オーディオ専門店連続インタビュー(1)
デノン「SX1 LIMITED」が選ばれる理由とは? テレオン・アバックが語る新世代フラグシップの実力
■アバック 港北ニュータウン店
小川店長
―― まずはじめに、“SX1 LIMITEDシリーズ”の音を聴かれてどのような印象を持ちましたか?
小川店長:ベースモデルの“SX1シリーズ”よりも価格帯が上がったので、それに見合うだけの改良が加わっているだろうとは事前に考えていました。もともと私は“SX1シリーズ”が発売された時点で、それまでの製品から音の解像感や透明感が増して「現代的な音」になったなと感じていました。反面、一部でもの足りなさもあったことは事実です。例えばプリメインアンプの「PMA-SX1」では、大型のスピーカーとつないだ時、もう少しローエンドが伸びて欲しいと思う場面がありました。
今回「PMA-SX1 LIMITED」では、もの足りなさが見事に改善されていたのが嬉しかったです。当店で開催した試聴会では、スピーカーにB&Wの「802D3」を組み合わせたのですが、先程お話ししたような低域の弱さは感じられず、大型の機種をしっかりと駆動できていました。試聴会にいらっしゃったデノンユーザーの方々も、その点については同じ印象をお持ちになっていたようです。
―― SACDプレーヤー「DCD-SX1 LIMITED」の方はいかがでしょうか。
小川店長:プレーヤーのDCD-SX1 LIMITEDも同じように、従来製品の気になるところを解消していました。デノンのディスクプレーヤーは長きにわたって「ALPHA Processing」を搭載しています。ビット拡張とデータ補完によって、デジタル録音の際に失われた情報を再現する独自の技術ですが、例えばエッジの立った音色の表現は苦手としていたように思います。
DCD-SX1 LIMITEDも引き続き、ALPHA Processingの最新バージョン「Advanced AL32 Processing」を搭載していますが、ヌケが良く、立体的で浮き上がるような表現が可能になり、エッジの立った音からもボンヤリした感じが薄れました。違う言い方をすれば、透明感が増して、音の骨格がしっかりと感じられるようになりましたね。
総合的に見て、サウンドマネージャーの山内さんが掲げている「Vivid & Spacious」というコンセプトを、肌で実感できる製品だと思います。
―― お店で試聴会を開催されたということですが、聴かれた方々の反応はどのようなものでしたか。
小川店長:このクラスの製品を検討される方ともなれば、さすがに古くからオーディオに親しまれ、新製品の情報も事前に集めている方ばかりで、“SX1 LIMITEDシリーズ”に関してもはじめから「いいもの」という認識をお持ちでした。そんな方々も感心させるような実力を“SX1 LIMITEDシリーズ”は聴かせてくれました。
―― “SX1 LIMITEDシリーズ”では新技術や機能の追加よりも、コンデンサーや回路など内部を磨き上げるような取り組みが中心となっていますが、その効果はやはり大きいということでしょうか。
小川店長:昔から、いわゆるマニアの間では独自にコンデンサーやトランスを交換して音質を変えるということが行われていました。それくらい、部品単位の違いが音質に及ぼす影響は知られていたわけです。ただ、多くの場合伸びる部分があれば引っ込んでしまう部分もあり、音の傾向を変える以上の効果がなかなか得にくいものです。
“SX1 LIMITEDシリーズ”では、それをメーカーの開発者自身が手掛け、特注の部品まで投入するほど突き詰めて行っています。その結果、音の傾向が変わるとか、一部だけの変化にとどまらず、全体の水準が満遍なく押し上げられています。部品交換のような細部の調整も、製品をよく知る方が広範囲にわたって突き詰めて行えばこれほどの効果が出るのか、と驚かされました。
“SX1 LIMITEDシリーズ”の作り込まれた音にはとても説得力を感じる一方、「今やれる事は全てやり尽くしてしまったのでは?」という思いもあります。次のモデルが開発されるとしたら一体どこから手を付けていくのか、今から想像もつきませんね。
―― ありがとうございました。
【取材にご協力いただいたお店】
アバック港北ニュータウン店
※2019年12月28日(土)より「アバック Classic馬車道店」として
下記住所に移転&リニューアルオープン
〒231-0014
神奈川県横浜市中区常磐町4丁目45-1 アートビル 4F
JR根岸線「関内駅」北口より 徒歩3分
横浜市営地下鉄ブルーライン「関内駅」より徒歩2分
営業時間:11:00〜19:00(毎週火/水曜日定休)
※年内は12月28日まで、年始は1月4日より営業
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