<山本敦のAV進化論 第196回>
Amazon担当者が語る、新Amazon Echo開発秘話と「Alexaの便利な使い方」
■Amazon独自開発の「AZ1」とはどんなチップなのか
最新のAmazon Echoシリーズには、ローカルデバイス側の機械学習処理性能を高めることを主な目的として、Amazonが独自に設計した新しいシステムICチップ「AZ1 Neural Edge Processor」が搭載されている。
従来はクラウド側で行っていた機械学習処理の負荷を、エッジ側であるローカルデバイスも受け持つことにより、例えばAlexaの音声操作により「できること」が高速化・多様化する。
9月に米Amazonが発表したAmazon Echoシリーズのオンライン発表会では、AZ1チップが実現するAlexaの新しいサービスとして、Alexaの応答をより「自然な会話」に近付けるアップデートが紹介された。またユーザーの音声コマンドに対して、Alexaが聴き取れていても内容がわからないものについてはユーザーにその操作意図をAlexaが “聴き直し” をして、次にユーザーが期待していた操作を返せるように自己学習する機能も加わる。
ほかにも子どもの声を認識して、Alexaが子ども向けの読み聞かせコンテンツやスキルを提案する機能などが、先に米国/英語圏からスタートする。
大木氏は、AmazonがこれらのAlexaの新機能において「スマートデバイスと人間による会話を限界まで自然なものにする」ことを開発目的としていると話している。Alexaにはユーザーの「音声プロフィール(声紋)」を登録すると、声でユーザーを特定して好みのコンテンツを提案する機能が日本語にも対応する形で既に搭載されている。この機能が登場した背景について、大木氏は次のように説明を補足している。
「Alexaが人間に近い自然な会話をこなすために開発された機能です。Alexaも会話の相手が誰なのかが認識できていないと自然な会話にはなりません。音声プロフィールを設定することにより、ユーザーがAlexaとの自然な会話を通じてより便利に、楽しくサービスを使えるようにしたいという狙いが機能の背景にはあります。多くの方々により便利に使っていただけるように、今後超えなければならない壁もまだ残されていますが、私たちもひとつずつこれを実現していきたいと考えています。
AZ1チップにより実現する新機能の日本語対応については、これまでの技術やサービスがそうであったように、先に米国や英語圏から対応してきたものについても、よほど米国特有のものでなければそう遠くないタイミングで日本語対応、日本国内での利用ができるようになるはずです」(大木氏)
Alexaの精度やレスポンスについては、日々ファームウェアのブラッシュアップなどを図りながら改善を図っているという。AZ1チップの性能に頼らずとも、基本はハードウェアとソフトウェアのチューンアップを日々重ねながら使い勝手を良くしていくことがAmazonの開発スタンスであると大木氏、北野氏は口を揃える。
なおAlexaに音声プロフィールを設定すると、例えばAmazon Echoシリーズでショッピングを楽しむ際、バックオーダーをかけるたびに入力が必要になるPINコードを省略して声紋による認証が行える。またスキルによっては「星占い」ではユーザーの声紋を識別して結果を伝えたり、ユーザーが読みあげを中断した音声ニュースを途中から再開できるレジューム機能などが用意されている。
■Amazonのスマートディスプレイはプライム動画やYouTube視聴もかんたん
スマートスピーカーのAmazon Echoシリーズをはじめ、Alexaを搭載するデバイスの数と種類は、Amazon純正品を数えるだけでとても充実してきた。本体にディスプレイを搭載するAmazon Echo Showシリーズもその中の一例だ。
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