しました。また従来のバッテリー部にあったUSB端子を無くして、代わりに充電用のバッテリーユニットを付属しています。Bluetoothケーブルを2回ほど充電することができ、充電のためのUSB端子はこのバッテリーユニットの方に搭載しました。
面白いのは、このバッテリーユニットをつけたまま使用することもできるので、再生時間を延ばすことが可能なところです。装着したまま使用すると最大12時間の再生ができます。Bluetoothケーブルだけの場合、従来同様4〜6時間の連続再生に対応しています。
それから、ケーブル本体にUSB端子がなくなったことで、IPX5の防水仕様となりました。通話時の品質はクリアボイス CVC(Clear Voice Call)に対応しています。ただ、オーディオ回路自体は第一世代とあまり変えていません。第二世代のBluetoothケーブルはW80の付属品として用意しますが、単体でも販売予定です。
■新登場の「Bシリーズ」は、自然かつパンチのあるベース表現が特徴
ーー 続いて、新シリーズの「B30」「B50」について伺いたいと思います。今回新しく「Bシリーズ」として登場させた背景から教えてください。
クリス氏: まず一つには、Wシリーズの各モデル間が似通ってきていたという事情があります。たとえばW30とW40の違いについて、明確化するのが難しくなってきたので、しっかりと差別化を図ろうと考えたのです。
それから、現在オーディオファイルがプロ用に作ったイヤモニを買う傾向にあって、その理由の一つに「強めの低域特性」が好まれているということに気が付きました。そこでWシリーズでもっとも低域特性が強めだった「W30」と「W50」に着目したのです。
カール氏: 私は自身がベースプレーヤーでもあり、もともと少し強めのベース表現が好きなのですが、強すぎて不自然になるのは困りますよね。そこで今回、W30とW50のシェルはそのままに、クロスオーバーや音響設計などを変えました。これによって低域が不自然に膨らむのではなく、よりパンチが出るようになりました。
ーー では、Wシリーズから30と50は無くなって、より低域特性を改良させたBシリーズとして2モデルが新登場するということですね。
クリス氏: ええ、音の好みは人それぞれあって、それに応えようと思いました。たとえばW40はとてもフラットに作ってあって素晴らしいはずなのですが、例えばラップが聴きたいという人がイコライザーをいじって低域を増強するよりは、より自然に低域を強調できるイヤホンとして、B30/B50を提供しようと思ったのです。
ーー たしかにW50は、W40やW60に比べてもともと低域が強めとユーザー間でも言われていました。Bシリーズの開発にあたって30と50を選んだのは、元来そうした傾向を持っていたモデルをベースにしたということですね。
カール氏: そうです。もともとW50はベースプレーヤーとしての自分が空気感を再現したいと考えて設計しました。W30については低域特性というよりも、W40に近すぎたので特徴を持たせたという側面が大きかったですね。
ーー なるほど。ドライバー構成を見ると、30と50だけ低域ドライバーが1基なのですが、これは何か関係していますか?
カール氏: W50については関係していますね。スピーカーで言うと、クラシックなタイプの巨大なウーファーが一発か、よりモダンなやや口径の小さなウーファーが二発か、という関係に似ているかと思います。前者がたとえばW50で、後者はW40とかW60という感じです。どちらが良いというわけではなく、違う音が出るということです。
ちなみに、W50とB50ではドライバーとクロスオーバーは同じですが、音導管の長さや太さなど、音響設計が異なります。W30とB30ではクロスオーバーと音響設計が違います。
この差は、WとBでは低域がだいたい3dBから4dBくらい違います。10Hzから1.5kHzにかけて、中音域も緩やかに盛り上げています。しかし、この低域のせいでヴォーカルや他の楽器が聞こえないということはありません。ぜひB30とW30を聴き比べてみてほしいですね。私はベースギターだけでなく、ベースシンセもやっていたので、ベースの音にはちょっとうるさいんですよ。
ーー ぜひ聴き比べしてみたいですね。それでは最後に、2019年はWestone60周年となりますね。何か記念した企画などはありますか?
カール氏: まだはっきりとは決まっていませんが、もしかするとW60の何か特別モデルのようなものが出るかもしれませんね!
ーー 楽しみにしています。ありがとうございました。
(インタビュー/佐々木喜洋)