HOME > インタビュー > 何度目でもいい、買う!劇場版『仮面ライダー』UHD BDは“別物“に変身を遂げている

仮面ライダー初のUltra HD Blu-rayの真価とは?

何度目でもいい、買う!劇場版『仮面ライダー』UHD BDは“別物“に変身を遂げている

公開日 2021/10/23 09:30 編集部:松永達矢
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

−−製品が出るたび、最善を尽くして製作に当たられていることと思いますが、今回の4Kリマスターについてはお話を聞いていて「これ以上」があるのか? と言うこだわりぶりに感動を覚えます…! 「ゴミも拡大する」と言われたブローアップ箇所のリマスターは、35mm撮影部分と比較して作業にも手間が掛かるのでしょうか?

今塚 拡大になるのでやはり全体的にボケています。これはシーンだけでなく、ゴミもボケてしまうため、例えばリマスター作業の際に使用するアプリケーションで「オート」という映像として残すものとゴミを自動的に判別し、小さいゴミをある程度取ってくれる機能があるのですが、ブローアップ箇所ではゴミをゴミとして認識してくれないんですね。そうした事情もあり、作品を通して一番手間と時間が掛かるのは16mmからブローアップした箇所、TVシリーズからの流用部分になりますね。

劇場作品においても、仮面ライダーの変身シーンは、TVシリーズにて複数回使われる前提で撮られた「バンクカット」を流用。16mmフィルムが35mmに拡大されて劇場作品に使用される

−−なまじTVシリーズと同じシーンなので見る人が見ればわかってしまう部分でもありますからね。ちなみに、1作品あたりどれくらいの時間を掛けてリマスター作業を行うのでしょうか?

今塚 工程ごとに段を追って着手するという流れで、1作品終わったら次の作品、というフローではないので、正確な数値は出せないですが、1作品を30〜40分の上映尺とした場合の作業時間は大体約4日間というところでしょうか。ただ、どの作品もカラコレやリマスターの修正が入るなどしてスンナリ通ることはないので、あくまで目安として捉えていただければ…というところです。理想としては1作品ずつ作業に当たることができればいいな、とは思うんですが(笑)。

−−丁寧なリマスター作業を行っている中、複数の作品を回されていたのですね…本当に恐れ入ります。このように、年代の異なる複数の作品を収録しているので、作品によってシネスコ、スタンダード、ビスタなど画角の違いが生じていますが、アスペクト比の違いで作業を行う中で何か変わるところはありましたか?

今塚 例えば初期作品に多く見られたシネスコ画角の作品はアナモフィックレンズ(横方向を圧縮して結像し、ポストプロセスや映写時に圧縮率を戻すことでシネスコの画角を生み出すもの)を用いた撮影方式になっています。上下に黒マスクのない16:9の画角を見慣れている身としては、黒マスクが入り縦の画に対して横の情報量が多い比率となり視野範囲が広くなる印象となりますので、慣れるまでに多少の時間を費やしました。

ユーザー環境下での表示確認の為にPanasonic「TH-55EZ950」をマスタールームに設置している

またフィジカル面以外の要素では、カット変わりに生じるスプライスノイズもアナモフィックにより横方向に拡大されてしまいますので、レストア作業は難航しました。

次ページリマスター作業が一番難航したのは「あの作品」

前へ 1 2 3 4 5 6 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE