次世代AV機器とはどんなものか、考えるより、まず体験してみようとスタートした本コラム。今回はハイビジョン放送のネット配信について、実験しご報告するつもりだったが…、いきなり暗礁に乗り上げてしまった。詳細は後に譲るとして、まずはネットを使った動画配信を考えてみよう。
パソコン上ではGyaOなどの無料放送や有料のバンダイチャンネルなどを利用することで、動画配信を楽しめる。最近では賛否両論あるものの、動画投稿サイトの「
YouTube」が爆発的なアクセスを記録している。良くも悪くも、YouTubeにより、パソコンで気軽に動画を見る、という習慣が定着しつつあるようだ。
しかし、これらパソコン用の動画配信をリビングの“テレビ”で見ることは少ない。最近の薄型テレビにはパソコン用の入力端子があるので、あながち無理な話ではないが、それでも操作にはパソコンのルールが必要なので、誰でもがビデオのように楽しめるわけではない。
操作性の問題だけではない。現在のパソコン用動画配信は、たとえ高解像でも地上アナログ放送程度(720×480ドット)の解像度になってしまう。YouTubeはさらに解像度が下がり、解像度は地上アナログの半分以下のQVGA(320×240ドット)画質になってしまう。1,240×1,080ドットのハイビジョン映像を見慣れてしまうとDVDの画質ですら物足りなくなるというのに、それよりも解像度が落ちるとなると、作品を見ようという気にはならないだろう。
さて、ここで皆さんは疑問を持たないだろうか?現在我々は有料無料、アナログ、デジタル放送を合わせると200を軽く超えるチャンネルを視聴できる環境にある。それでいてなぜネットでの動画配信を必要とするのだろう。もちろん、「そんなの不用だ」という声も多いと思う。
放送とネット配信の大きな違いは「ネット配信なら、好きなときに好きな番組を試聴できる」というメリットがある。これを「ビデオ・オン・デマンド(VOD)」という。なんだか難しい名前だが、いわば家にいながらにして“ビデオレンタル”が利用できると思えばいいだろう。ビデオレンタルとの違いは、“貸し出し中”がないと言うことだ。たとえば最近海外ドラマの「24」シーズン5がレンタル店に並んだ。24は人気が高く、すぐに借りられてしまう上に、単発の映画とちがって続けて見ないと面白くない。こんなとき、VODが本格化すれば、好きなときに連続して24を見ることができるのだ。もちろん延滞料金もないし、返却し忘れを思い出して小雨の降る夜中に、レンタル店まで走ることもなくなるわけだ。それは、僕ぐらいか?(笑)
さらに掘り下げればYouTubeも同じ事だろう。サーバーに投稿された画像が保存されているので、「あの動画みた?すごいよね」などと、友人などで動画情報を共有化できるのだ。この便利さを知れば、後戻りはできない。
画質と画面サイズの関係は「デジカメ写真をどれぐらいの用紙サイズで印刷するか?」という問題に似ている。たとえば300万画素程度ならハガキサイズまでの印刷に向くが、A4となると画面が荒くなってしまう。A4なら400万以上の画素で撮影すれば、なめらかな印刷結果が得られる。テレビも同じで画素数の少ない動画データを大画面テレビに表示すると画面にノイズが増え見苦しくなる。
「ネット配信でいつでも好きなときに美しい映像を!」という問題を解決してくれそうなのが、インターネットの光回線を使った動画配信だ。通信速度の速いインターネットの光接続回線と、次世代の動画圧縮技術H.264などを組み合わせることでインターネット回線を使ったフルHD映像の配信を可能にしている。
この方式のサービスは僕の知る限り「
オン・デマンド・ティービー」の「オンデマンドTV ハイビジョン」とぷららネットワークスが提供する「
4th MEDIA」がある。どちらをテストしようか迷ったが、前回紹介したレグザ37Z2000が4th MEDIAに対応しているので、これを使ってテストすることにした。
テストを始めようとしたとたん、やっかいな事が発生した。僕の家はU-SENの光接続だったのだが、4th MEDIAを利用するにはNTTの光接続「Bフレッツ」に切り替えなければならない。さらに「so-net」「@nifty」「hi-ho」「BIGLOBE」「Plala」といった、4th MEDIAのサービスに対応するプロバイダーに加入していなければならない。
結局、プロバイダーは対応していたので、我が家の光接続を「Bフレッツ」に変更した。レグザにはLAN端子が3つあり、一つはWeb表示用、もう一つは前回の記事で紹介したHDDの録画用機能に使うLAN端子だ。そして残りが今回紹介する4th MEDIA用になっている。基本的な接続方法は下記の図に示したので参考にしていただきたい。
接続を済ませ、実際の設定を始めたときに異変が起こった。どうやってもネットへの接続ができないのだ。しかしWeb表示やLAN経由でのHDD録画は可能だ。いったい何がいけないのだろう。
結局、今回はここでタイムアップ。次回までになぜ4th MEDIAを表示できなかったか調べてお伝えしようとおもう。もしかすると、僕の家では見られないということになるのだろうか?次回の更新をお待ちいただきたい。
−次号の掲載は1月16日(火)を予定しています。どうぞお楽しみに!−
※4th MEDIAのサービスについては、正しくは「IPv6を利用したNTTのフレッツ網を使うブロードバンド動画配信サービス」となります。今回の4th MEDIA視聴レポートでは、家庭で映像を楽しむ手段として、電波放送やパッケージソフトとの対比を表すため、サービスの利用形態については広義での「インターネット」という言葉で表現させていただきました。