まだまだ寒い日が続くが、すでに立春も過ぎ暦は春を告げている。毎年この時期になると、各社から入園・入学シーズンにターゲットをあてたホームムービーの新型機が続々と登場する。最近のホームムービーのトレンドはハイビジョン記録に対応した「HDムービー」だ。このHDムービーの記録方式には、大きく分けて従来のDVテープにハイビジョン記録をするHDV方式と、ハイビジョン画質を維持しながら低容量で記録できるH.264/MPEG4 AVC(以下AVCHD)方式の2種類がある。最近ではDVD、フラッシュメモリー、HDDなど様々なメディアに記録できるAVCHD方式が普及を拡大している。
これまでホームムービーは、DVやHi8など記録したテープをそのままアーカイブとして保存することが多かったように思う。しかしAVCHDはDVD記録タイプを別とすれば、常にHDDやフラッシュメモリーに記録した映像をバックアップする必要がある。AVCHD方式はパソコンを介してもDVDメディアにバックアップが可能なので、撮影したらパソコンに接続し、付属ソフトを使ってDVDに保存、という使い方もできる。ちなみにAVCHDを記録したDVDは通常のDVDプレーヤーでは再生できず、SCEのゲーム機「PLAYSTATION3」などの対応機でのみ再生が可能になる。
しかし、一方ではこのパソコンを使ったバックアップに抵抗を感じる人もいるだろう。パソコンを使った場合、BDドライブを搭載する製品が少ないので、AVCHD方式の記録はDVDメディアに限られてしまう。もし高画質で長時間の録画を行いたいならBDへの記録が便利だ。
今回はソニーのHDムービーのニューモデル「HDR-SR12」を使って、撮影した動画をBDレコーダーを使ってBDメディアに保存するまでの手順をご紹介しよう。
テストにはHDムービーのHDR-SR12と、ソニーのBDレコーダーBDZ-X90を使用した。HDR-SR12とBDZ-X90の接続にはUSBケーブルを使用する。これまでムービーとレコーダーを接続するにはi.Linkが使われていたが、AVCHDではUSB接続に変更されている。
HDR-SR12とBDZ-X90はUSBケーブルで接続する。カメラ本体のUSB端子もしくは、ムービーに付属するクレードルを介しての接続になる。ちなみにカメラ本体にはテレビ接続用にミニサイズのHDMI端子が備わっている。
接続後はBDZ-X90から操作する。クロスメディアバーからムービーを選択してダビングを実行し、HDDに保存すればディスク保存の準備が整う。
以上がHDムービーとBDレコーダーを使ったハイビジョンBDの作成手順だ。操作自体はとても簡単で、日ごろからレコーダーを使っているなら迷わずに操作できる。この組み合わせはとても使いやすいが、BDレコーダーを使ってAVCHD記録のDVDは作れないので注意したい。2008年2月現在のソニー製BDレコーダーを使ってAVCHD動画をDVDに記録する場合は、再エンコードでDVD画質として記録される。DVD方式で記録すればほとんどのDVDプレーヤーで再生できるメリットはあるが、DVD画質になる。したがってAVCHD記録のDVDを作成する場合はパソコンを使って作成することになる。
今回、HDR-SR12といっしょにメモリースティックHDムービーのHDR-CX7も借りてみた。HDR-CX7のCMOSセンサーは1440×1080ドットなので、フルHD(1920×1080ドット)のHDR-SR12と画質比較をしようと考えた。結果は以下の通りで、HDR-SR12の方が発色は良く、解像感は高い印象を受けた。ただこの解像感の高さはCMOSセンサーの解像度の違いというよりは、新たに加わった低ノイズ化技術の「Exmor」などの映像回路によるものだと思われる。またシーンによっては2機種の違いがわからない場合もあった。
撮影日はあいにくの曇天で、比較に適した条件での撮影ができなかったのが残念だが、全体の印象としてHDR-SR12の方が人肌などが自然で印象は良かった。HDR-CX7も解像感こそHDR-SR12と比較すれば物足りなさを感じるかもしれないが、まだまだ現役という印象だ。小型軽量というメリットを考えれば、価格が落ち着き8万円台で手に入るHDR-CX7は買い得だと感じた。一方、長時間・高画質で録画をするならHDD搭載のHDR-SR12やHDR-SR11を選ぶべきだろう。ちなみに両モデルの実売価格の差は1万円ちょっとなので、予算に余裕があるならHDR-SR12を選んでおきたい。
HDムービーで撮影した映像をフルHDの大型テレビで再生すると、景色を切り取って来たようでじつに楽しい。立体感や空気感までが感じられ、これを一度見てしまうと従来のDVカメラの映像には戻れない。これがかわいい我が子の映像ともなれば、親にとって大事な宝物になるだろう。今回紹介した製品に限らず、いま買うならやはりHDムービーがオススメだ。確かにいまや底値の感があるDVカメラも魅力的だが、過ぎ去る時間を記録するということに対価を払うと考えるなら、HD画質の密度に投資してもよさそうだ。
−次号の掲載は2月26日(火)を予定しています。どうぞお楽しみに!−