PRfinal代表取締役、細尾満氏にインタビュー
finalのフラグシップ平面磁界駆動型ヘッドホンが7年ぶりの刷新! よりピュアに進化した「D8000 DC」の開発秘話
熱狂を生んだ平面磁界駆動型ヘッドホン「D8000」が、約7年ぶりにリニューアル! よりピュアなサウンドを徹底的に追求し、心臓部のドライバーから刷新された、いま絶対に聴いておきたい、傑出した新作の開発秘話に野村ケンジが迫る。
finalといえば、音質に関して徹底したこだわりを持つことでも有名な日本のオーディオメーカー。そんなfinalを代表する製品、フラグシップ有線ヘッドホン「D8000」が、「D8000 DC」へと生まれ変わる。ちなみにDCとは、曲の初めに戻る指示を意味する楽譜の反復記号「ダ・カーポ」に着想を得たネーミングだという。D8000は発売から7年ほど経過しているが、現在でも人気のある製品だ。そんなD8000をゼロから再構築することを宣言するように、「ダ・カーポ」と名付けたことに並々ならぬ熱意が汲んで取れる。
独自の音響技術「AFDS(エアフィルムダンピングシステム)」を採用した平面磁界駆動型のドライバーや、アルミ/マグネシウム合金製のボディなど、基本となる部分は従来モデルを踏襲していものの、D8000 DCでは、音質に影響するほぼ全てのパーツに変更が加えられているという。
「たとえば、これまで振動膜の両側に配置していたマグネットは、片側に変更されています。結果として、ヘッドホンの前面容積の構造が新しくなり、特に低域特性を大きく改善できました。また、重量が約100グラムも軽くなり、長時間リスニングする際のストレスも、大きく軽減されたと思います」(細尾氏)
マグネット以外にも、コイルパターンの変更や振動膜の硬度を再検討(少しだけ硬くしている)、圧着方法(振動膜の固定に接着剤を使わず特殊な熱加工による圧着を行っている)の微調整、これまでになかったディフューザーの配置など、物理特性を改善するための様々なグレードアップが施されているという。
「最先端のレーザー変位計などを活用して、ドライバー開発に必要となる試行錯誤を、約10分の1まで減少できました。それでも納得できる特性が得られるまで数百もの実物サンプルを作成することになりました(笑)」(細尾氏)
実物サンプルは大半が数個、多くても数10個作るくらいがせいぜい。数百もの実物サンプルを作ったという話は、ほとんど聞いたことがない。オーディオを科学し、理想の音響特性を追い求めて、細部まで徹底的にこだわり抜く。finalならではの途方もないモノづくりの姿勢に、大いに感心させられた。
さて、ドライバーはほとんど別物といっていいほどの改良が行われているというが、外観のイメージはほぼ変わらず。この点は、イメージの踏襲を意識したわけではないのだろうか?
「デザインについては、結果的に70mmという大口径の平面磁界駆動型ドライバーを搭載するには、この形状がベストだった、というのが正直な話です(笑)。しかしサウンドチューニングについては、コンセプトから変更されています。私たちはさまざまな商品開発と並行して、音響に関する基礎研究も行っています。たとえば、個人の耳の特性による音の聴こえの違い、などもそうです。こうした科学的な研究成果をいかに盛り込んでいくか、長い期間をかけて、少しずつ開発を進めていたんです。ハウジングの開口率を上げていたり、イヤーパッドに厚みを持たせて装着性を向上させたりと、大幅な改良をおこなっています」(細尾氏)
そう、なによりも効果を実感したのが、「D7000」への採用で好評を博した紙繊維を使用する、従来比およそ1.5倍もの厚さを持つ大柄なイヤーパッドの採用だ。衣服にも用いられている特殊な素材で、通気性が高く音質面で理想的でありながら耐久性にも優れるという。
もうひとつ、D8000 DCはインピーダンスを50Ωに低減、ポータブルオーディオプレーヤーでも充分に楽しめる製品に仕上げられている。
「高級ヘッドホンは超弩級アンプと組み合わせないと実力を発揮できない、という風潮を変えるために、インピーダンスは低く設定しています」(細尾氏)
それから従来モデルと同じく、D8000 DCも通常モデルのD8000 DCと、「D8000 DC Pro Edition」という、2つのバリエーションがラインアップされる。しかしながら、両者の性格、位置付けはこれまでと異なるという。
「従来のD8000では、リスニング用とモニター用、目的に合わせて異なるサウンドに仕上げてありました。しかしながら、D8000 DCでは、サウンドの方向性はまったく一緒です。一方で、人に聴取音量の好みはさまざまです。より小さなボリュームで音楽を楽しむ方にはD8000 DC、大音量派はD8000 DC Pro Editionを選んでいただくと、よりよいリスニング体験が得られると思います」(細尾氏)
科学的なアプローチで音響パーツを再構築
finalといえば、音質に関して徹底したこだわりを持つことでも有名な日本のオーディオメーカー。そんなfinalを代表する製品、フラグシップ有線ヘッドホン「D8000」が、「D8000 DC」へと生まれ変わる。ちなみにDCとは、曲の初めに戻る指示を意味する楽譜の反復記号「ダ・カーポ」に着想を得たネーミングだという。D8000は発売から7年ほど経過しているが、現在でも人気のある製品だ。そんなD8000をゼロから再構築することを宣言するように、「ダ・カーポ」と名付けたことに並々ならぬ熱意が汲んで取れる。
独自の音響技術「AFDS(エアフィルムダンピングシステム)」を採用した平面磁界駆動型のドライバーや、アルミ/マグネシウム合金製のボディなど、基本となる部分は従来モデルを踏襲していものの、D8000 DCでは、音質に影響するほぼ全てのパーツに変更が加えられているという。
「たとえば、これまで振動膜の両側に配置していたマグネットは、片側に変更されています。結果として、ヘッドホンの前面容積の構造が新しくなり、特に低域特性を大きく改善できました。また、重量が約100グラムも軽くなり、長時間リスニングする際のストレスも、大きく軽減されたと思います」(細尾氏)
マグネット以外にも、コイルパターンの変更や振動膜の硬度を再検討(少しだけ硬くしている)、圧着方法(振動膜の固定に接着剤を使わず特殊な熱加工による圧着を行っている)の微調整、これまでになかったディフューザーの配置など、物理特性を改善するための様々なグレードアップが施されているという。
「最先端のレーザー変位計などを活用して、ドライバー開発に必要となる試行錯誤を、約10分の1まで減少できました。それでも納得できる特性が得られるまで数百もの実物サンプルを作成することになりました(笑)」(細尾氏)
実物サンプルは大半が数個、多くても数10個作るくらいがせいぜい。数百もの実物サンプルを作ったという話は、ほとんど聞いたことがない。オーディオを科学し、理想の音響特性を追い求めて、細部まで徹底的にこだわり抜く。finalならではの途方もないモノづくりの姿勢に、大いに感心させられた。
従来より1.5倍厚いイヤーパッドで装着製も向上
さて、ドライバーはほとんど別物といっていいほどの改良が行われているというが、外観のイメージはほぼ変わらず。この点は、イメージの踏襲を意識したわけではないのだろうか?
「デザインについては、結果的に70mmという大口径の平面磁界駆動型ドライバーを搭載するには、この形状がベストだった、というのが正直な話です(笑)。しかしサウンドチューニングについては、コンセプトから変更されています。私たちはさまざまな商品開発と並行して、音響に関する基礎研究も行っています。たとえば、個人の耳の特性による音の聴こえの違い、などもそうです。こうした科学的な研究成果をいかに盛り込んでいくか、長い期間をかけて、少しずつ開発を進めていたんです。ハウジングの開口率を上げていたり、イヤーパッドに厚みを持たせて装着性を向上させたりと、大幅な改良をおこなっています」(細尾氏)
そう、なによりも効果を実感したのが、「D7000」への採用で好評を博した紙繊維を使用する、従来比およそ1.5倍もの厚さを持つ大柄なイヤーパッドの採用だ。衣服にも用いられている特殊な素材で、通気性が高く音質面で理想的でありながら耐久性にも優れるという。
もうひとつ、D8000 DCはインピーダンスを50Ωに低減、ポータブルオーディオプレーヤーでも充分に楽しめる製品に仕上げられている。
「高級ヘッドホンは超弩級アンプと組み合わせないと実力を発揮できない、という風潮を変えるために、インピーダンスは低く設定しています」(細尾氏)
「D8000 DC Pro Edition」もラインナップ、大音量派ならコッチ
それから従来モデルと同じく、D8000 DCも通常モデルのD8000 DCと、「D8000 DC Pro Edition」という、2つのバリエーションがラインアップされる。しかしながら、両者の性格、位置付けはこれまでと異なるという。
「従来のD8000では、リスニング用とモニター用、目的に合わせて異なるサウンドに仕上げてありました。しかしながら、D8000 DCでは、サウンドの方向性はまったく一緒です。一方で、人に聴取音量の好みはさまざまです。より小さなボリュームで音楽を楽しむ方にはD8000 DC、大音量派はD8000 DC Pro Editionを選んでいただくと、よりよいリスニング体験が得られると思います」(細尾氏)