ゼンハイザーのタラモア工場見学(3)
ものづくりで“情熱”を伝えたい。ゼンハイザーのヘッドホンを「あえて手作業」で組み立て続けるわけ
買収によって体制変化、工場を1か所に集約したメリット
――2022年に生産拠点をタラモア工場に集約したと聞きました。この場所は1991年からの歴史的な生産拠点ですが、集約にともない、どのような変化やメリットがありましたか
手作業による組み立てと、高度なオートメーション(自動化)を1か所で行うのは、この業界では珍しいことです。トランスデューサーのマッチングがしっかり行えること、そして同時にクオリティのチェックについても、集約することでより効率的になりました。
タラモア工場で作られたパーツは同じ工場内で組み立てられ、機械によるオートメーションと職人技による手作業の組み立てをうまく融合させています。「ひとつの屋根の下」というのは非常に有益であり、我々にとって大きなアドバンテージとなっています。
――Sonovaによるゼンハイザーのコンシューマー部門の買収により、どのような変化がありましたか。良くなった点があれば合わせて教えて下さい
我々は常にユーザーのことを考え、「改善」するというマインドを持ち続けてきました。だから長年にわたり、最もスマートで効率的な方法を常に探してきました。常に高い品質を保つこと、そして製造プロセスを向上させていくことに注力してきたのです。
これは、最高の体験を提供できるような製品を作るためです。そして、さらに改善を進めていきます。
――ゼンハイザーにはエントリーからプレミアムまで多くの製品があります。プレミアム製品とそれ以外では、生産ラインにどのような違いがありますか
我々は、すべての製品に対して細かい注意を払っています。すべてのプロセスに同じ考え方、同じ姿勢、同じような配慮で取り組んでいます。
生産の過程において、それぞれの製品にとって、最も効率的で最高の品質をもたらすプロセスを目指しています。
――製品を通して、日本のユーザーに伝えたいことがあったら教えて下さい
ユーザーの方々が、ゼンハイザー製品によってオーディオ体験を楽んでくれることを願っています。そして製品を使用するときは、我々が毎日すべての製品に注いでいる、プライドと情熱を感じていただけると嬉しいです。
記者は今回、ゼンハイザーが行ったメディア/インフルエンサー向けのツアーに参加した。同社はこのツアーの目的を、「オーディオ好きな方々に来てもらい、我々の製品がどのように作られているか、そしてどのような所にこだわっているか、というのを実際に見て学んでほしかった」と話す。
この記事を通して、ゼンハイザーの製品がどのように作られているのか、記者の体験が少しでも伝わっていたら幸いだ。記者もゼンハイザーファンのひとりだが、今まで以上に同社製品に愛着を持てるようになった。
ちなみにツアーでは日本からの参加者として、YouTuber セゴリータ三世氏、YouTuber ららまろ氏と行動をともにした。動画ではそれぞれの視点から工場の様子などがレポートされているので、興味のある方はチェックされたい。
■セゴリータ三世氏
■ららまろ氏