<山本敦のAV進化論 第183回>
“zero”の個性はゲーミングスマホで突き抜けた ー 「AQUOS zero2」開発者インタビュー
■自社生産の有機ELによるリアリティを追求。大画面化で映像に迫力が増した
開発陣の方々には主にゲーミングスマホとしてのzero2の魅力を語り尽くしていただいた。筆者も端末を借りて試させてもらった。筆者はふだんあまりゲームをしないので、動画再生を試したインプレッション報告をここで付け加えたいと思う。
6.4インチの大判サイズを感じさせないスリムさと軽さは、通勤電車の中などで端末を片手で持ちながら楽しむ動画鑑賞にも最適だ。あえて言えば余りに軽いので、本体を傷つけないようにこの軽さに慣れるまで保護ケースを装着して使いたくなる。スリムな本体の魅力を損なわない専用アクセサリーが発売時に出揃うことを期待したい。
動画は室内で、ディスプレイ設定から「アウトドアビュー」やブルーライトをカットする「リラックスビュー」の機能をオフにして、画質は「標準」を選択した。zero2にはアプリによって適した画質に切り換える「おススメ」を含む4種類の画質設定がプリセットされている。HDRは3種類の中から「HDR標準」にした。画面の明るさ自動調節はオフにして、明るさレベルは90%前後にしている。
海外ドラマ『ボッシュ』のシーズン5/エピソード8「砂漠の英知」では、冒頭のシーンで暑い砂漠の日射しが人肌をギラギラと照らし出し、皮膚の質感を細部まで立体的に描写した。暗闇にたたずむ人物の輪郭を正確に描き出し、暗部の情報も黒浮きさせることなく色彩も限界まで導き出す。透明な空気感も漂ってくる、見ていて疲れのこない落ち着きのある映像だ。初代のAQUOS zeroを受け継ぐ立体感に加えて、大画面化によるさらに豊かな没入感が楽しめる。
zero2はドルビービジョンのHDR映像、ドルビーアトモスの立体音声に対応するコンテンツがスマホ単体で楽しめる高画質・高音質端末だ。スマホを使って楽しめるドルビービジョン/ドルビーアトモスのコンテンツは今のところあまり多くないが、今後はますます増えることが予想できる。zero2を一足早く手元に置いて備えたい。
なおzero2にはディスプレイ内指紋センサーが採用されている。やはり本体の軽量化と薄型化を押し進めるために搭載したと篠宮氏が説いているが、画面の下側にタッチエリアを設けているので、片手持ちでも軽快に操作できて便利だ。zero2はフロントカメラによる顔認証にも対応しているが、マスクをして過ごす時間が長くなる季節には指紋認証が合わせて使えると重宝するものだ。
■オーディオ・ビジュアルファンにもフィットするzeroシリーズの世界観
カメラにはフラグシップモデルのAQUOS R3と同じ「AIライブストーリー」機能も揃えた。詳細はAQUOS R3開発者インタビューの際にも解説しているが、流し撮りした動画からスマホに内蔵するAI画像分析エンジンにより被写体の笑顔や動き、構図を評価して “スコア” の高い映像から約15秒のダイジェストムービーが作れる。
R3では2つのカメラユニットを動画用・静止画用として分けて載せているが、zero2ではふたつのユニットの役割を広角・標準撮影用として新たに切り分けた。動画は主に広角側のレンズで撮影する。
シャープでは今後もeスポーツのイベント協賛などを通じて、AQUOS zero2をゲームが快適に楽しめるスマホとしてさらに強く推していく考えだという。ゲーミングの世界でハイスペックを追求したzero2は、日常の動画視聴や写真を再生しながら楽しむ用途にも向いていると思うし、シャープの映像技術の豊富な経験値が活きていることもしっかり伝わった。
初代zeroと同様に、メインのスマホと2台持ちしながら楽しめるようにSIMフリー端末としての販売もぜひ検討してほしい。多くのオーディオ・ビジュアルファンが「こだわりのスマホ」として持ちたくなるだろう。
(山本 敦)