PR開発中核メンバー・岡芹氏とオーディオ評論家・小原氏が対談
「多くの方にデノンの音を届けたい」、最上位アナログプレーヤー「DP-3000NE」開発者の声を聞く
昨年発売されたデノンのフラグシップアナログプレーヤー「DP-3000NE」。デノンが培ってきた伝統的技術と最新技術が組み合わさることによって産み出された本製品は、多くのオーディオファンの人気を集め、アナログ関連アイテムの年間の秀作を選ぶ「アナロググランプリ2024」では「Gold Award」に輝いた。
本稿では、アナロググランプリ審査員を務めるオーディオ評論家・小原由夫氏と、DP-3000NEの開発における中核メンバーであるデノン・岡芹亮氏との対談を実施。DP-3000NEに込められた並々ならぬこだわり、誕生までの軌跡について語っていただいた。(編集部)
デノンのアナログプレーヤー「DP-3000NE」の評価がすこぶる高い。「DP-1300M」や「DP-500M」が生産完了となって久しく、同社のアナログプレーヤーのラインナップにしばらく本格的なモデルが不在だったこともあり、DP-3000NEは発売と同時に注目を一身に浴びたのだ。
その開発チームの中心となったのが、同社グローバル・プロダクト・ディベロップメント/プロダクト・エンジニアリング シニアプロフェッショナルの岡芹亮さんだ。
「コロナ禍前の2019年に、アメリカの首脳陣にプレゼンテーションを行ない、2020年の11月頃から開発が本格的にスタートしました。アメリカにいる技術のトップが製品コンセプトとデノンにおける存在意義を理解してくれたんです」(岡芹さん)
その際に上層部から言われたのは「かつてのデノンのアイコンは素晴らしいデザインだが、そこからモダンに進化したものが望ましいのではないか」ということだった。
私が思うDP-3000NEのキーポイントは、以下の3点である。
1:ダイレクトドライブモーターへのこだわり
2:オリジナルのトーンアームの継承
3:クラシックモダンなデザイン
オリジナルの「DP-3000」や人気が高かった「DP-80」はACモーターを採用していたが、それは今の時代のそぐわないということだった。
「当初はモーターから開発してみたいと思いました。DP-3000やDP-5000の頃は2相のインナーローター・モーターで、トルクはさほど強くない。DP-80で3相のアウターローターになって、あれを復活させてみたかったんですよ。あのモーターはデノンACモーターの集大成で私の憧れでした。そこで、かつてこのモーターを製造してくれたメーカーさんにコンタクトしたのですが、『エディーカレント型モーターであの静粛性が確保されたものの開発はできない』とお断りされました。
技術的な背景として、AVの分野でACモーターはDCモーターに移行していると思うのですが、そこで考えたのが、3相16極のDCブラシレスモーターを使ったベクトル制御方式というものです。かつてDP-1300で実績のあるモーターを活用し、そこに新しい制御方式を組合せました」(岡芹さん)
ベクトル制御方式は、省エネで高効率なDCブラシレスモーターのトルク制御を細かく行なうことが可能な最新のコントロール方式で、低速から高速まで安定した制御が可能という。
安全規格や環境規制なども含め、スイッチング電源の搭載等、内部に積むエレクトロニクスはできる限りシンプルなファンクションにするという方針も決まった。ボタンを最小限に止め、約20秒間何も操作をしなければモーターへの電源供給が停止し、スタンバイモードに切り替わる。停止中にスタート/ストップボタンを押すとスタンバイモードが解除される。これも岡芹さんのアイデアだ。
「改めて電源ボタンを押すようなことをしなくても、すぐに立ち上がり、停止状態に素早く移行する。これも現代のニーズに応えたものです」(岡芹さん)
DP-1300の10Wの消費電力に対して、DP-3000NEは実に3Wを切る、たいへんな高効率に仕上がっている。
本稿では、アナロググランプリ審査員を務めるオーディオ評論家・小原由夫氏と、DP-3000NEの開発における中核メンバーであるデノン・岡芹亮氏との対談を実施。DP-3000NEに込められた並々ならぬこだわり、誕生までの軌跡について語っていただいた。(編集部)
■ダイレクトドライブモーターへのこだわりを“今の時代”に
デノンのアナログプレーヤー「DP-3000NE」の評価がすこぶる高い。「DP-1300M」や「DP-500M」が生産完了となって久しく、同社のアナログプレーヤーのラインナップにしばらく本格的なモデルが不在だったこともあり、DP-3000NEは発売と同時に注目を一身に浴びたのだ。
その開発チームの中心となったのが、同社グローバル・プロダクト・ディベロップメント/プロダクト・エンジニアリング シニアプロフェッショナルの岡芹亮さんだ。
「コロナ禍前の2019年に、アメリカの首脳陣にプレゼンテーションを行ない、2020年の11月頃から開発が本格的にスタートしました。アメリカにいる技術のトップが製品コンセプトとデノンにおける存在意義を理解してくれたんです」(岡芹さん)
その際に上層部から言われたのは「かつてのデノンのアイコンは素晴らしいデザインだが、そこからモダンに進化したものが望ましいのではないか」ということだった。
私が思うDP-3000NEのキーポイントは、以下の3点である。
1:ダイレクトドライブモーターへのこだわり
2:オリジナルのトーンアームの継承
3:クラシックモダンなデザイン
オリジナルの「DP-3000」や人気が高かった「DP-80」はACモーターを採用していたが、それは今の時代のそぐわないということだった。
「当初はモーターから開発してみたいと思いました。DP-3000やDP-5000の頃は2相のインナーローター・モーターで、トルクはさほど強くない。DP-80で3相のアウターローターになって、あれを復活させてみたかったんですよ。あのモーターはデノンACモーターの集大成で私の憧れでした。そこで、かつてこのモーターを製造してくれたメーカーさんにコンタクトしたのですが、『エディーカレント型モーターであの静粛性が確保されたものの開発はできない』とお断りされました。
技術的な背景として、AVの分野でACモーターはDCモーターに移行していると思うのですが、そこで考えたのが、3相16極のDCブラシレスモーターを使ったベクトル制御方式というものです。かつてDP-1300で実績のあるモーターを活用し、そこに新しい制御方式を組合せました」(岡芹さん)
ベクトル制御方式は、省エネで高効率なDCブラシレスモーターのトルク制御を細かく行なうことが可能な最新のコントロール方式で、低速から高速まで安定した制御が可能という。
安全規格や環境規制なども含め、スイッチング電源の搭載等、内部に積むエレクトロニクスはできる限りシンプルなファンクションにするという方針も決まった。ボタンを最小限に止め、約20秒間何も操作をしなければモーターへの電源供給が停止し、スタンバイモードに切り替わる。停止中にスタート/ストップボタンを押すとスタンバイモードが解除される。これも岡芹さんのアイデアだ。
「改めて電源ボタンを押すようなことをしなくても、すぐに立ち上がり、停止状態に素早く移行する。これも現代のニーズに応えたものです」(岡芹さん)
DP-1300の10Wの消費電力に対して、DP-3000NEは実に3Wを切る、たいへんな高効率に仕上がっている。