やはり買うなら“レコーダーテレビ”だ!ということで、パナソニックの“VIERA”「PZR900」シリーズに引き続き東芝のREGZA最新モデルをテストしてみようと思う。
東芝REGZAシリーズといえば、これまで日立のWoooシリーズとともに“レコーダーテレビ”市場を牽引してきたブランドだ。Woooシリーズとの違いはパソコン用の外付けHDDを接続できるので、多くの録画番組を残せるのが特徴だ。
新モデルの大きな進化ポイントは地デジの解像感をアップさせ、美しく表示する「超解像技術 レゾリューションプラス」の搭載だ。
超解像技術の効果について簡単に説明しておきたい。Phile-webの読者なら地デジの解像度がHD(1440×1080ドット)しかなく、フルHD(1920×1080ドット)ではないことはご存じだろう。フルHDパネルのテレビは垂直方向の足りない解像度を間引いて表示している。しかしREGZAはレゾリューションプラスを使うことで忠実に復元して、理想的なフルHDでの表示を実現する。この技術は720×480ドットなどのDVD画像でも有効なので、アナログ放送やDVDビデオを再生せても高画質な映像を楽しめるという。この超解像技術についての詳細は
既報を参照していただきたい。
新REGZAシリーズのフラッグシップモデルとなるZH7000/Z7000シリーズにはそれぞれUSB、LANなどの外付けHDDにテレビ録画が行える機能が搭載されており、ZH7000シリーズではさらに内蔵HDDも搭載されている。デザインコンシャスモデルのFH7000シリーズにもHDDが内蔵されており、テレビ録画が可能だ。H7000は録画機能を備えたスタンダードモデルだ。ちなみに超解像技術を搭載するのはZH/Z/FH/の7000シリーズのみとなっている。
今回、筆者がピックアップしたのはZH7000シリーズの46V型モデル。本機を選んだ理由は7000シリーズの主な機能を搭載しながら、さらにSDカードへのワンセグ番組録画機能が搭載されているからだ。この機能は地上波に限り、通常録画といっしょにモバイル機器での再生が可能なワンセグ録画ファイルを生成できる機能。とても便利な機能だが、残念ながらZH7000の52型と46型にしか搭載されていない。この手の機能こそ普及モデルにも搭載すべきだと筆者は考えるのだが、ソニーのBDレコーダーが搭載する「おでかけ・転送機能」なども、上位モデルにしか搭載されないのが残念だ。REGZAのワンセグ番組録画機能の使い勝手については、追ってロングランチェックも中でご紹介するつもりなのでお楽しみに。
46ZH7000のテストに入る前に、7000シリーズを対象に先頃行われたファームウェアのバージョンアップについて触れておこう。東芝のテレビは、これまでにもいくつかの新サービスや新機種用に開発された機能を、旧シリーズモデルでも利用できるようにバージョンアップを提供してきた。例えばブラウン管テレビの「D4000シリーズ」では、バージョンアップにより「インターネット機能アップグレード」をしたり、REGZAのZ2000シリーズでは、より見やすい電子番組表の「レグザ番組表・ファイン」へのバージョンアップが行われた。最近ではZ3500シリーズがVODサービスの「アクトビラ ビデオ フル」への対応を実現している。購入後も最新機能を利用できるのはユーザーとしては喜ばしいことだ。
最新の7000シリーズでは高画質化を実現するバージョンアップが行われている。東芝によると平坦部(テーブルクロスや無地の壁紙など)に発生するノイズがより軽減されたのだという。このバージョンアップは放送波を通じて自動的に行われるが、筆者のようにほぼ24時間テレビをつけっぱなしにしていると、このバージョンアップが行われないことがあるようだ。事実、テスト機を4日間使って確認したが、バージョンアップは行われていなかった。そういうヘビーユーザーのために、LAN接続により手動でバージョンアップを行うこともできる。下記にその手順をまとめたのでREGZAユーザーは参考にしていただきたい。
バージョンアップも終えて準備完了。次に自分の好みにあわせて画質調整をしてみる。一般的に薄型テレビは画質が明るくて派手めのダイナミックなモードに設定されている。これは別名「店頭デモモード」とも呼ばれており、明るい電気店でより自社のテレビが美しく見えるように、輝度を最大に近づけて表示するモードだ。
標準モードで画質を調整するのが筆者の流儀だ。もちろんそのままでよければ、標準モードで視聴してもいい。発色や明るさの好みには個人差があるので、一般的にはここで調整しておくのがベストだろう。筆者もマニュアルを片手に画質調整を行ってみたが、46ZH7000は多彩な調整項目があるので、調整可能範囲が広く、うれしい悲鳴をあげてしまった。今回は細かな画質調整のコツについて東芝に訊ねてみた。今回対応していただいたのは、(株)東芝 デジタルメディアネットワーク社でREGZAシリーズの商品企画を担当しているテレビ事業部 グローバルマーケティング部 日本担当 参事の本村裕史氏だ。
本村氏:REGZAには「おまかせドンピシャ高画質・プロ」が搭載されています。REGZAは出荷時のプリセットモードもこの「おまかせモード」です。明るさセンサーなどにより、ユーザーの視聴環境を解析して、最適な映像を表示します。「標準モード」から好みの映像を追い込んでいただいても良いのですが、ベストな映像を楽しみたいのであれば「おまかせモード」をベースに周囲の環境に合わせて調整を行う方法をおすすめします。
━━「標準」モードをベースにすると、自動画質調整機能が働かないということでしょうか。
本村氏:そうです。「おまかせモード」を使った場合は視聴する照度環境に合わせて最も見やすい映像に調整します。これは人間は部屋の明るさに合わせて明暗順応を起こすので、明るい環境で見ていると暗い環境で見ている時では映像を変える必要があるからです。この「おまかせモード」の画質をさらに追い込んで頂くためにREGZAの明るさ調整は、部屋の照度を11段階に分け、それぞれの照度に適した明るさ調整ができるようになっています。昼のリビング、夜のリビング、映画などで部屋をほぼ真っ暗にしている時などその時々に合わせて、好みの明るさに調整して頂くことがベストだと思います。
━━「テレビプロ」、「映画プロ」などのモードはどのように使えばいいのでしょう?
本村氏:これは外光による変化が少ない場所で主にテレビを使われる場合です。窓のない部屋や視聴時の照明を一定にできるホームシアター専用室などでの視聴時にはこれらのモードをおすすめします。
REGZAには「おまかせ」「あざやか」「標準」「映画」「テレビプロ」「映画プロ」「メモリー」7種類の映像モードとゲーム用の「ゲームモード」、パソコン接続用の「PCファインモード」が用意されている。このなかで自動画質調整が行われるのは「おまかせ」モードという事になる。ただし、それぞれのモードでも明るさセンサーの設定ができるので、「おまかせ」以外でも外光の変化に応じた画面の明るさ調整は利用できる。でも、それでは「おまかせ」と他のモードの違いはどこにあるのだろうか?この点を本村氏に伺った。
本村氏:「おまかせモード」は、明るさだけでなく「1024種類の色温度」、「100段階の明るさ」、「64段階の色の濃さ」「128種類のダイナミックガンマ」「32段階のシャープネス」それに「超解像技術処理レベル」の調整を常に最適化するモードです。このモードで見ていただくのがベストだと考えています。基本的にはこのモードは、より細かな設定を望む方のために用意しています。我々の考えるベストな映像を映像のプロの方から専門的な知識のない方まで多くのユーザーの方々が楽しんで頂けるよう、設計したのが「おまかせモード」です。
それでは実際に「おまかせモード」の設定を行ってみたので、ご紹介しよう。
「おまかせ」モードで使うのがベストと言い切る本村氏に、さらに画質を調整するコツを教わった。まず画面の印象を変えるのが「明るさ」だという。画面に勢いを出したければ「明るく」、しっとりとした映像にしたければ「暗く」すると良い。明るさの調整は周囲の環境が最も暗い状態で調整すると自然な映像になるという。
次に必要なら色合い、色の濃さなどを少しずつ調整する。ただ、あまり追い込んでいくと深みにはまるので、お手軽なおまかせモードなら調整しないか、いじっても明るさ調整ぐらいでいいだろう。筆者は早く録画機能を詳しくチェックしたかったこともあり、今回画質調整は「おまかせモード」にまかせることにした。
さて、いよいよセットアップも完了。年末年始はREGZAをフル活用して、録画三昧に明け暮れようと思っている。結果は今後のロングランチェックレポートでご紹介する予定だ。乞うご期待!
(レポート/鈴木桂水)