前回に引き続き日立の薄型テレビ“Wooo”シリーズから「L32-HR01」をセレクトし、ロングランチェックレポートをお届けしている。テレビに録画機能がついているとどれだけ快適か、既ににお話ししたと思うが、実際に日常生活で使い慣れると手放せなくなること請け合いだ。
テレビ内蔵HDDの便利さからついついあれもこれもと録画してしまい、内蔵するHDDがすぐにいっぱいになってしまった。ただ、うれしい誤算もあった。今回のテスト期間でさすがに250GBのHDDをいっぱいにすることはなかったが、それでも1週間で3分の1は消したくない番組が占有することになった。あとひと月も筆者が使えば内蔵HDDはパンクするに違いない。
そこで今回使ってみたのが、本機が対応する着脱可能なHDDであるiVDR-Sだ。iVDR-Sとはビデオテープやメモリーカードのように使えるカートリッジタイプのHDD。著作権保護機能により、デジタル放送を録画したメディアを他の対応機器で再生することもできる。今回は内蔵HDDに録画した大切な番組をiVDR-Sへ保存してみることにした。iVDR-Sについての詳細は、過去に掲載された
インタビュー記事を参照していただきたい。
iVDR-Sをあらかじめ本体にセットしておけば直接録画が可能だ。予約時に録画先をiVDR-Sに指定すれば、内蔵HDDではなくiVDR-Sに直接録画できる。映画だけはiVDR-Sに記録して保存する、といった使い方ができるが、実際は一度内蔵HDDに録画し、そこから必要な番組をiVDR-Sにムーブするのが現実的だ。
iVDR-Sのユニークなところは、内蔵HDDに録画した番組をHDDとiVDR-S間で何度もムーブできるところだ。将来iVDR-Sに対応したレコーダーなどが発売された場合、Woooシリーズの本体で録画した番組をiVDR-Sにムーブし、それを介すことで他の対応機器で楽しむこともできる。
操作は「べんり」ボタンで機能一覧を表示させ、ダビングを選べば簡単に作業を進められる。では実際に録画番組のムーブを行ってみよう。テストはTSモードで録画した30分の番組を内蔵HDDからiVDR-Sにムーブする。さらに同じ番組をiVDR-Sから内蔵HDDへムーブして、それぞれのタイムを計測した。
まずHDDからiVDR-Sにムーブするのに要した時間は4分45秒だった。一方iVDR-Sから内蔵HDDへムーブするには3分45秒かかった。なんと同じ番組でもiVDR-Sから内蔵HDDへ書き戻したほうが記録時間は短くなるようだ。こ結果について、(株)日立製作所に問い合わせたところ次のような回答をいただいた。
ダビング時間は、HDDのサイズにより変化するとのこと。「L32-HR01」が内蔵するHDDの直径は3.5インチだが、一方iVDR-Sが内蔵するHDDの直径は2.5インチだ。3.5インチの方が書き込み速度が速いので、iVDR-SからHDDへムーブした場合の方が記録時間は短くなる。逆に3.5インチから2.5インチのiVDR-Sへ記録する場合は、記録処理が追いつかず、余分に時間がかかるようだ。だたこの記録時間も普遍ではなく、双方の残量により記録部分が変化するので速度に差が出そうだ。
ムーブ時には画質の変更も可能だ。例えばTSモードで録画した番組をTSEやDVD画質のSPなどに再変換して保存ができる。HDD容量の節約にも一役買いそうだ。ちなみに変換実行時には実時間が必要になる。
iVDR-SはまるでビデオやDVDと変わらない操作感で利用できる。iVDR-Sはまだ高価だが、今後対応機種が登場すれば価格も落ち着くだろう。さらに対応機器が揃えてくれば、BD勢に対抗できる次世代の記録メディアになりそうだ。
−次号の掲載は5月29日(火)を予定しています。どうぞお楽しみに!−