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制作当時の坂井さんとのエピソードも

耳慣れた曲の、新たな扉が開いた ー ZARDハイレゾ誕生の舞台裏をふたりのキーマンに聞く

公開日 2020/03/02 06:40 編集部:小澤麻実
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坂井さんの歌声は「透明感がすごくあると思ったことは、実はあまりない」

—— 改めて、坂井さんの歌声の魅力はどんなところだと思いますか。よく透明感のある歌声と言われたりもしますが……。

寺尾:透明感……透明感がすごくあると思ったことは、実はあまりないですね。どちらかと言うとセクシーというか、色っぽくも聴こえる声だと思います。高音域を、理に適った発声で上に響かせるように歌うので、澄んだ響きという印象になっているんじゃないかな。


彼女のルックスとCDから受ける印象だと、声があまり立たなそうに思われるじゃないですか。でも声がすごく大きかったし、ディストーションが効いた楽器のなかでもきちんと聞こえてくる。それはライブでもそうでした。

歌が上手い人って「私の声を聴け!」という感じになりがちだと思うんですが、彼女はそうじゃなくて、とにかく「言葉」を伝えるタイプの歌手だと思います。

『君に逢いたくなったら…』のなかに“ふと鏡を見れば なんて疲れた顔”という歌詞がありますけど、ボソボソと歌っているようで、よく聴くと言葉のひとつひとつをしっかり発している。母音を一個一個きちんと歌っているんです。でも朗読のような感じではなくて…感情は伝えているけど過多ではなく、“歌の言葉”を載せていく、そんな歌手です。


知っている曲なのに、改めて体験できた感じがした
—— 新たな扉を開いてくれたハイレゾ化


寺尾:2006年に発売したベストアルバムの『Golden Best 〜15th Anniversary〜』でも、クリス・ベルマンさんにリマスタリングをお願いして、かなり新しく蘇った印象はあったんです。

でも2011年に『ZARD SINGLE COLLECTION 〜20th ANNIVERSARY〜』を出すときに、僕は島田さんに「『Golden Best』を超えて欲しい」とお願いしました。そうしたら見事に超えてくれた。そして『ZARD Forever Best 〜25th Anniversary〜』ではそれをさらに超えてくれた。

そうやってどんどん輝きを更新してきたものを、今回ハイレゾにしたことで、また新たな扉が開いたような感じがしたんです。解像度が高くて、迫力もある。

どの曲も素敵に蘇りましたが、個人的に特にそれを感じたのは『運命のルーレット廻して』。この曲は坂井さんがこだわっていたドラムをサンプリングして使ったり、いわゆる“ZARDっぽさ”からは少し離れた、前衛的な部分のある曲なんですが、ハイレゾでは、知っている音楽なんだけど、改めて体験できたという感じがしましたね。

—— 制作当時から何度も聴いてきた寺尾さんをしてそう感じさせるというのは、すごいことだなと思います。ぜひ多くの方々に今回のハイレゾを聴いていただいて、ZARDの曲を改めて体験していただきたいですね。


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