「若い世代にオーディオの楽しみを」
“オーディオを変える” 新ブランド「LUXMAN B-side」スタート! 誕生の背景、今後の展開を聞いた
市場を見渡すと、Bluetoothスピーカーが普及している。「ラックスマンが手がけるワイヤレスオーディオ”には何が重要か、と考えた時、機能性はもちろん、ブランドらしい上質さ、音質への追求を表現すべく、高品位なデザインにもこだわるべきと考えた」と小島氏。工業デザインを中心に活躍するフランスのデザイン会社「arro studio」と協業し、インテリアに溶け込みつつも、“Objet d'art" (オブジェ)のような存在感のある、タイムレスなデザインを採用した。
「LUXMAN B-sideをスタートさせた背景には、ラックスマンを愛用いただいているオーディオファンの方々だけでなく、今までラックスマンを知らなかった、オーディオ未経験の若い方々にも良い音を知ってもらいたい、そして新しいオーディオファンをもっと増やしていきたいという想いがあります」小島氏は語る。
そうしたブランドコンセプトの中心となる製品が、今回発表されたワイヤレススピーカー「ASC-S5」だ。SpotifyやAmazon Music、TuneIn、Deezerなど様々な音楽サービスに対応し、Wi-Fi/Bluetooth、AirPlayといったワイヤレス対応はもちろん、USBおよびアナログ/デジタル入出力も装備。アンプ内蔵でもちろん音質に妥協せず、ラックスマンらしい強みを生かした最新オーディオ製品が誕生した。
価格は98,000円(税抜)と、ワイヤレススピーカー市場においては高額といえる。この点について小島氏は、「手軽に買える値段ではないかもしれませんが、LUXMAN B-sideでは、ただワイヤレスオーディオ市場に参入するということを目的にしていません。ワイヤレス再生の手軽さや新しい音楽の聴き方に対応しつつ、音やデザインに対するラックスマンの妥協なきこだわりが刺さる、生活の中でモノにこだわりを持つお客様に向けて商品を提供していきます」と語る。
特に音質については「ピュアオーディオで培ってきた、誰もが自然と感じるラックスマンらしいサウンド、つまり長く聴いても疲れない音、というフィロソフィーは崩していません」と強調する。実際に試聴してみても、従来のワイヤレススピーカーではなかなか感じられないハイファイなサウンドを、ASC-S5一台で十分に鳴らしてくれた。音質については近日、オーディオ評論家・土方久明氏のレビュー記事をお届けする予定だ。
一方で、ユーザーが良いと感じる音は、状況や条件によっても変わる。小島氏はASC-S5のサウンドについて、「ラックスマンの考える “良い音” を実現しました。音楽ジャンルによっては、もっと極端に低域を強めた迫力のある音が良く感じられたり、ということもあるかもしれません。ですが我々としては、デモ効果の必要がない本質の部分で勝負したい。長く聴き続けていても疲れず、ずっと音楽を楽しめることが重要と考えています。パッと聴いただけではわかりにくい価値ですが、それをこれから様々な場面でお客様に繰り返しお伝えしていきたいと考えています」と説明する。
■'20年春にはレコードプレーヤーも。海外展開も見据えた幅広いラインナップ拡充
先述のとおり、2020年春に向けてシリーズはどんどん拡充していく。ワイヤレスサブウーファー「ASC-W5」は、「海外での販売も視野に入れると、特に欧米では日本人以上に低域や絶対的な音量に対するニーズも高いので、好みによって補強できるようラインナップしました」という。
ASC-S5とワイヤレスでグループ化することで、最大150Wの低域再生を実現。低域バランスは好みに合わせて調節できるよう、クロスオーバー周波数は40Hz - 150Hzで設定できる。また、すでにあるオーディオシステムとアナログライン接続することも可能だ。
さらに「オーディオブランドとしては欠かせない製品」として、レコードプレーヤー「ASC-T5」も登場させる。MMカートリッジ対応のフォノイコライザー回路を内蔵しており、カートリッジのダイレクト出力とフォノイコ出力を切り替えることで、様々なオーディオシステムに接続することが可能。またBluetoothはもちろん、Wi-Fiによるワイヤレス接続に対応。本機の音をWi-Fi経由でASC-S5から鳴らす、といった使い方が可能だ。
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