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クルマで使うために必要なこと

カーオーディオ“専用”アクセサリーは何が違う? オーディオテクニカに聞いたこだわり設計

公開日 2019/06/19 06:00 編集部:押野 由宇
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ただでさえパイプや電線が複雑に張り巡らされている車内において、オーディオケーブルを端子から端子へストレスなく接続することは一筋縄ではいかない。ホームオーディオではありえない角度で曲げられることも往々にしてあり、そのために屈曲試験もこだわって行っているという。インタビューでは実際にAT-RX5500Aを手に取らせてもらったが、シルク編組シースのケーブルは何層もシールドが施されているとは思えないほどしなやかで、取り回しに優れていることが実感できた。

耐熱のほか、ケーブルスタビライザーでの制振や、圧入組立構造で抜けにくい仕様とするなど、カーオーディオならではのこだわりが随所にある

もちろん、通常のオーディオアクセサリーにおいてもそうした試験は行われているが、カーオーディオに設定される基準はさらに高い。それを超えたものだけが、ユーザーが安心して使用できる製品として市場に提供されている。これはD/Aコンバーターなどにおいても同様で、音質に加えて耐熱性能が大前提として開発が行われているそうだ。

OFC導体採用のベーシックケーブル「AT-CA64」。価格は抑えながらも、Rexatケーブル同様に最大90度までの耐熱仕様を備える

最近はホームオーディオ向け製品も小型化が進み、クルマに持ち込んで活用できるものが増えてきたが、車内に放置して耐えられるかどうかは別の話。例えば、昨今ではDAPを車内プレーヤーとして繋ぎっぱなしにするケースがよく見られると思うが、これも本来は故障のリスクを高める恐れがあり、気をつけるべき使い方というわけだ。

二人三脚でもDIYでも、それぞれの楽しみ方を実践できる

話を音質面に戻そう。カーオーディオにおいて音質向上に向けて取り組む場合、「まずスピーカーユニットから、という方が多い」と石橋氏。これは音の変化が体感しやすいこともそうだが、デジタル化が進んだカーオーディオの中で、手をつけやすいパーツであることも関係しているという。音の出口であるスピーカーを交換するのは王道とも言えるが、カーオーディオではそこに“デッドニング”がセットとして考えられる。

クルマのドアにユニットを取り付ける際には、鉄板であるドアに防振処理を行うことで、音質向上を狙うことができる。こうしたデッドニングは、スピーカー購入とワンセットにしてメニューを設けるショップも多い。ユニットを購入・インストールする際に、ショップに相談をすれば適した内容を提示してくれるはずだ。

さて、スピーカーユニットの交換およびデッドニングの次は、スピーカーケーブルにこだわりたくなるのが流れとしては自然だろう。ただ、スピーカーケーブル以外にも効果的な部位として、「オーディオケーブルを変更した際の音の変化が大きい」と石橋氏が教えてくれた。実際にオーディオテクニカが用意するデモカーではオーディオケーブルを付け替えての比較試聴が行えるが、体感した誰もが変化を認めるという。

また、カーオーディオならではの問題として、クルマの乗り換えがある。クルマは車種ごとに構造が大きく異なり、配線に必要なケーブル長も変わってくる。短く済むならともかく、より長さが必要となれば買い直すほか無い。車内に広く設置されるスピーカーまで複数本引き回さなければならないスピーカーケーブルは、特にその影響を受けやすいのだ。

その点、オーディオケーブルは主にメインユニットとアンプの間など、大きくシステムを変更しない限りは接続する場所と距離がほぼ変わらず、使い回しがきく。これもまた、システム構築の第2、第3ステップで視野に入れるアクセサリーとして挙げる理由の1つだ。このあたりの優先順位は、最終的にどこまでカーオーディオに手を入れるかで検討していけばいい。

もちろんこれら以外にも、アクセサリーは多種多様に存在する。近頃の海外車はカーナビなどを汎用規格ではなく独自設計にしてしまっていることが多いそうだが、そうした純正モデルではライン出力を備えていないこともある。その際に外部アンプを利用するには、スピーカー出力をライン出力に変換するハイ/ローコンバーターを用いるが、そこにも多くのモデルがラインナップされる。

先程のデッドニングにも吸音材に防音材、制振材などいくつものアクセサリーが活用される。そして、アクセサリーのインストール作業では各ショップ、さらに言うなら担当者が自身の持つノウハウに合わせてそれぞれに効果的な方法を実践している。どのアクセサリーをどう使うのかで、パーツが同じでも得られる結果は大きく異なる。

一方で、デッドニング用パーツキットなども単売されているので、DIYで楽しむこともできる。カーオーディオ趣味の方がその工程をネットに上げ、それを参考に作業を進めるという方も増えているとのことだ。

オーディオテクニカのドアチューニングスターターキット「AT7474 」

使用イメージ。クルマによって作りが異なるため、適切なポイントもそれぞれ違う

インストーラーとクルマを二人三脚で作り上げていくという楽しみ、同じ車種やサウンド傾向を求めるユーザー同士がコミュニケーションをとって試行錯誤していく楽しみ、それぞれがカーオーディオの醍醐味と言えるだろう。

さらに鈴木氏は「軽自動車や大型のボックスカーなど、車種問わず幅広い方が取り組んでいらっしゃいます。オーディオのためのクルマ選びをされたり、あえて軽自動でどこまで音を出せるかを追求する、など様々な楽しみ方ができるのも魅力ではないでしょうか。いかに快適に、楽しくドライブできるかをライフスタイル提案するのがカーオーディオだと考えています」と加える。

カーオーディオを楽しむ方は老若男女、年齢問わず幅広く、制限があるようで実は自由度が高いと鈴木氏

ホームオーディオは、せっかくのシステムを鳴らせる部屋が確保できないことがネックになりがちだ。しかし、クルマであれば、もちろん常識的なボリュームの範囲でだが、それでもホームオーディオよりも音漏れのハードルが低く、自分だけのリスニングルームが手に入る。しかもどこにでも行けるから、同好の士との交流もやりやすい。

クルマを移動手段として、必要だから利用している方も多いだろう。そういった方が何気なく流しているBGMの音質を良くすることができれば、それはそのまま、ただの移動手段だったクルマの中がエンターテインメント空間になることにつながる。こういった音質向上に向けてはアクセサリーが大いに役立つだろう。

ホームオーディオとカーオーディオは別と捉える方もいるが、どちらも音楽を楽しむという根底は変わらない。これまでのノウハウが活きる部分もあれば、新しい考え方を取り入れる必要もある。だからこそ、趣味として面白い。この面白さを味わうためにも、まずは手軽なアクセサリーから、音の変化を体感してみてはいかがだろうか。

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