【特別企画】フラグシップ越えの音を作る4要素を解剖
デノンが“コスト度外視“で作った背景とは? 110周年記念AVアンプ「AVC-A110」音作りの全貌を聞いた
■「ダビングステージの再現に迫る」高橋氏も大満足のチューニング
チューニングの過程と仕上がりについて高橋氏に話を伺った。結論から言えば、全チャンネル同一クオリティーの真価を引き出し、ダビングステージの再現に迫ることができたと、大満足しているとのことだ。
例えば映画「ジョーカー」のBlu-rayはドルビーアトモス収録で情報量も多い作品だが、地下鉄シーンではトップからフロア―まで、鮮烈な金属音が展開。バックに流れるサウンドの重量感も聴きどころだという。
また、近年の動向も踏まえ配信音源も考慮したのことで、ピアニスト小曽根真の配信ライブ「Welcome to Our Living Room」全53回を、自宅で2chからアップミックスして鑑賞したそうだ。10日目くらいからマイクが変わったのか、音質が改善されていくのに気づいたのも面白かったと語る。
ステイホームで出社が制限され、白河オーディオワークスでの検討時間が減った一方、いちユーザーとして自宅で長時間好きなコンテンツに触れることで、新たな発見も多かったという。AVファンとしては、こうした環境の変化がどう音作りに反映されているのか興味深いところだ。
■AVC-A110は、フラグシップを超える「デノン史上最高モデル」と言えるだろう
AVC-A110は、AVC-X8500Hをベースとしつつも、機構と電気回路の両面で大幅な変更が施されていることが理解できた。先行試聴会では、専門店からも「深みのある音」と好評を得て、手ごたえは上々とのことだ。
また、AVC-X8500Hに対し、HDMIデジタルボードは新規設計品が適用され、HDMI2.1および8K入力に対応するなど、最新モデルとしての性格も持つ(AVC-X8500HはHDMIデジタルボードの交換アップグレードを実施する。開始時期についてはメーカーより発表予定)。
カラーはグラファイトシルバーと呼ぶ重厚感溢れる出で立ちで、内部はヒートシンク、コンデンサー、トランス、ネットワークモジュールのケース、果てはフラットケーブルまで黒色で統一され、美しいドレスアップも本機の品格にふさわしい。
基礎研究を欠かさず、技術研鑽を積み重ねてきたデノン。そのフラグシップを超えた、究極のフラグシップとも言える本機は、デノン史上最高モデルと言って良いだろう。記念モデルでありながら数量は限定せず、希望するユーザー全てに届けたいとのことで、至高の1台を求める熱いホームシアターファン注目のモデルである。
(協力:D&Mホールディングス)