PR「120Vテクノロジー」を始めとする独自技術を訊く
オリジナル音響技術のメリットを解説!SPL本社キーマンを直撃インタビュー
音楽の新たな聴き方を提供。“Phonitor Matrix”
───SPLのヘッドホンアンプのもうひとつの基幹技術「Phontor Matrix」について、メリットを改めて詳しく教えてください。
ハーマン 「Phonitor Matrix」に関しては、アングルとクロスフィードの2つのノブが「Phonitor x」および「Phonitor xe」に載っています。まずアングルの機能については、スピーカーの内振りの角度を示しているような数値設定になっているのですが、この機能を使うことで、裏側で動いている機能として、音の遅延、いわゆるスピーカーの音を再現するときに音が伝達するまでの時間差が左右の耳で発生します。
その時間差を、アナログドメインで再現して、それをヘッドホンで再現しているような状況です。また、スピーカー本体から出ている音源は、人の耳に到達するまでにサウンドの減衰が発生しています。その減衰についても、パラメーターの中で同時に計算されていて、それによって高域と低域のロールオフが行われた音、またタイムディレイ(音の遅延)が設定された音が元の信号とミックスされてマトリックスが機能しています。
その上で、クロスフィードの数値は、どれくらい音を混ぜていくか、変換された音を原音に対して強めていくか、というような設定値になっています。それを強めていくことでより反射音の強いような音が聞こえてきます。スピーカーを部屋で鳴らしている時の再現を、ヘッドホンでリアルに行なえる技術になります。
───これは、オーディオファン向けのギミックではなく、プロの現場でスピーカーとヘッドホンの聴こえ方を合わせるために生まれた機能という理解であっていますでしょうか?
ハーマン 元々は音楽制作者のために開発された機能でしたが、実はPhonitorシリーズの購入者は約70%がオーディオファンです。ミュージシャンはスタジオの大きなモニタースピーカーで音楽を作っています。それと基準、焦点を合わせて同じテンションでリスナー側も音楽を楽しむことができるメリットが、結果的にオーディオファンに受け入れられたのだと思います。
好みのスピーカー配置を再現。空間表現の最適化効果も
───Phonitor Matrixの使いこなしのポイントは?
ハーマン まず、スピーカーで音楽を聴くところからセッティングを始めます。お好みのセッティングで曲を聴いてみます。次にヘッドホンをつけて、その時のスピーカーの設定(内振りの角度)とPhonitor Matrixのアングルの角度を合わせます。
もし内縁の角度が30度であれば、アングルも30度にあわせます。その上で今度はクロスフィードの設定をミニマムから上げていきます。上げてゆくことによって音像が中心によってくるようになります。この中心によってきた音と、スピーカーから出た元の音とが一致する角度で設定を止めていただくと、自分の好みのスピーカーのセッティングとヘッドホンにおける再生のリアリティさの共通化が行えるようになります。あくまでも個人が好きなサウンドの設定(スピーカーの設定)をベースとしてチューニングしてゆく、というのがお薦めです。
フロッケン ヘッドホンしか使用していない人のためには、まず基準点としてアングルを30度、クロスフィードを3の数値から設定してみるのがお薦めです。ヘッドホンによってはアングル、角度のつき方、いわゆるステレオの空間の表現の仕方が異なるモデルもあります。そういった場合には、クロスフィードの値ではなくて、アングルの値を30度から40度に変えてみるなどして、角度を調節することによってそのヘッドホンに対して適した設定ができます。
───Phonitor Matrixは、Hi-Fi オーディオのリスナーにとっては、具体的にどのような楽曲でメリットを感じられますか?
フロッケン 現代的な打ち込みの音楽であれば、クロスフィードをMAXにすることも面白いと思います。クラシックやジャズなど、ステージの演奏者の位置を表現する音源であれば、空間を調整して、ホールで観劇している時のサウンドやオーケストラを鑑賞している時の音の配置をリアルに追い込むことができます。
ハーマン これは音楽制作寄りのことですが、リバーブを使った音楽表現は、ヘッドホンでそのままナチュラルに聴いてしまうと、実際に意図した空間表現とは異なる音をモニタリングしてしまうことがありまして、それを防ぐためにスピーカーの元々の表現方法に準じたクロスフィードを使うことで、よりナチュラルな響き、よりナチュラルな音楽表現、音楽制作をおこなえます。
───ヘッドホンアンプ以外で、オーディオファンにお薦めしたい製品は?
フロッケン Pro Hi-Fi製品については、家庭環境で使うことにフィットするようなデザイン、製品設計を心がけて作っています。たとえば「Performer S800」というパワーアンプが製品群に含まれていますが、家庭用にもスタジオ向けでも使っていただけます。SPLとしての技術、考え方は共通しているので「この製品群だから、この用途にしか使えない」という限定的な考え方は有していない、というのがSPLの思想になります。
───最後に、日本の、オーディオファンに、メッセージをお願いします。
ハーマン 日本に限らず、音楽制作者とオーディオファンは、どちらも音楽を愛していて、毎日のように音楽を聴いています。両者の共通言語、共通認識を生かしたうえで、さらに相互理解を深めていくことで、お互いに成長していける。日本のマーケットで、SPLブランドがそんな機会をつくっていけたら嬉しいです。
───本日はありがとうございました
ヘッドホンアンプ
SPL「Phonitor se」
販売価格:174,900円(税込)
※DAC非搭載モデルは 126,500円(税込)
SPEC:120Vテクノロジー搭載/Phonitor Matrix クロスフィード2段階・スピーカーアングル1段階/DAC768xs対応/ヘッドホン端子(6.3mm標準アンバランス)/カラー3色(ブラック/シルバー/レッド)
ヘッドホンアンプ
SPL「Phonitor x」
販売価格:348,700円(税込)
※DAC非搭載モデルは 300,300円(税込)
SPEC: 120Vテクノロジー搭載/Phonitor Matrix クロスフィード6段階・スピーカーアングル4段階/VUメーター搭載/DAC768xs 対応/ヘッドホン端子(4PinXLRバランス/6.3mm 標準アンバランス)/ラインアウト(4PinXLRバランス/6.3mm 標準アンバランス)/カラー3色(ブラック/シルバー/レッド)
ヘッドホンアンプ
SPL「Phonitor xe」
販売価格:343,200円(税込)
※DAC非搭載モデルは 265,100円(税込)
SPEC: 120Vテクノロジー搭載/Phonitor Matrix クロスフィード6段階・スピーカーアングル4段階/ VUメーター搭載/DAC768対応/ヘッドホン端子(4PinXLRバランス/6.3mm標準アンバランス)/カラー3色(ブラック/シルバー/レッド)
本記事は「プレミアムヘッドホンガイドマガジン Vol.20」からの転載です。
(協力:A&Mグループ株式会社)