PRfinal代表取締役、細尾満氏にインタビュー
finalのフラグシップ平面磁界駆動型ヘッドホンが7年ぶりの刷新! よりピュアに進化した「D8000 DC」の開発秘話
全帯域にわたって音の歪み感がなく、ニュートラルな音色
さて、このように全面的な進化を遂げたD8000 DCについて、短時間ながら試作サンプルを聴くことができたので、ファーストインプレッションもお届けしておこう。
ズバリ、期待を大きく上回る実力の持ち主だと断言しよう。全帯域にわたって音の歪み感が皆無で、音色もニュートラル。キレのよいメリハリに富んだ表現ながら、高域に鋭さが乗ることもなく、ただただ、ありのままの音を素直に届けてくれる。
セリーヌ・ディオンや安月名莉子など、ライブやインタビューで生声を聴いたことのある歌手が、記憶そのままの声を聴かせてくれた。ここまでのリアリティを感じさせてくれるのかと、大いに感心させられた。なめらかなボーカルは、新設計ドライバーやディフューザーの効果が実感できる部分でもある。
また、よりピュアな高域が得られたことで、音楽全体に見通しのよさが生まれている。その精緻なサウンドと豊かな低音域が下支えとなり、音楽に安定感をもたらしている。多くの人に体験してほしい素晴らしいサウンドだ。筆者を含めて、D8000ユーザーの方も、買い換えのための貯金をお薦めしたい。
ステンレス筐体の音の響きが楽しめるイヤホン「S4000」「S5000」
もうひとつ、有線カナル型イヤホンの「S4000」と「S5000」も紹介しておこう。
「近年、finalでは多くの製品が自社開発のダイナミック型ドライバーを採用しています。これは、我々が考える理想の音を作るには、ドライバーも自社で開発を行わないと実現しにくいためです。しかし、エンジニアが初心に戻って好きな音をひたすら追求する製品があってもいいんじゃないか、と。フルレンジBAドライバーを2基、水平対向配置で搭載しつつ、いかに筐体の響きを活かして楽しく鳴らすか、原点回帰のアプローチで挑戦した製品です」(細尾氏)
とはいえ、finalが手がける製品らしく、イヤホン内部に特別な音響空間を設けた「トーンチャンバーシステム」など、独自の工夫が幾つも見られる。また、筐体に接着剤を使わずネジ止めしているのも特長。修理はメーカー対応となるものの、気に入った製品を長く使い続けられるのは、うれしい配慮だ。
実際に聴いてみると、ステンレス筐体のS4000は活き活きとした、見通しのよいサウンド。高域の響きや余韻が印象的で、低域も充分な量感。楽曲にグイグイ引き込むとても楽しい表現といえる。S5000は瑞々しく伸びやか。女性ボーカルやアコースティック楽器の演奏が多い人は、こちらをオススメしたい。
どちらも基本的には中域重視のバランスだが、心地よい音色で印象的なサウンド。往年のfinal製品をどことなく思い出させる、美音イヤホンだ。
【SPEC】
「D8000 DC」
●型式:オープンエアー・平面磁界駆動型 ●ドライバー口径:70mm ●再生周波数帯域:非公開 ●感度:90dB ●インピーダンス:50Ω ●ケーブルの長さ:OFCケーブル(XLR) 3m/OFCケーブル(4.4mm) 1.5m ●重量:431g ●付属品:着脱式ケーブル、専用プロテクトケース、セキュリティキー
「D8000 DC Pro Edition」
●型式:オープンエアー・平面磁界駆動型 ●ドライバー口径:70mm ●再生周波数帯域:非公開 ●感度:90dB ●インピーダンス:50Ω ●ケーブルの長さ:シルバーコートケーブル(XLR) 3m、シルバーコートケーブル(4.4mm)1.5m ●重量:431g ●付属品:着脱式ケーブル、専用プロテクトケース、セキュリティキー
「S4000」
●型式:バランスド・アーマチュア型(フルレンジ2基) ●再生周波数帯域:非公開 ●感度:112dB ●コネクター:2PIN ●インピーダンス:48Ω ●ケーブルの長さ:1.2m シリコン製キャリーケース、イヤーピース(FUSION-G3サイズ)、イヤーフック(TYPE A)
「S5000」
●型式:バランスド・アーマチュア型(フルレンジ2基) ●再生周波数帯域:非公開 ●感度:111dB ●コネクター:2PIN ●インピーダンス:47Ω ●ケーブルの長さ:1.2m シリコン製キャリーケース、イヤーピース(FUSION-G3サイズ)、イヤーフック(TYPE A)
(提供:final)
本記事は「プレミアムヘッドホンガイドマガジンVOL.22 2024 WINTER」からの転載です。