<山本敦のAV進化論 第188回>
5Gは8Kで本領発揮。「AQUOS R5G」開発陣に聞いた新最上位スマホのこだわり
■様々な環境光下で自然な色合いを再現するディスプレイ
AQUOS R5Gは約6.5インチのPro IGZO液晶ディスプレイを搭載している。商品企画を担当する田中氏は「5G時代のディスプレイ」を画質、使い勝手の両面で意識しながら開発を進めてきたと振り返る。
国内の大手通信事業者が立ち上げたコンシューマー向け5Gサービスには、いずれもデータ通信の容量制限を設けない “使い放題” プランが含まれている。屋外に出かけた時もデータ通信容量を気にせずにYouTube、Amazonプライム・ビデオにNetflixなど人気の動画配信サービスが「いつでも・どこでも」楽しめるよう、AQUOS R5Gでは画質のチューニングと省電力設計を徹底して追い込んできた。
AQUOS R5Gには、液晶テレビ“AQUOS”の開発で培った「リッチカラーテクノロジーモバイル」高画質化技術が投入されている。ディスプレイは10億色の表現力を備えているが、最新のフラグシップモデルではシリーズのスマホ史上最高輝度となる1,000カンデラの高輝度性能を合わせて実現している。
ディスプレイ関連の新機能は、開発を担当した関氏に聞いた。
そのひとつは「スマートカラーマッチング」だ。人間の目は周囲環境の明るさや色温度に合わせながら色を正しく認識する特性を備えている。スマートカラーマッチングをオンにすると、端末に内蔵する照度センサーとRGBセンサーが使用環境の明るさと光の色を検知して、ユーザーがいつも自然な色合いでAQUOS R5Gのディスプレイに映るものを見られるように表示を最適化する。
「人間の目は周囲の環境光に少しずつ時間をかけながら慣れていくものです。スマホの画面の色合いも即座に切り換えてしまうと違和感を感じさせてしまうため、やはり人間の目の特性に合わせて徐々に色を変えるようにチューニングしています」(関氏)
筆者も自宅でスマート照明「Hue」の色温度を変えながらスマートカラーマッチングの実力を試してみた。端末のディスプレイ設定からスマートカラーマッチングのオンとオフを切り換えながら比較すると、自然な色再現の差が明らかに感じられた。
■Pro IGZO液晶の特性を活かした省電力性能
“いつでも” スマホで動画などのコンテンツ再生を楽しめるようになるには、端末の省電力性能を高めることも重要な課題のひとつになる。特にバッテリーを多く消費するディスプレイの省電力駆動を実現するために、シャープはAQUOS R5Gに様々な工夫をこらしている。
「省電力バックライト」は表示する画像やコンテンツに合わせて消費電力を最適化する機能だ。従来モデルから継承する機能を、1,000カンデラの明るくなったディスプレイを搭載するAQUOS R5Gに合わせてチューニングした。バックライトの明滅制御に加えて、パネルの消費電力をリアルタイムに解析しながら表示の書き換えを制御できるPro IGZO液晶ディスプレイの特性を活かすことで、電力消費を前機種よりもさらに低く抑えている。
輝度性能が高くなったAQUOS R5Gでは、特にHDR動画を表示する際に従来のパラメータを適用すると “HDR感” が劣化してしまったため、新しい制御アルゴリズムを作り直して明るさのバランスを取ることに腐心してきたと関氏が振り返っている。