新製品の狙いを語る
【特別インタビュー】リンが目指すは「リビングに置けるトップレベルのHiFiシステム」。CEO ギラード氏インタビュー
ネットワークオーディオの市場を世界的に牽引してきたスコットランドのLINN(リン)。同社のCEOであるギラード・ティーフェンブルン氏が昨年末に来日し、最新のネットワークオーディオソリューションとパッシブ・スピーカー「119」「150」を紹介してくれた。今回の製品の狙いについて、改めて詳しい話を伺った。
―― 日本にお越しいただきありがとうございます。すでにご存知かと思いますが、Qobuzが2024年10月に日本で正式スタートしました。ハイクオリティなストリーミングサービスを、やっと日本のユーザーも存分に楽しめるようになりました。ギラードさんからもコメントをいただけますか?
ギラード えぇ、Qobuzのローンチは日本のマーケットにとって間違いなく重要なことです。ヨーロッパやアメリカではすでにQobuzがスタートしていましたし、リンはQobuzと長年の親密な関係を築いてきました。日本でもぜひスタートして欲しいと長年働きかけてきましたので、実現したことを私たちも大変嬉しく思っております。
リンジャパンと日本のQobuzチームも、しっかり連携を取ってくれているのを感じています。オーディオショップも積極的にQobuzをデモで活用してもらいたいと考えておりまして、Qobuzと一緒にリンの市場もしっかり成長させていきたいです。
―― Qobuzには、リンのスタッフがセレクトしたプレイリストも用意されていますね。
ギラード はい、「HI-FIオーディオパートナーズ」のところに、「SELEKT DSM Edition Hub」のプレイリストと、イベントチームプレイリストの2つを用意しています。もちろん日本語でも検索可能です。ぜひオーディオファンの方に活用していただきたいです。
―― 改めて「SELEKT DSM」について教えてください。各種モジュールが用意されていて、ユーザーの環境に合わせてシステムを構築することができる、とてもユニークな製品です。
ギラード 2018年に最初のSELEKT DSMをリリースしました。さまざまなモジュールを用意していて、いろいろな設定やアップグレードが可能です。お客様には、まずシャーシを「Edition Hub」もしくは「Classic Hub」から選んでいただきます。シャーシにはネットワークやDSPといったコア基板が搭載されています。そしてモジュールとして、DACやアンプの組み合わせを選ぶことができます。トップグレードはモノラルの「ORGANIK DAC」で、ほかにもKATALYSTやアンプの有無も選べます。サラウンドも可能ですし、EXAKTシステムを構築することも可能です。
―― こういった製品は他にはあまり見ませんね。
ギラード この後ご紹介するスピーカーのお話にも関わってきますが、今までいくつかのお店さんからスピーカーのEXAKT化が難しい、という声をいただいていました。SELEKT DSMはEXAKTクロスオーバー(デジタルクロスオーバー)を搭載していますので、「119」や「150」のアクティブ化(EXAKT化)を簡単に実現することができる、ということは重要なポイントです。
―― モジュールといえば、昨年にdCSがモジュールを挿入できるフラグシップDAコンバーター「VARESE」を発表したことも話題になりましたが…。
ギラード えぇ、でも私たちはもっとシンプルなオーディオシステムを考えています。普通のリビングに設置できるサイズ、エレガントで落ち着いたデザインでありながら、HiFiのトップクラスを目指すということです。あくまで生活の中に音楽再生があることが重要で、大きな箱が6つもあるようなものではありません(笑)。
―― (笑)その考えは創業当初からずっと一貫していますね。ストリーミングサービスは非常に大きく成長していますが、一方でダウンロードはどうでしょうか?今後消えていってしまうでしょうか?
ギラード そうですね。ダウンロードは今後難しくなっていくでしょう。これは避けられないことです。ストリーミングで手軽に音楽を聴き、アーティスト活動への応援としては、レコードを買う、あるいはコンサートに行くことがより重視されるようになるでしょう。そういった音楽産業の構造変化について、私たちがなにか解決できる方法を持っているわけではありません。
ただ興味深い事実をお知らせいたしますと、リンのアプリ内から、ストリーミングサービスを連携して使っているユーザーは、全体の約25%というデータがあります。徐々に増え続けていることは間違いありませんし、今後はその割合がもっと増えていくでしょう。ですが、いまでもローカルファイル再生をしている人は世界的に見てもまだ多いようです。
(編集部注:この約25%という数字は、リンのアプリからストリーミングサービスに連携しているユーザーの割合であり、SpotifyやRoon、AirPlay等での利用は含まれていない)
―― 予想より少ない割合で大変驚きました!日本のユーザーに関して言えば、ストリーミングとダウンロードを共存させている人が多いと感じています。リンアプリのグローバルサーチ機能を使えば、ストリーミングもローカルサーバーの音源も一気に検索できるのはとても便利です。
ギラード 「Classic Hub」の第2世代モデルについてもお話しさせてください。最初のClassic Hubからいくつか進化点があります。ビルドクオリティをさらに高めてプレミアムな仕上げを実現したこと、CPUもより強力なものとなり、Edition Hubのコア基板にアップデートされていることです。384kHz/24bitとDSDにも対応します。
―― ディスプレイも大型化されて、視認性もさらに良くなりました。別の取材で聴かせていただきましたが、とくにKATALYST DACの音の透明感が素晴らしく、浸透力の高さを強く感じました。MAJIK/SELEKT/KLIMAXという3つの価格レンジは今後も継続していくのでしょうか?
ギラード はい、KLIMAXはその名の通り究極を追求したもので、私たちにできる最高峰の音質を狙います。一方でMAJIKはエントリークラスで、最初のHiFiシステムとして選んでもらえるものを考えています。
そしてSELEKTはその間にあるすべてで、プライスの幅も非常に広くなっています。繰り返しになりますが、モジュールの組み替えによってアップデートできることが大きなポイントです。私たちは、ずっと長く付き合っていけるプロダクトを作っていきたいと考えています。ユーザーの環境に合わせて成長していけるものです。音質をさらに追求したいな、と思ったら、ぜひお店に足を運んで欲しいです。お店さんとも長くいい関係を作ることができるでしょう。
―― 続いて、新しいスピーカー「119」と「150」について教えてください。いずれもパッシブモデルで、119は2ウェイのブックシェルフ型、150は3ウェイのフロア型です。ぜひお聞きしたいとおもっていたのですが、今回は「MAJIK」の名前がなくなりましたね。これはどういった意図があるのでしょう。
ギラード とても重要なご指摘です。ご存じのとおりコロナ禍が長く続きまして、サプライチェーンの問題から、いくつかの製品については製造を続けられなくなってしまいました。そのため、スピーカーの製品ラインナップも含めて再スタートを図る必要が出てきたのです。
まずはフラグシップモデルとして2023年に「360」を発売しました。EXAKT搭載のアクティブタイプと、パッシブタイプ(最低域のみアクティブ)の2種類を用意しています。そしてそれに続いて出てきたのが、エントリーとなる「119」と「150」です。
以前はエントリークラスの製品にはMAJIKという型番をつけていましたが、今回の2モデルについては、MAJIK DSMとの接続だけではなく、SELEKTシリーズとも組み合わせて欲しいと考えているのです。そして、パッシブスピーカーとしてだけではなく、EXAKTスピーカーとしても使って欲しいと考えています。それは、SELEKTに必要数のDAC/出力モジュールを組み込み、専用の設定を行うことで簡単に実現することが可能なのです。
―― なるほど、最初はパッシブスピーカーからスタートして、あとからアクティブ化するという使い方が可能なのですね!
ギラード その通りです。私たちのスピーカーとしても初めての試みです。音質的にもその方が圧倒的に良いと私たちも考えています。
―― EXAKTのデジタルクロスオーバーについて、改めて解説いただけますか?
ギラード はい、SELEKT DSMのシャーシ部分(Hub)にはEXAKTエンジン(FPGA)が組み込まれています。EXAKTはデジタルのクロスオーバーで、目的はトゥイーター、ミッドレンジ、ウーファーそれぞれについて、最適な動作を実現することにあります。通常スピーカーに内蔵されているアナログのクロスオーバーでは、音楽信号が通過する際に周波数が低くなるに従って遅延が発生し、位相がずれてしまいます。
EXAKT化することによって、クロスオーバーの遅延も発生しなくなり、位相の揃った音を再生することができます。またすべてデジタルドメインで処理しているため、伝送上のロスもありません。位相を正しく再生することで、より自然で、生演奏に近い音楽再生が可能になるのです。
(編集部注:119と150スピーカーのパッシブ→アクティブ化には、一度ユニットを取り外して内部のクロスオーバーをバイパスする作業とManage Systemによるセットアップが必要となる。詳細は店舗にご相談を)
―― 非常によく分かる説明をありがとうございます。先日のイベントでも「150」をフルEXAKTで鳴らした音を体験させていただきましたが、低域の立ち上がりの良さや切れ味は非常に印象的でした。本体を買い替えることなく、モジュールを追加するだけでEXAKTが実現できるというのは非常に魅力的です。
―― 最後に、今後のプラン、あるいは将来に向けて準備しているものはありますか?
ギラード これまで通り、テクノロジーを進化させ続けていくことを考えています。かつてに比べて音楽を聴くことはずっと身近になりましたが、その反面、正直に言えば、HiFiというのがなかなか受け入れられにくくなっている現状も感じます。ですが、私たちは前に進みつづけます。多くの人々が手軽に音楽を、いい音で聴くことができるための技術を発展させていきます。
今の私たちのコアテクノロジーは、ORGANIKソリューション、スペースオプティマイゼーション、そしてアダプティブ・バイアス・コントロールの3つです。ですが、毎年2つか3つの新製品を出して、まだまだ音を良くするための技術を磨きます。
―― つまり、今年も新製品が期待できるということですね!
ギラード もちろんです。いまはまだお伝えできませんが、楽しみにしていてください。
―― もうひとつ、リンの創業40周年の時には記念のレコードを発売されていました。リンレコーズからの何か新しい計画はありますか?
ギラード えぇ、実はスコットランドに新しいレコードプレス工場がオープンしたのです。彼らとコラボレーションして、ハイクオリティなレコード作りを考えています。おそらく数か月以内に正式にお知らせできるでしょう。
―― それは楽しみです!お時間をいただきありがとうございました!
■普通のリビングにも置けるトップレベルのHiFiシステムを目指す
―― 日本にお越しいただきありがとうございます。すでにご存知かと思いますが、Qobuzが2024年10月に日本で正式スタートしました。ハイクオリティなストリーミングサービスを、やっと日本のユーザーも存分に楽しめるようになりました。ギラードさんからもコメントをいただけますか?
ギラード えぇ、Qobuzのローンチは日本のマーケットにとって間違いなく重要なことです。ヨーロッパやアメリカではすでにQobuzがスタートしていましたし、リンはQobuzと長年の親密な関係を築いてきました。日本でもぜひスタートして欲しいと長年働きかけてきましたので、実現したことを私たちも大変嬉しく思っております。
リンジャパンと日本のQobuzチームも、しっかり連携を取ってくれているのを感じています。オーディオショップも積極的にQobuzをデモで活用してもらいたいと考えておりまして、Qobuzと一緒にリンの市場もしっかり成長させていきたいです。
―― Qobuzには、リンのスタッフがセレクトしたプレイリストも用意されていますね。
ギラード はい、「HI-FIオーディオパートナーズ」のところに、「SELEKT DSM Edition Hub」のプレイリストと、イベントチームプレイリストの2つを用意しています。もちろん日本語でも検索可能です。ぜひオーディオファンの方に活用していただきたいです。
―― 改めて「SELEKT DSM」について教えてください。各種モジュールが用意されていて、ユーザーの環境に合わせてシステムを構築することができる、とてもユニークな製品です。
ギラード 2018年に最初のSELEKT DSMをリリースしました。さまざまなモジュールを用意していて、いろいろな設定やアップグレードが可能です。お客様には、まずシャーシを「Edition Hub」もしくは「Classic Hub」から選んでいただきます。シャーシにはネットワークやDSPといったコア基板が搭載されています。そしてモジュールとして、DACやアンプの組み合わせを選ぶことができます。トップグレードはモノラルの「ORGANIK DAC」で、ほかにもKATALYSTやアンプの有無も選べます。サラウンドも可能ですし、EXAKTシステムを構築することも可能です。
―― こういった製品は他にはあまり見ませんね。
ギラード この後ご紹介するスピーカーのお話にも関わってきますが、今までいくつかのお店さんからスピーカーのEXAKT化が難しい、という声をいただいていました。SELEKT DSMはEXAKTクロスオーバー(デジタルクロスオーバー)を搭載していますので、「119」や「150」のアクティブ化(EXAKT化)を簡単に実現することができる、ということは重要なポイントです。
―― モジュールといえば、昨年にdCSがモジュールを挿入できるフラグシップDAコンバーター「VARESE」を発表したことも話題になりましたが…。
ギラード えぇ、でも私たちはもっとシンプルなオーディオシステムを考えています。普通のリビングに設置できるサイズ、エレガントで落ち着いたデザインでありながら、HiFiのトップクラスを目指すということです。あくまで生活の中に音楽再生があることが重要で、大きな箱が6つもあるようなものではありません(笑)。
―― (笑)その考えは創業当初からずっと一貫していますね。ストリーミングサービスは非常に大きく成長していますが、一方でダウンロードはどうでしょうか?今後消えていってしまうでしょうか?
ギラード そうですね。ダウンロードは今後難しくなっていくでしょう。これは避けられないことです。ストリーミングで手軽に音楽を聴き、アーティスト活動への応援としては、レコードを買う、あるいはコンサートに行くことがより重視されるようになるでしょう。そういった音楽産業の構造変化について、私たちがなにか解決できる方法を持っているわけではありません。
ただ興味深い事実をお知らせいたしますと、リンのアプリ内から、ストリーミングサービスを連携して使っているユーザーは、全体の約25%というデータがあります。徐々に増え続けていることは間違いありませんし、今後はその割合がもっと増えていくでしょう。ですが、いまでもローカルファイル再生をしている人は世界的に見てもまだ多いようです。
(編集部注:この約25%という数字は、リンのアプリからストリーミングサービスに連携しているユーザーの割合であり、SpotifyやRoon、AirPlay等での利用は含まれていない)
―― 予想より少ない割合で大変驚きました!日本のユーザーに関して言えば、ストリーミングとダウンロードを共存させている人が多いと感じています。リンアプリのグローバルサーチ機能を使えば、ストリーミングもローカルサーバーの音源も一気に検索できるのはとても便利です。
ギラード 「Classic Hub」の第2世代モデルについてもお話しさせてください。最初のClassic Hubからいくつか進化点があります。ビルドクオリティをさらに高めてプレミアムな仕上げを実現したこと、CPUもより強力なものとなり、Edition Hubのコア基板にアップデートされていることです。384kHz/24bitとDSDにも対応します。
―― ディスプレイも大型化されて、視認性もさらに良くなりました。別の取材で聴かせていただきましたが、とくにKATALYST DACの音の透明感が素晴らしく、浸透力の高さを強く感じました。MAJIK/SELEKT/KLIMAXという3つの価格レンジは今後も継続していくのでしょうか?
ギラード はい、KLIMAXはその名の通り究極を追求したもので、私たちにできる最高峰の音質を狙います。一方でMAJIKはエントリークラスで、最初のHiFiシステムとして選んでもらえるものを考えています。
そしてSELEKTはその間にあるすべてで、プライスの幅も非常に広くなっています。繰り返しになりますが、モジュールの組み替えによってアップデートできることが大きなポイントです。私たちは、ずっと長く付き合っていけるプロダクトを作っていきたいと考えています。ユーザーの環境に合わせて成長していけるものです。音質をさらに追求したいな、と思ったら、ぜひお店に足を運んで欲しいです。お店さんとも長くいい関係を作ることができるでしょう。
■EXAKT化によるアップデートもできるパッシブスピーカー
―― 続いて、新しいスピーカー「119」と「150」について教えてください。いずれもパッシブモデルで、119は2ウェイのブックシェルフ型、150は3ウェイのフロア型です。ぜひお聞きしたいとおもっていたのですが、今回は「MAJIK」の名前がなくなりましたね。これはどういった意図があるのでしょう。
ギラード とても重要なご指摘です。ご存じのとおりコロナ禍が長く続きまして、サプライチェーンの問題から、いくつかの製品については製造を続けられなくなってしまいました。そのため、スピーカーの製品ラインナップも含めて再スタートを図る必要が出てきたのです。
まずはフラグシップモデルとして2023年に「360」を発売しました。EXAKT搭載のアクティブタイプと、パッシブタイプ(最低域のみアクティブ)の2種類を用意しています。そしてそれに続いて出てきたのが、エントリーとなる「119」と「150」です。
以前はエントリークラスの製品にはMAJIKという型番をつけていましたが、今回の2モデルについては、MAJIK DSMとの接続だけではなく、SELEKTシリーズとも組み合わせて欲しいと考えているのです。そして、パッシブスピーカーとしてだけではなく、EXAKTスピーカーとしても使って欲しいと考えています。それは、SELEKTに必要数のDAC/出力モジュールを組み込み、専用の設定を行うことで簡単に実現することが可能なのです。
―― なるほど、最初はパッシブスピーカーからスタートして、あとからアクティブ化するという使い方が可能なのですね!
ギラード その通りです。私たちのスピーカーとしても初めての試みです。音質的にもその方が圧倒的に良いと私たちも考えています。
―― EXAKTのデジタルクロスオーバーについて、改めて解説いただけますか?
ギラード はい、SELEKT DSMのシャーシ部分(Hub)にはEXAKTエンジン(FPGA)が組み込まれています。EXAKTはデジタルのクロスオーバーで、目的はトゥイーター、ミッドレンジ、ウーファーそれぞれについて、最適な動作を実現することにあります。通常スピーカーに内蔵されているアナログのクロスオーバーでは、音楽信号が通過する際に周波数が低くなるに従って遅延が発生し、位相がずれてしまいます。
EXAKT化することによって、クロスオーバーの遅延も発生しなくなり、位相の揃った音を再生することができます。またすべてデジタルドメインで処理しているため、伝送上のロスもありません。位相を正しく再生することで、より自然で、生演奏に近い音楽再生が可能になるのです。
(編集部注:119と150スピーカーのパッシブ→アクティブ化には、一度ユニットを取り外して内部のクロスオーバーをバイパスする作業とManage Systemによるセットアップが必要となる。詳細は店舗にご相談を)
―― 非常によく分かる説明をありがとうございます。先日のイベントでも「150」をフルEXAKTで鳴らした音を体験させていただきましたが、低域の立ち上がりの良さや切れ味は非常に印象的でした。本体を買い替えることなく、モジュールを追加するだけでEXAKTが実現できるというのは非常に魅力的です。
■テクノロジーを進化させ続けていくことが使命
―― 最後に、今後のプラン、あるいは将来に向けて準備しているものはありますか?
ギラード これまで通り、テクノロジーを進化させ続けていくことを考えています。かつてに比べて音楽を聴くことはずっと身近になりましたが、その反面、正直に言えば、HiFiというのがなかなか受け入れられにくくなっている現状も感じます。ですが、私たちは前に進みつづけます。多くの人々が手軽に音楽を、いい音で聴くことができるための技術を発展させていきます。
今の私たちのコアテクノロジーは、ORGANIKソリューション、スペースオプティマイゼーション、そしてアダプティブ・バイアス・コントロールの3つです。ですが、毎年2つか3つの新製品を出して、まだまだ音を良くするための技術を磨きます。
―― つまり、今年も新製品が期待できるということですね!
ギラード もちろんです。いまはまだお伝えできませんが、楽しみにしていてください。
―― もうひとつ、リンの創業40周年の時には記念のレコードを発売されていました。リンレコーズからの何か新しい計画はありますか?
ギラード えぇ、実はスコットランドに新しいレコードプレス工場がオープンしたのです。彼らとコラボレーションして、ハイクオリティなレコード作りを考えています。おそらく数か月以内に正式にお知らせできるでしょう。
―― それは楽しみです!お時間をいただきありがとうございました!