デジタル放送のコピーワンスが見直されることになり、今夏のデジタルレコーダー選びは難しくなってきている。というのも、もしコピーワンスが見直され、9回までコピー(コピー9回+ムーブ1回)が可能になる新しい著作権保護技術が導入されれば、それに対応する製品は、規格策定後に発売されるからだ。これではおいそれとレコーダーを購入することはできない。
筆者は新しい著作権保護のことを便宜上「コピー9(コピーナイン)」と呼んでいるので、しばらくはこの呼び方でお付き合いいただきたい。このコピー9だが、いくつかの問題があるものの、もし導入が確定すればコピーワンスよりは幾分かデジタル録画の使い勝手が広がるはずだ。もちろん録画ファンにとっても、今後録画機を選ぶならばコピー9に対応している方が望ましいに違いない。できれば規格についての動きが確定し、対応機種が明確になってから機種選びをしたいところだが、ハイビジョン放送では日々録画したい番組が放送されている。もし今デジタルレコーダーが欲しいと考えているならば、ここは待つよりは“買い”という選択肢もある。
とはいえ、規格の先行きが見えない段階で高価な次世代機に手を出すのは不安が残る。せっかく15万から20万前後の高級機を狙うならコピーワンスよりもコピー9に対応する製品を選んだ方が良い。そこでこのグレーな時代を乗り越えるのに筆者が考えたのが“次世代に繰り越せる格安レコーダー選び”だ。とにかくコピー9もしくは別の規格が決定し、それに対応した次世代レコーダーが発売されるまでのいわば中継ぎ的なレコーダーとして、これらの製品にハイビジョン番組を録り貯めようという考え方だ。
実はBlu-ray Discレコーダー、HD DVDレコーダーともに、i.Linkを搭載するHDD&DVDレコーダーに録画されたハイビジョン番組をムーブしてきて、次世代ディスクにムーブできる機能を備える製品が存在する。幸か不幸か、コピー9についての議論が明るみになってから、デジタルレコーダーの価格は下がり気味になっているように感じる。ユーザーにとってみれば500GB、600GBの大容量HDDを搭載した製品を格安で入手できるチャンスでもある。今回はそんな用途も目論みつつ、i.Link経由で次世代ディスクへハイビジョンの録画番組をムーブする機能について検証を行ってみようと思う。
■次世代ディスクへのi.Link(TS)ダビング(ムーブ)に対応する製品
今回テスト用機材を入手できたのはBD陣営のパナソニック“DIGA”シリーズの「DMR-BW200」と「DMR-XW31」の組み合わせと、HD DVD陣営からは東芝“VARDIA”シリーズの「RD-A600」と「RD-S600」の組み合わせだ。まずは今回、BD陣営の組み合わせからテストした。テストは「DMR-XW31」にハイビジョン放送の30分番組を録画して、「DMR-BW200」へムーブするまでの操作手順と時間を計測した。
i.Linkの設定で一瞬戸惑ったものの、両方の機器でi.Linkの設定をしっかりと行えばあとは操作に迷うことはなさそうだ。このあたりはさすが高い操作性を実現している“DIGA”シリーズならではの強みと言ったところだろう。実際に使ってみたところ、ムーブ中に受け側のレコーダーが録画を開始すると、ムーブが中止してしまうのは不便だと感じた。複数の番組を選択してまとめてムーブができるので、長時間の作品を処理するなら録画予約のない時間に操作するなどの配慮が必要だろう。
次回はHD DVD編をお送りし、BDレコーダーとの操作性についても比較してみたい。
−次号の掲載は8月14日(火)を予定しています。どうぞお楽しみに!−