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PR創業者であるアントニオ・メゼ氏にインタビューを実施

Meze Audioが打ち出す待望の入門モデル。開放型ヘッドホン「105 AER」&イヤホン「ALBA」の音質に迫る

公開日 2024/11/20 06:30 野村ケンジ
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■エントリークラスの開放型ヘッドホン&カナル型イヤホンが登場


2011年に誕生したMeze Audio(メゼオーディオ)は、ルーマニアに本拠を置く新進気鋭のオーディオブランド。インダストリアルデザイナーとしてのキャリアを持つアントニオ・メゼ氏がファウンダー(創業者)なこともあってか、その製品は見目麗しい外観と良質なサウンドが巧みに両立されており、いまやポータブルオーディオユーザーのなかで知らぬ人のいない人気ブランドとなっている。

そんなMeze Audioだが、最近は「Elite」や「Empyrean」「Liric」など、平面磁界駆動型のハイエンドモデルが次々に登場し人気を博している。それゆえに名機と名高いロングセラーモデル「99Classics」のような、手頃な価格の製品登場も待ち望まれていた。そんな、待望の新製品といえるのが開放型有線ヘッドホン「105 AER」とカナル型有線イヤホン「ALBA」だ。いずれも手に届きやすい10万円未満の価格で登場したエントリーモデルである。

「105 AER」オープン価格(予想実売価格:税込60,000円前後) ※今冬登場予定

まずは105 AERから紹介していこう。ルーマニア語で “空気” の意味をもつ “AER” と名付けられたこの製品、実売3万円前後の99Classicsと10万円前後の「109 PRO」の間に位置する製品で、具体的には6万円前後のモデルだ。

「109 PROは日本をはじめ世界各国で好評をいただいています。とても嬉しく思っています。そこで、さらに多くの人に109 PROのサウンドをお届けできればと思い、つくり上げたのがこの105 AERです。そのためベースとなる109 PROの半額ぐらいの価格をコストの目標に掲げて開発をスタートしました。音質はもちろんデザインも決して妥協することなく工夫を盛り込みました」(メゼ氏)

今夏に来日したMeze Audioのアントニオ・メゼ氏。イベント展示用に105 AERとALBAのデモ機をハンドキャリーで持ってきたという。これまでイヤホン開発はメゼ氏がひとりで担当していたため、開発スピードがどうしても遅くなってしまったのを、チームをつくって改善。ALBAはその第1号モデルとなる

■開放型ヘッドホン「105 AER」は一体成型の樹脂製ハウジング


では105 AERの特長を説明しよう。優美なヘッドバンドや楕円形ハウジングのシルエットは定評ある109 PROを踏襲しているが、ウッドハウジングではなく、ABS素材による一体成形のハウジングを採用し、デザインを一新している。

ハウジングはABS樹脂の一体成型となったため、ウッドハウジングよりもデザインの自由度が高まったという

「ウッドハウジングは美しいデザインを生み出すのに最適ですが、製造の面で難しさがあります。105 AERではABSの一体成型としたことでデザインの自由度が高まり、高剛性かつ空力に優れた新しいカップデザインにすることができました。また、上位モデルではドライバーを覆うフレームはアルミ製でしたが、ここも樹脂に置き換えることで音質はキープしつつコストを下げることに成功しました。とはいえ基本的な構造は109 PROと同じで、装着性も大きく変わりません。樹脂製にしたことでパーツ点数を減らすことができ、耐久性やメンテナンス性も向上しています」(メゼ氏)。

“長く使い続けて貰えること” を重要視して製品修理が可能な体制を提供しているMeze Audioらしい設計アプローチだ。

ヒンジなど、Meze Audioの独創デザインを支えるパーツはメタルを採用。頭のカタチにあわせて均一に圧力分散されるヘッドバンドやベロアのイヤーパッドなど装着性も快適だ。また、どのパーツも分解できて修理しやすい点などは入門機でも引き継がれている

「製造を中国で行うことでもコストダウンを押し進めています。とはいえ、ルーマニア本社工場に比べて品質が劣るようでは元も子もありません。そこで、製造を担う工場を検討した結果、パーツ製造などで長年付き合いがあり、99Classicsを製造する工場で生産しています。またビルドクオリティを上げるためにも、様々なトラブルに素早く対処するためも、工場にはMeze Audioの社員を常駐させています」(メゼ氏)。

取材は音元出版の会議室で行われた

■上位機からニュートラル志向を継承し、壮大なスケール感で鳴らす


ドライバーは50mm口径のダイナミック型。109 PROにも採用した「W型ドーム形状」だが、ドーム部とエッジ部で異なる素材を採用している。ドーム部はカーボンファイバーとセルロースを組み合わせた複合素材で、高調波歪を抑制する効果がある素材だ。エッジ部は内部減衰特性に優れ、不要な共振と振動を低減する高機能樹脂「PEEK」を採用し、明瞭さとディテール表現にこだわっているという。またエッジ部の溝は、45.5度の角度で刻まれており、不要振動の低減に寄与している。

ドライバーは異種素材混合。ドーム部はカーボンファイバーとバイオセルロースを組み合わせた複合素材を採用し、エッジ部はPEEKを組み合わせる。109 PROとの差分はエッジ部がベリリウムコーティングか否かとなる

サウンドはニュートラル志向の音色傾向や空間の見通しのよさ、定位の確かさなど、109 PROとの共通点がいくつも窺える。オーケストラの演奏はホールの隅々まで広がる、壮大なスケール感のサウンドが楽しめるし、ライブ演奏などは会場の雰囲気がよく伝わってくる。

ボーカル系との相性もよく、たとえば宇多田ヒカルはややハスキーな声色ながら、感情や勢いに任せ過ぎずひとつひとつの歌詞を丁寧に歌い上げてくれる。定位はもちろん音像のフォーカスもよいため、バックバンドの演奏にもキレがあり、全体的にノリよく感じられる。デザインは変わらず秀逸、音も魅力的。大いに購買欲をくすぐられる。

ヘッドホンスタンド「MANTA」(53,900円/税込)との2ショット

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