チューナー単体で番組録画ができる、スカパー!HDチューナー「TZ-WR320P」を快適に使っている。スカパー!HDチューナーを2系統搭載し、内蔵する320GBのHDDと、ホームネットワークにLANで接続した外部レコーダーを使うことで2番組同時録を実現。録画好きには堪えられない製品だ。
従来のスカパー!HDチューナー製品に比べて番組表がかなり使いやすくなっており、検索機能が充実しているので、探したい番組も次々と見つけることができる。
本機の便利な使い勝手については以前、レビュー記事でもご紹介した通りだが、仕様の点で気になるところもある。本体の内蔵HDDに録画した番組は、他のレコーダーにダビング(ムーブやコピー)ができないので、長期保存に向いていない。2番組同時録画ができても、内蔵HDDに録画した番組はBDディスクなどにアーカイブ記録できないので、コレクション重視派の筆者にとっては、もう一息残念に感じるところだった。
せっかくの2番組同時録画対応機能なので、使わないのはもったいないと考え、最近では内蔵HDDに見たら消す番組を中心に2番組同時録を活用している。
こういった録画スタイルに向いているのが、朝日ニュースター(
http://asahi-newstar.com/web/)で放送されているニュース解説系番組だ。たとえば「ニュースの深層」「宮崎哲弥のトーキング・ヘッズ」など、ちょっと地上波では放送されないような、危険な香りのする情報が盛り込まれた番組は“ながら見”視聴でもいいので押さえておきたい。とにかく、ニュース番組は情報の鮮度が命なので、どんなに内容の良い番組でも、BDに保存してまでもう一度視聴することはまずないと考え、チューナーの内蔵HDDに録画している。
TZ-WR320Pは「ホームサーバー機能」に対応しているので、LANを介して別室に設置したAV機器からも内蔵HDDに録画した番組を再生できる。また、「お部屋ジャンプリンク機能」でTZ-WR320Pから他の録画機器に録画したコンテンツの視聴も可能だ。このお部屋ジャンプリンクはDLNAに対応する機器どうしで録画したコンテンツが視聴できる機能であり、コンテンツ保護規格のDTCP-IPにも対応している。
筆者はホームサーバー機能を使って、リビングに設置したTZ-WR320Pに録画した番組を、書斎のPS3で再生している。調べ物をしながら録画番組をラジオのように“ながら見”すれば、録画番組を効率よく消化できる。
操作は簡単で、TZ-WR320PとPS3が同じホームネットワーク上に設置してあれば、TZ-WR320Pのホームサーバー機能設定後に、PS3のビデオアイコンの箇所に録画番組が一覧表示されるので、後はタイトルを選択すれば録画番組が再生できる。早送り/巻き戻しにも対応しているので、操作感はレコーダーと変わらない。
PS3以外にも、DLNAベースのネットワーク機能に対応する薄型テレビなども増えているので、対応機器を選んで組み合わせていけば、家中さまざまな場所でスカパー!HDの番組が視聴できて、とても重宝する。
この機能は、PS3だけでなくデジオンから発売されているソフト「DiXiM Digital TVシリーズ」をインストールすると、ノートパソコンなどでも利用できる。パソコンのスペックによってはアプリケーションソフトを快適に利用できない場合もあるが、「お部屋ジャンプリンク機能」、「ホームサーバー機能」により、パソコンでスカパー!HDや、ソニーのBDZシリーズに録画した番組が再生できるのはかなり便利だと感じた。
TZ-WR320Pが抱える次の進化の課題は、内蔵HDDに録画した番組のダビング(ムーブやコピー)にも対応することだと筆者は感じている。もしくは外部接続したBDレコーダーへの同時2番組録画の実現だ。とはいえ、本機にはこれまでのスカパー!HDチューナーで味わうことの出来なかった魅力が数多く詰まっている。スカパー!HDに興味のある方は、本機を活用しながら“コンテンツの宝庫”であるスカパー!HDを攻略してみて欲しい。
(レポート/鈴木桂水)