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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【特別編】

INORANがついに絶対領域に登場!新アルバム「Libertine Dreams」制作秘話、最新オーディオ事情まで詳しく聞いた

公開日 2020/09/30 12:00 高橋 敦
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「僕たちはそれぞれの頭の中に現実よりずっと広い世界を持ってる」

── 現在の状況がアルバムの内容や制作過程に与えた影響は大きかったのでしょうか?

INORANさん: 9月29日の「INORAN 50th ANNIVERSARY」に向けて、アルバムを作ることはもちろん決めてたんですけど、曲を作り始める前には、どういう音にしようみたいなイメージは全然なかった。だから今回のアルバムの音や雰囲気は、この状況になって曲を作り始めてから出来上がったものですね。


ただ、僕のソロではいつもドラムを叩いてくれているRyo Yamagata君、彼が手を痛めてしまって、去年の年末から少しお休みに入ることはわかってたんです。その上にこの状況になってしまって、ミュージシャンにスタジオに来てもらうことも、ましてやみんなで集まってレコーディングなんて難しい、と。その二つが重なったことで、今回はサンプリング、打ち込みのビートをベースにっていうのは、曲を作り始めるときには見えてました。

結果的にどういうアルバムになったかというと……それがアルバムタイトル「Libertine Dreams」なんです。同名の収録曲「Libertine Dreams」からもらったんですけど、その言葉が今回のアルバム全体を表すのにもぴったりだなと。

これまでは例えばハワイやメキシコに行って、その空気を感じながら曲を作ったりしてたんです。その土地っぽい音楽要素を入れるってことじゃなくて、環境を変えたらそこから自然に生まれてくるものがあるんで。

それが今自由が制限されて、どこにも行けなくて、しかもドラムは打ち込みでやるしかない。だけど、周りの世界がどうであれ、僕たちはそれぞれの頭の中に、現実の世界よりずっと広い世界を持ってる。僕はあなたより広い世界を持っていると思うし、だけどあなたも絶対、僕より広い世界を持っているはずなんですよ。誰の世界が広い狭いなんてない、一人一人の広い世界をみんなが持ってる。

今回はその僕の頭の中の世界を旅して、その中で夢や喜怒哀楽、好きなところ嫌いなところ、色んなことをふわふわと考えながら、曲を作り続けてました。そこで生まれた曲の一つを作詞家に送ったら、仮タイトルとして返ってきたのが「Libertine Dreams」で。それがアルバム全体を表す言葉としても「これだ!」ってハマったんです。


「Libertine」という言葉には、宗教的観念的なニュアンスでの「自由」という意味もあるんですけど、このアルバムでの「Libertine」は「放浪者」みたいな意味合いですね。生々しくて人間臭い自由というか。他の言葉だと「Desperado」、「ならず者」とかにも近いかな。

そんな風に自分の頭の中を放浪して、そこで見た夢の記録。それが今回のアルバム「Libertine Dreams」です。


「僕の原風景にあるものもこのアルバムには入ってる」

── インダストリアル的でもあるビートの曲にはNine Inch NailsやMxAxSxSの雰囲気も感じたりしました。

INORANさん: 「Libertine Dreams」は今までの自分の集大成のようなアルバムにもなってるんです。僕の作ってきたサウンドって前期、中期、後期とかそれぞれで結構バラバラで。このアルバムには全部ごちゃっと入ってる。Nine Inch NailsとかMxAxSxSが思い浮かんだっていうなら、それらはたぶん僕の原風景にあるものだからだと思う。

最新アルバム「Libertine Dreams」が9/30リリース

でも「50th ANNIVERSARY」だから、自分のキャリアをまとめ上げるぞ!みたいな意識があったわけじゃなくて。3月4月5月と「今日はこういう感じの曲を作ろう」って、3日に1曲くらいのペースで作ってたら自然とこうなっただけなんですよ。

あと今までは、まず僕がデモテープを作って、それをベースにバンドメンバーと一緒に曲を完成させるって流れだったんですが、今回はそのデモテープ段階くらいのが実際に収録曲になってリリースされる感じなんですよ。

今までは、ここからドラムやベースを生音に差し替えて、自分のギターもアップデートしたりして、それが完成形。今回は生演奏への差し替えがないから、自分のスタジオで一人で作った音が丸々入っている。ボーカルだけは、歌詞をもらった頃にはスタジオに行ける状況になってたんで、外のスタジオで録ることができました。

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