<山本敦のAV進化論 第188回>
5Gは8Kで本領発揮。「AQUOS R5G」開発陣に聞いた新最上位スマホのこだわり
HDR動画の最適表示については、新機能としてトーンカーブやバックライトの制御を適用的に行いながら、暗部の黒浮きや明部の白つぶれを抑える「HDRエンハンサー」も設けている。
AQUOS R5Gのディスプレイ性能を際立たせる機能として、関氏がもうひとつ強調する機能が「なめらかハイスピード表示」だ。こちらは120Hz駆動に対応するPro IGZO液晶ディスプレイのメリットを活かして、動きの激しい動画や、ブラウザなど一般的なコンテンツをスクロールしながら表示する際にも、残像感を抑えてくっきりと見やすい画面表示を実現するというものだ。関氏はAQUOS R5Gが搭載するPro IGZO液晶ディスプレイの120Hz駆動が、一般的なスマホの倍速駆動対応ディスプレイの仕組みと大きく異なっていることも強調する。
「一般的なディスプレイの場合は、倍速表示に切り替わるとリフレッシュレートが固定されてしまい、これに伴って電力消費も高くなります。Pro IGZOディスプレイはコンテンツに応じて必要な場合だけ120Hz駆動になり、それ以外は1Hzの幅まで適応的にリフレッシュレートを落としながら、フレキシブルにハイパフォーマンスと省電力のバランスを取れるところが大きな強みです」(関氏)
2019年に発売した「AQUOS R3」も搭載する「アウトドアビュー」は、屋外で画面表示を見やすくするための機能だ。新機種では最高輝度が1,000カンデラに強化されたことに合わせて、ディスプレイに表示されるコンテンツの色味調整のチューニングをブラッシュアップしている。
■最新のオーディオアンプやBluetoothのオーディオコーデックを搭載
AQUOS R5Gのサウンドに関わる新機能も紹介しよう。
ひとつは新しく搭載する「スマートオーディオアンプ」だ。スマホが再生するサウンドの周波数成分を解析しながら、内蔵スピーカーの出力をリアルタイムに可変させるというアンプがAQUOS R5Gに内蔵された。商品企画を担当する田中氏は、ユーザーから指摘を受けることもあった、内蔵スピーカーによる再生の力不足がこれで解消できると自信を見せた。
Bluetoothオーディオのコーデックはクアルコムの高音質と低遅延を両立させた最新技術のaptX Adaptiveを、AQUOS R3、AQUOS zero2に引き続き搭載している。
AQUOS R5Gの本体の厚さは、筆者がふだん使っているiPhone 11 Proの約8.1mmと見た目としてはほぼ変わらない、約8.9mmとなっている。にもかかわらず、3.5mmのアナログイヤホンジャックを載せて、有線接続時にはハイレゾ再生も楽しめるようにしたことは見事だ。イヤホンリスニングも力強くダイナミックな音を聴かせてくれた。
メインカメラによる動画撮影時には音声のノイズリダクション機能が同時に働く。マルチレンズカメラの側に専用のマイクを載せて、環境ノイズを効果的に消音する。動画撮影時の風切りノイズも、アルゴリズムをブラッシュアップしたことでAQUOS R3比で約25%まで低減した。