[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【特別編】
INORANがついに絶対領域に登場!新アルバム「Libertine Dreams」制作秘話、最新オーディオ事情まで詳しく聞いた
「みんながそれで音楽を聴いているものっていうのを知っておきたい」
── 音楽を聴くのに使うオーディオアイテムは、近頃はどのようなものをお使いですか?
INORANさん: 完全ワイヤレスはすぐに使い始めましたね。今はMaster & DynamicのとAirPods Proを使ってます。
AirPods Proは、みんなが使っていて、それで音楽を聴いているものを知っておきたいっていうのもあって。スタジオではGenelecのでっかいモニタースピーカーで鳴らして音を確認するわけだけど、その感覚だけで作っちゃうのは違うと思うので。
だから、スマートフォンとAirPodsで聴く音の感覚を知っておいた上で、それも踏まえて、どういう音に仕上げてみんなに届けるのがいいんだろう?っていうことは意識してます。
今回マスタリングをSTERLING SOUNDのランディ・メリルに頼んだのには、その考えの延長線というところもあります。彼はレディー・ガガ、ジャスティン・ビーバー、アリアナ・グランデ、ミューズとかの作品を手掛けていて、今の時代の音作りの担い手みたいなエンジニアですから。彼のその感覚で僕の曲を仕上げてもらいたかったんです。
そうしたらやっぱり、音の作り方、空気の入れ方は、さっき挙げたような作品と一緒で、これが今のトレンドなんだなって感じました。さっきアルバムの印象として「音の響き、スケール感が大きい」って言ってくれたじゃないですか?そこなんかは特に、ランディがマスタリングで引き出してくれたところですよ。
「RYUICHIのスタジオ?あれはヤバい、ヤバいです」
── オーディオといえば、Astell&Kern「SA700 LUNA SEA 30th Anniversary Edition」、こちらも改めてお話伺わせてください。
INORANさん: Astell&Kern「SA700 LUNA SEA 30th Anniversary Edition」は、最初は僕とAstell&Kern代理店のアユートさんとのお付き合いの中で、そんな話が出てきて盛り上がったんですよ。それで他のメンバーにも話してみたら即OKでした。うちのバンドは音へのこだわりも強いですし、こういうアイテムとかガジェット、ギアみたいなものもメンバーみんな好きですから。
そういえばうちらって世代的に、アナログテープからデジタルテープ、ProToolsまで、すべてのレコーディングメディアをリアルタイムで体験してきたんですよ。ビンテージギターも今ほど高くなる前に手にして体感できたし。昔で言えば、CDをプレスする工場だけじゃなくて、その工場の何番ラインっていうのまで指定したりもしてましたね。音が違うんですよ、実際。
そうやって経験してきたからか、みんな機材へのこだわりもすごいですよ。レコーディングで使うヘッドアンプとかも、NeveとかAPIとかのビンテージのすごいやつを揃えてたりするんで。RYUICHIのホームスタジオ?あれはヤバい、ヤバいです。ギターもビンテージ含めて、僕やSUGIZOのところより揃ってますからね。
そんな風に機材とかも大好きな僕らなんで、バンドオリジナルのポータブルミュージックプレーヤーっていうのは嬉しいですよ。音はもちろん、起動時のスクリーン演出とかこのケースとか演出にも凝ってくれて。
しかも、アルバム「CROSS」の96kHz/24bitハイレゾ音源がプリインストールされてますからね。スティーブ・リリーホワイトのプロデュースで、これまでとはまた違うサウンドを作り上げた「CROSS」を、ベストなパッケージで届けることができたと思います。
あ、「Libertine Dream」もSA700 LUNA SEA 30th Anniversary Editionに入れてきてくれたんですか?そういえばこの組み合わせで聴くのは初めてかな。イヤホンはAcoustune?楽しみだな…(試聴)。
僕はこの3モデルだと最初に試した「HS1677SS」が好みですね。ローが削れることもなければピークが出ることもなくてバランスがいい。「HS1697TI」はハイが綺麗なので、女性ボーカルの方が合うかもしれない。「HS1657CU」はローミッドが強いから、その個性が好みに合うか次第じゃないですかね。