いよいよ夏のボーナスシーズンが到来。各社からは最新の薄型テレビが続々と登場している。本サイトの読者の方ならお気づきだと思うが、各社が今夏市場に投入したのはスタンダードモデルが多く、高画質モデルを狙うなら秋冬モデルまで“待ち”でいた方がいいようだ。
そんな中、筆者が注目しているのがHDDを内蔵する録画機能付モデルだ。すでに本コラムでも日立製作所の“Wooo”シリーズから「
L32-HR01」を取り上げてご紹介した。このHDD付のテレビというのが実に快適で、使うほどに手放せなくなる魅力がある。
現在筆者宅には東芝の“REGZA”シリーズの新製品「37H3000」がある。筆者の家には仕事用を含め8台のレコーダーが稼働しており、さらに全番組を録画するソニーのXビデオステーションもあるのだが、それでも録画機能付テレビをテストしている期間は、いつもより快適にテレビを楽しめている気がする。「これは何故だろう?」とけっこう真剣に考えて、以下の理由が思いついた。
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操作がカンタン
番組表を開いて録画したい番組を選んで決定ボタンを押すだけで予約が完了
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気軽に録画できる
確実に録画したい番組はレコーダーで予約しているので、それ以外の優先度の低い番組を気軽に録画できる
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再生がカンタン
入力切り替えをせずに録画番組のリストが表示されるのでカジュアルに再生できる
この至極当たり前とも思える3つポイントが意外な誤算を生んだ。筆者よりも家族が積極的に録画をするようになったのだ。筆者の家族はAV機器の操作がからっきしダメ。いや、ダメと言うよりも、「使っていて壊したら…」という恐怖感にさいなまれて、レコーダーを操作することができなかったようだ。このときの家族にとっての障害とは…
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テレビの入力切り替えがわからない
1台のテレビにめいっぱいレコーダーがつながっているので、どのレコーダーを操作していいかわからない
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リモコンがわからない
筆者のテレビまわりには15個以上のリモコンがあり、どれを操作するとどれが動くのかわからない
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録画の仕方がわからない
各社のレコーダーが揃っているので、操作形態はバラバラ。同一メーカーでも世代によって録画方法は変わるので覚えられない
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筆者の録画予約と家族の録画予約が重なる
レコーダーはどの機種もフル稼働。自動録画対応機もあるので録画したい番組が重なってしまう
そこで筆者は録画機能付テレビには予約を入れないことにした。すると家族も操作をしようという気になったようだ。前述したように、実際の操作は驚くほどカンタンになっている。今までならレコーダーとの入力切り替えをしなければならなかったが、テレビの番組表でそのまま予約ができる。録画したい番組が重なったら、自分の判断で取捨選択ができるのというのも気軽なようだ。とくにREGZA 37H3000は番組が重なった時の予約キャンセル操作がわかりやすい。そして録画番組の再生も入力切替えをしなくても、録画リストを表示して録画番組を再生するだけ。おかげでREGZAWのHDDはいつも何らかの番組が録画されており、筆者もそこから面白い番組を見つけて楽しんでいる。
最近、テレビの購入相談をされるときは、この経験から、「今年の夏に薄型テレビを買うなら録画機能付がいいですよ」と薦めている。ただ、大半の人は「あ、それはダメだよ。以前、ビデオ付テレビを使っていたんだけど、ビデオが壊れるとテレビまでも修理に出さないといけないから不便なんだよ。ビデオはよく壊れるしね」という声が帰ってくることが多い。
確かにそうだろう。筆者の友人が持っていたビデオ付テレビはよく壊れていた。もちろんデジタルレコーダーも結構壊れるものだ。筆者のように毎日休みなく使っていると、だいたい3年で調子が悪くなる。ただ、いままで壊れたのはHDDだけだ。これまでの5台故障したが、どれもHDDだった。とはいえテープ式ビデオで同じように使っていればもっと壊れただろう。テープ式のビデオよりもHDDタイプの方が部品点数は少ないので故障は少ないはずだ。もっとも3〜5年程度でHDDは壊れるかもしれないが、それまで便利に使えるほうを優先すべきではないかと考えている。
一方で今回紹介するREGZA H3000シリーズなら一番壊れやすい内蔵HDDをユーザーが手軽に交換できる。それ以外の部分が壊れれば修理も致し方ないが、それでも一番壊れやすい内蔵HDDが自力で交換できるのは安心だ。
かなり前置きが長くなったが、筆者が今夏オススメする録画機能付テレビの一つ東芝のREGZA 37H3000をしばらくテストしようと思う。まず録画予約と再生についての便利機能を紹介しよう。
番組予約で便利なのが「新・今すぐニュース」機能と「連ドラ予約」機能、そして「ちょっとタイム」機能だ。「新・今すぐニュース」機能は設定したニュース番組を更新しながら録画する機能で、定時ニュースを設定しておけばいつでも最新のニュースを再生できる。
「連ドラ予約」機能は毎日、毎週、繰り返し放送される番組を連続して録画する機能だ。レコーダーなら当たり前ともいえる機能だが、REGZAではひと工夫が加えられている点に驚いた。予約時に連ドラ予約する番組が「月〜金」の平日帯番組なのか、「月9」のように毎週放送される番組なのかを解析して自動的に設定する。レコーダーの中には初期設定が毎週予約しかなく、「月〜金」の帯予約をする場合は設定画面で変更しなければならない不便な機種もある。それに比べると録画ユーザーの気持ちをくみ取った機能になっていると言える。
「ちょっとタイム」機能はいま見ている番組を録画しながら再生できる、タイムシフト再生機能。テレビの視聴中に来客やトイレに立っても巻き戻して再生できるのがメリットだ。「ちょっとタイム」機能を使えば、不意の来客などによる見逃しも少ない。起動時間は従来機より速くなっており、約3秒で録画がスタートする。
REGZAが優れるのはこれらの機能について、リモコンに専用ボタンを設けたことだ。それも他のボタンと差別化するためにボタンの色を変え、日本語表示にしている。これなら迷わすに操作できる。「リモコンのボタン数を少なくすることがカンタン」と解釈するメーカーもあるが、筆者はそう思わない。よく使う機能なら専用のボタンをわかりやすく配置して、ダイレクト操作をさせてくれた方が、よっぽど使いやすいはずだ。このリモコンは実によくできていると感じた。
実は録画機能付のテレビなので、使い勝手については多くを期待していなかったというのが使ってみる前の本音。ところが、番組予約一つをとってみても、録画好き、テレビ好きの心に訴えかける機能を備えている。次回は再生機能を中心にお伝えする。
−次号の掲載は6月26日(火)を予定しています。どうぞお楽しみに!−