ブロードバンドサービス「4th MEDIA」の視聴を開始してから、このサービスを利用する機会が増えている。実はこの4th MEDIAを主に使っているのは、意外にもAV機器が苦手な僕の家族なのだ。
自宅ではスカパー!を契約しているが、録画専用のHDD&DVDレコーダーに接続して、録画用に使っている。スカパー!のチューナーには2系統の出力があるので、空いている1本をテレビに繋げばいいのだが、あまりにも録画する番組が多いので、録画ミスを防ぐために、スカパー!チューナーのリモコンをしまって、チャンネル切り替えができないようにしているのだ。
以前より家族からは「スカパー!が見られない」という不満を訴えられていた。しかし4th MEDIAの番組はスカパー!と内容がダブるので、家族は思う存分チャンネル切り替えをしながら番組を楽しんでいる。そのあたりの使い勝手の良さは、
前回お伝えした通りだ。
前置きが長くなったが、こうやって使っているうちに気づいたことがある。前回「映画はDVD画質でしか見られない」とお伝えした。実はこれが間違っていたのだ。利用しているプロバイダーにフルHDでの番組配信について問い合わせたところ「ブロードバンド経由でのフルHD番組の配信は行っておらず、今後については現在検討中だ」という回答を得たからだ。もちろんレグザの型番も伝えてあったのだが。(読者の皆さんにはこちら確認不足で誤った情報を提供してしまい、ここにお詫びします)
その後、4th MEDIAを提供する「ぷららネットワークス」へ連絡する機会があり、ついでにフルHD配信について聞いてみると、いま僕が使っているREGZA 37Z2000シリーズならフルHDでの映像配信を利用できるとのことだった。
4th MEDIAのメニューが分かりづらく、フルHDコンテンツを見つけるのに迷ってしまったが、配信リストを見つけてしまえば、通常のビデオ配信と同じく操作は簡単だった。
再生テストに選んだのは2006年の話題作『間宮兄弟』だ。佐々木蔵之介氏と、ドランクドラゴンの塚地武雅氏が、ひょうひょうと日常を過ごす兄弟を演じた、のんびりとした気分になれる作品。日常の慌ただしさから解放されて、ほっと一息をつくのに良さそうだと選んだ。
この作品を他のハイビジョン環境で見たことはないが、映画撮影時のフィルターの効果なのか、発色は全体的にくすんでいる印象を受けた。僕は見づらいとは感じず、邦画らしい画作りだと好印象で見終えた。解像度は申し分なく、再生ノイズなどは発生しなかった。
しかし、4th MEDIA専用のセットトップボックスではフルHD再生ができず、REGZA Z2000シリーズのみフルHD再生が可能なのだろうか。東芝でレグザシリーズの開発を担当するテレビ事業部 地域第三部の本村裕史氏にお話を伺ってみたところ「レグザには“新メタブレイン・プロ”という映像回路が入っており、この回路が高速で映像処理をすることでネットワーク経由によるハイビジョン再生が可能になりました」とのことだった。
本村氏によると、レグザは当初からネットワークHDDへのハイビジョン番組録画を実現すべく、映像回路を開発してきたという。このネットワークHDDへの録画機能については、既にご紹介しているので、
過去のレポートを参考にしたいただきたい。
“新メタブレイン・プロ”は、現行のレグザシリーズ全てが搭載しているが、その中でもネットワークHDDへの録画機能を備える“Zシリーズ”のみ特別な回路が搭載されているという。それはネットワーク経由での映像を処理するために別途64bitのCPUを搭載しているのだ。これにより、ハイビジョン放送に記録されたコピー防止機能の処理などをリアルタイムで処理できるようになった。このCPUのの処理能力をそのまま4th MEDIAでのフルHDコンテンツの再生に利用できるのだ、と本村氏は説明してくれた。
くどいようだが4th MEDIAの専用端末ではフルHD配信を利用できない。今回レグザの仕組みを一部知るだけでもフルHDコンテンツの配信と著作権保護処理の難しさが分かった。
BD/HD DVDのソフトのレンタルが始まっていない現在、ハイビジョンの動画配信はとても魅力的なコンテンツの一つだ。視聴可能な作品数が増えれば、かなり使えるサービスになることが予想される。今後、4th MEDIAに限らず様々なハイビジョンコンテンツのネットワーク配信が始まるものと思われるが、セットトップボックスににはより高いスペックが要求されてくるだろう。コストに反映して、手の出しづらいサービスにならなければいいと願うばかりだ。
−次号の掲載は2月20日(火)を予定しています。どうぞお楽しみに!−