スマートデバイスはどう受け止められているのか
Googleは日本の暮らしをどう変える?「Google Nest」戦略責任者に聞くスマートホームの未来
■カメラを搭載したことで実現できた新UI「クイックジェスチャー」とは
カメラの前に手をかざしながらコンテンツの再生操作が行える「クイックジェスチャー」も面白い。音声とパネルのタッチ操作に続く画期的なユーザーインターフェースだ。そのクイックジェスチャーが開発された背景とスマートディスプレイに搭載した意図を秋山氏に聞いた。
「グーグルでは音声操作に対応するスマートデバイスに毎度話しかけなくても、自然な動作で情報やコンテンツにアクセスできるユーザーインターフェースを追求しています。Nest Hub Maxに搭載するクイックジェスチャーでは、動画・音楽コンテンツの再生・一時停止やアラーム、タイマーの解除を、カメラに向かって手をかざすだけで操作できます」(秋山氏)。
例えばキッチンで音楽を聴きながら家事をしているときでも、クイックジェスチャーなら、音声操作より素早く再生操作ができる。ジェスチャー操作は闇雲に増やしてしまうと覚えられず、逆に使うのが面倒に感じられてしまう。ジェスチャーUIは、シンプルであることが重要だ。秋山氏もユーザーが心地よく使えるクイックジェスチャーに育てていきたいと述べていた。
Nest Hub Maxが搭載する先進的なユーザーインターフェースは、クイックジェスチャーだけではない。例えば、設置環境に合わせてディスプレイの明るさを自動調整する照度センサーが組み込まれているので、毎回ディスプレイの明るさを調節する手間は必要ない。Nestデバイスのスピーカーとマイクを使う超音波センサーは、デバイスの正面約1.2mの範囲内に人がいることを検知し、近付いた場合に通知を知らせてくれたり、タッチコントロールの画面を自動で表示する。天気情報も、1.2m以上離れていると、遠くからでも文字が見やすいよう大きく表示する。反対に近づくと時間帯別の天気を並べて配置してくれる。
■Googleアシスタント対応のスマート家電が増えている
グーグルのスマートデバイスと足並みを揃えながら、Googleアシスタントから音声操作でリモート操作できる対応家電機器も、徐々に増えている。
筆者の印象では、特に直近1年半の間に、Googleアシスタントに対応する機器の種類が増えたように感じている。例えばグーグルのスマートデバイスから「お湯はり」「追い焚き」「床暖房」を音声で操作できるIoT対応バスシステムをリンナイやノーリツが製品化していたり、シャープのAIoT家電も多くがスマートスピーカーからの音声操作に対応している。日本人の暮らしにフィットするスマートホームの形が少しずつ見えてきた感がある。
Nest Hubシリーズによるスマートホーム機器の遠隔操作は、音声以外にも、ホームビューと呼ばれる、ディスプレイに表示されるコントロールパネルをタッチ操作することでも行える。機器の動作状況を目で確認することもできるので便利だ。
グーグルでは、スマートディスプレイならではといえる体験をより充実させるため、開発者向けのAPI「Actions on Google Interactive Canvas」を公開・提供している。インタビューの際に秋山氏がデモンストレーションを紹介してくれた、講談社ディズニーゴールド絵本シリーズ「アナと雪の女王2」の絵本読み聞かせや、懐かしい過去の時代の情報を音声と写真で振り返られる「メモリートラベル」のようなアプリ、サービスが今後増えていくだろう。
Googleアシスタントを搭載したスマートデバイスは、使い続けるほどに、毎日の暮らしを少しずつ豊かにしてくれる。2020年はNestシリーズを中心に、いよいよ日本でスマートホームがブレイクするかもしれない。
(山本 敦)