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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【特別編】

INORANがついに絶対領域に登場!新アルバム「Libertine Dreams」制作秘話、最新オーディオ事情まで詳しく聞いた

公開日 2020/09/30 12:00 高橋 敦
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「最初のイメージから変わっても、かっこいいならそれもいい」

── 自宅スタジオではギターはどういったシステムでレコーディングを?

INORANさん: ギターアンプは鳴らしてなくて、プラグインで作ったギターサウンドです。ギターサウンドをプラグインでいけるかどうかっていうのは時と場合によりますね。生のドラムやベース、バンドの空気感に合わせるには、やっぱりギターもアンプを鳴らさないとってのはあるんです。でも今回は他の音も、全部を自分で自宅で作ってるんで、ギターもプラグインで馴染んでくれてます。

── ちなみに曲作りのときに頭に浮かんだ音を、実際の音としてどうやって鳴らすのかっていうのは、結構悩まれますか?

INORANさん: うーん…1時間くらいまでは試行錯誤することもあるけど、それ以上になったら「もうやーめた!」ってなりますね、僕は。そういうところにはそんなにハマんない。音色にしてもフレーズにしても、突き詰めすぎずにやってます。


最初に浮かんでたイメージと違ってもいいんですよ、これもかっこいいじゃん!って思える音にさえできれば。

もちろん、こだわるところはこだわりますけど、「木を見て森を見ず」になるのもダメだと思う。細かいところじゃなくて、全体として最初のイメージを表現できていればそれでいいし、最初のイメージから変わっちゃっても、それがかっこいいならそれもいいんですよ。

例えば、今回一人で作らなきゃいけなかったので、曲に入ってる女性の声とかもぜんぶ僕の声なんです。最初は遊び感覚で、自分の声を加工して女性っぽく聞こえるようにしてみたんですけど、「いいじゃん!これ使おう!」って。

音楽に限らず、物作りにおいては、与えられた状況を面白がっていくことって大切なんじゃないですかね。料理でいえば冷蔵庫の余り物だけでどんだけ美味しいものを作れるか、みたいな。

それに僕は、音の組み合わせ、バンドメンバーの組み合わせ、そこから生まれるハーモニーっていうのは偶然であって、同じ雰囲気は二度とは生まれない、それを楽しみたいって考えて生きてるんで。レストランで偶然近くの席にいたやつが面白そうだったから一緒に飲もうよ!って声をかけたらすげえ楽しかった!みたいなノリですよ、曲作りも。

だから、曲に取りかかるタイミングが一日ずれてたりしたら、全然違うものができてたでしょうね。雨が降ってるのか晴れてるのかとか、僕のバイオリズムとか、その時の全てが曲には反映されていると思います。

── そういった曲作りを、思わぬ状況で思わぬ期間続けることになった、と。

INORANさん: ですね。その日その日の記録みたいな感じでもある曲作りを、3月から5月の3ヶ月、3日に1曲っていうペースでやってたわけですよ。だから30曲は作ってるってことですよね?なので、アルバムもう一枚出します。「Libertine Dreams」との二部作として来年に出します。

── そうなんですか!それはまた楽しみが増えました!

INORANさん: 「Libertine Dreams」も次のアルバムも、曲の収録順は曲を作った順のほとんどそのままなんで、次のアルバムに入る曲は4月5月分って感じです。

曲を時系列順に並べたのは、今回の場合、音楽的な流れを整えることよりも、日記みたいな気持ち、パッションの流れを届けることに比重を置いたというか。さっき言ったように、ステイホーム期間に自分の頭の中を旅した放浪日記みたいなものですから、このアルバムと次のアルバムは。


「コミュニケーションの方向性とかの個性ってメディアごとに違う」

── ステイホームの間、リスナーとしてはどのように音楽に触れていましたか?

INORANさん: サブスクで何か曲を聴いて、その曲から他の曲にたどっていって…みたいなこともしてましたね。それも音楽の世界を放浪してたと言えるのかもしれない。


でもサブスクでたどるのって、サービス側からのレコメンドもあるにせよ、自分の意図とか好みの枠内での出会いになりがちだと思うんですよ。それがいいところでもあるんだけど。

だから、自分では出会えない曲に出会わせてくれる、ラジオもよく聴いてました。
それにあの時期、ラジオっていうメディアはすごく頑張っていた印象があります。コミュニケーションの方向性とか、メディアごとに個性が違うと思うんですよ。YouTubeは「僕はここにいるよ」っていう自己発信に向いていて、実際そういう使われ方が多いように感じる。ラジオからは「あなたに届けるよ」みたいに、受け手が主軸となった雰囲気を感じますね。

そういった形でいろんな音楽に触れていて、そのときに聴いていた曲っていうのも、もちろんその日の僕に影響を与えているわけだから、今回作った曲たちにも影響を与えているんだと思います。

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